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関西人か否か

「せたさん、関西の人?」

こう聞かれたのは2007年3月1日のことです。なぜ日付まで覚えているかというと、奈良から東京に出てきて初めて出社した日だからです。

聞いてきたのは隣の席のSさん(静岡県出身)でした。それで気づいたのは、東京では自分の言葉は明らかな関西弁なんだということです。

それまで私はずっと西日本(岡山県11年半→奈良県7年→兵庫県3年半→奈良県5年半)で暮らしていました。父は和歌山県、母は岡山県の出身です。ゆえに、当時の私が使っていた言葉は「岡山弁のエッセンスが入った関西弁」だったはずで、純粋な関西弁ではないと自覚していましたが、東京に来るとほとんどの人はそれに気づかないようです。

ちなみに、岡山弁のアクセントは標準語に近く、関西弁とははっきり異なります。「箸」と「橋」が好例で、関西弁と岡山弁が混在する私の実家では、シチュエーションや前後の文脈から判断するよりありません(登場する場面がまったく違うのでそれで困ることはないのですが)。

最近は逆に「関西のご出身ですか?」と出会った人に聞くことがしばしばあります。打ち合わせや取材などでしばらく話を聞いていると、たいていは予想がつきます。

ほとんどの場合は「そうです」とか「はい、大阪です」といった返答がきて、「ちなみにどちらですか?」というような展開になります。しかし、最近見事に外してしまったことがありました。

「よく言われるんですけど、違うんです」
「では、ご両親が関西の方とか…」
「いえ、何のゆかりもないんです」
「ちなみにどちらですか?」
「神奈川です」

この方は部署の上司がずっと関西人だったらしく、それで伝染してしまったようです。職場における会話はプライベートでの会話とは使う言葉がずいぶん違いますから、こういう場合も生じるのでしょう。

周囲に流されやすいか否か、というのも個人差があるように思います。関西人には流されにくい人が多く、それゆえに東京で働いていても部下にまで伝染するのかもしれません。

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