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#11 場面緘黙 ~図書館での偶然の出会い~

本記事は、図書館を利用する中で面白い本を見つけ、借りてみることにしたのがきっかけです。

Amazonより「幼稚園や学校で話せない子どものための場面緘黙支援入門 著:園山繁樹」

本書では、場面緘黙の定義から、場面緘黙支援に必要な知識や具体例などが記載されており、現場で指導にあたる立場としても非常に学びあるものでした。

本書では「幼稚園や学校」というキーワードを使っており、初見では「幼稚園も学校では?」と思ったのですが、これは場面緘黙の発症年齢が「2~5歳頃」が多いことから、あえて分けて表記したものだと思われます。
また、割と日常的な文脈の中で場面緘黙のような状態が起こることを再認識し、実は場面緘黙って特別なことではないな、といった感想をもちました。

場面緘黙への支援にあたって

場面緘黙の支援に関して、学校が取り組むことについて以下のように説明しています。

場面緘黙の子どもに気づいたら、幼稚園や学校ですぐに取り組むことが4つあります。
①実態把握
②安心感を作る取り組み
③活動や授業の参加度を高める取り組み
④話せるようになるための取り組み

園山繁樹、幼稚園や学校で話せない子どものための 場面緘黙支援 入門:学苑社、2022年2月10日、p.84. 


現場で指導にあたっていると、場面緘黙と思われる生徒は一定数いることは感じています。

①に関しては、
どんな児童生徒の支援を行う場合においても必要と考えます。
例えば、実態把握が不十分のまま、「あの子は自閉症スペクトラムだから文字やイラストを使うと良い。」
というのは、現場的な感覚としてはイマイチ上手くいく姿が思い浮かびません。

絵に対して、「いかにも支援を受けてる感があって、幼児っぽくて嫌」と認識する場合もあれば、「好きな動物(YouTuberなど)の写真に吹き出しを入れて、そこに言葉を挿入すると興味が持ててわかる」
のような、支援策そのものが本人に適さない、仮に適していたとしても、本人の興味関心を射抜いた場合にのみ反応を示すなど、シンプルに嵌らない事が往々にしてあります(だから、個別教育なのですが)

実際に本人と関わって、どのような状況なのかを支援者自身が見極める、その上で心理検査や周囲の人からの情報を参考にしながら判断していく必要を常々感じます。

②に関しては、
実際に支援をする立場としても、本書にも書いてあるように
「安心感>緊張感の空間」をいかに提供できるかは大切であると考えます。

安心感のある場では場面緘黙の有無に限らず、人間は話しやすい状態になるからです。
これは、「情緒障害とは~」なんて知見は全くとして必要とせず、すべての人にとって有用ではないかと思います。

とはいえ、学校現場となると実情は様々で、単純に説明できるものではないことも確かです。

また、学校という場は限られた時間の中で各教育活動を展開する必要があるため、時として、どうしても時間に追われる部分があります。
そのような中で、いかに取りこぼさずに支援ができるかといった部分に着目すると、十分にできていない面はあると思われます。


①と②の前提があって、③が成立し、いよいよ本題である④に繋がっていくものであると捉えます。

①~③が成立しても、④で非常に長い時間を要する場合もあるかもしれません。
小学校までは全く話せなかった児童が、中学校に上がってから話せるようになったといった場合もあれば、高校になってから自分の考えを言葉で伝えられるようになったということも考えられます。


また、④に関しては、様々な方策がとれると考えられます。
まさに今、不定期で応用行動分析(ABA)について学んでいますが、ABAの観点から支援にあたることも有用かもしれません。

ただ、先にも述べたように①~③が基礎となることを忘れてはいけない。


まとめ


・場面緘黙は未就学時点での発症が多く、初等中等教育機関にも一定数の児童生徒がいる。

・画一的な支援でなく、個々の児童生徒の実態に応じた支援が必要である。

・「安心感>緊張感」という視点が支援をする上で大切である。


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