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やるかやられるかの世界を生きる~統合失調症である私のサバイバル術その⑮~ひとりぼっち

前回まで

大量服薬をして自殺未遂を図り、ICUに救急搬送されたのちに精神科病院に入院することになりました。
やるかやられるかの世界を生きる~統合失調症である私のサバイバル術その⑭~療養|せっと|note
私が自分の生きてきた中での「暗黒時代」の話、私の最初の入院時の体験について今回は少しお話ししていこうかと思います。

初めての入院

精神科病院に入院することになります。最寄駅からさらにバスに乗って30分くらいかかる人里離れたところにある病院でした。
実をいうと、入院生活に私は少し期待のようなものを抱いていたといいますか、望みを託すようなところも感じていました。「やっとどうどうとゆっくり休める」、「入院さえすればなんとかなる」、なんて風に思っていたのですね。

ところがこの時の入院生活は自分にとっては安心できるものではなかったように感じていたことを覚えています。もしかしたら人生初めての入院だったこともあったのかもしれません。入院先でさえ、ほかの患者さんたちから見られている感じがしたり、自分のことを噂されているような気がしたりして常にびくびくしていました。
また、自分はここにいるほかの人たちとは違うというようにも思っていて、その根底には前述した精神障がいの方々に対する自分の偏見もあったのだと思うのですが、それだから余計病院の中でも居場所がないようにも思っていました。
他の入院患者さんに自分から心を開いて話しかけることもなく、それだからか話しかけてくれる入院患者さんもほとんどいませんでした。

「入院したら同じような症状の方々と仲良くなれるかもしれない」、なんてことも入院前は考えていたのですが、全くそんな状況にはならず日々誰ともほとんど会話をすることもなく多くの時間をベッドで寝て過ごしていました。
ただ症状的にも先ほど言ったような周りから見られている感じと同時に考えがまとまらないという状態でもあり、話をしようにも何を話したらいいか、どんな言葉を発したらいいか、他者に対してどうやって声をかけたらいいのかみたいなことがわからなくなっていました。
また薬の副作用も強かったように思います。とにかくだるく、終始眠かったです。

自分はひとりぼっち


他の入院患者さんたちとの交流の中にも入れず、一人でポツンと過ごす毎日、ただやみくもにタバコばかり吸って時間をつぶしていました。
音楽を聴いたり、本を読んだりする時間にしようとも試みたのですが本に書いてある内容が頭に入ってこない、そもそも文字が追えない、音楽も楽しむには程遠く、当時の自分にとっては「ただ音が鳴っているだけ」、のものでしかありませんでした。

もともと私は割と本を読むほうであったし、バンドをやっていたくらい音楽にも深くのめりこんでいたため、大好きだったそれらが楽しめない状態になっていたことに戸惑いのような、あせりのような、言ってみれば本当に自分は変わってしまったのだ、といった喪失感のような思いも感じていました。
病棟内でも孤立している、自分の好きだったものも楽しめない、だるくて体が思うように動かない、日々タバコをふかし、朝昼晩に出される食事をとるだけの毎日・・・「自分はこの病院の中で一番底辺の人間だ」、なんてことを感じていました。

ダメ人間になってしまった自分


またそんな状態の自分に追い打ちをかけるようなできごともありました。
寝ることしかできず昼間もベッドに横になっていた自分に看護師さんが声をかけてくれました。
その時の言葉かけが「せっとさん、寝てばかりいないで少し起きていましょう」、みたいなものだったのを覚えています。
この言葉かけが当時の自分にとっては大変堪えるものでした。好きで寝てばかりいるわけではなく、そうするしかなかったのと、そうするしかできなかったため終日横になっているのに、という自分の思いがあったのですが、そのことをわかってもらえないみたいに感じてしまいました。
今にして思えば自分のことを気にかけての言葉かけであったのではないかと思えるのですが、当時の自分にとっては「やはり自分は入院先でさえダメな人間なんだ」なんて思いをより強くするものでした。「ここにも自分の居場所はない」、入院先でさえも自分にとって安心を得られる場所ではないといった感じがして、私はさらに自分の心のシャッターを固く閉ざしてしまいました。

今回はここまで。暗黒時代のお話を次回以降ももう少し続けていきたいと思います。

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