見出し画像

#8 文字入力と支援

GIGAスクール構想により、学校教育のICT化が急速に進められた昨今ですが、
指導場面において、例えば文字入力が苦手な児童生徒に対して、どのような支援アプローチが考えられるだろうか。

割と多くの場合に出てくるアプローチとして、

・かな入力で取り組ませる
・音声入力を使う
・手書き入力機能を使う

上記のような方法が検討されるのが一般的のように思います。
これらは一つの支援策ではありますが、ICT活用において何を目指すのか
という視点が抜け落ちると、点としての支援で終わってしまいます。

本人がローマ字入力に困難さを感じる場合、上記のような支援は「困難さを解消」し、取り組む意欲を向上させることにつながります。
それで終わりで良いのかというと、その先に何が見えてくるかによって、考えは多様に広がっていくものと考えます。

かな入力や音声入力、手書き入力で終始するとみるのか、それとも「困難さの克服」が可能であるのか、
本人がそれで満足しているのか、更なる能力向上に向かう態度をもつことができるのか、
このあたりは、実際その児童生徒との継続的な関わりという文脈の中でしか推し量ることは難しい部分と思われます。

例えば、ローマ字入力が、かな入力が困難であるため、学習初期は音声入力を用いることで困難さを解消してきた生徒がいて、その生徒はいつまでも音声入力に頼る場合もあるかもしれません。
しかしある場面で、簡単な文字入力を行う際に、一緒に文字の入力を少しだけ手伝ってもらったことを機に、自身でもローマ字入力を覚えようと思い立ち、自ら困難さを克服しようとすることもあります。
教師が意図しない児童生徒の成長を見落とさなければ、困難さの解消が、困難さの克服につながり、大きな達成感、成就感を与えることもあるはずです。

困難さを解消してもらったことにより、心理的・物理的ハードルが下がったことから、困難さを感じていたものに再チャレンジしようとする。
こういった現象に関しては、多かれ少なかれ存在するように思うのです。

また他の話題として、走り幅跳びを行った際に

①1.5Mを跳ぼうとしなかったが跳べなかった
②1.4Mにチャレンジしたら跳ぶことができた
③0.01M刻みでチャレンジし続けたら、1.51Mを跳ぶことができた
 または基本的な跳び方を教わってから、自分なりに試行錯誤した跳び方で跳んだら1.5Mを跳ぶことができるようになった

少し感覚は異なりますが、スモールステップの法則にも似た現象のようにも思います。

支援を必要とする児童生徒にとって、初めから高い目標へ一直線に向かうことは非常に困難です。
では、単純な支援策を提示するだけで良いのかというと、そこにも疑問を感じるものです。
また、子供の成長には、一進一退の場面や、積水成淵、堰を切るが如く伸び行く場面など非常に多様な姿をもっていることを時として忘れてしまいます。

実態は、目の前にいる一人の人間の心理的、能力的な変化を捉えながら、次のステップに進む策を模索しながら進んでいくものなのではないでしょうか。
点と点がつながり、それが面になった時に大きな成長を感じるし、面が立体としての体を成してくると、あらゆることへ主体的にチャレンジするようになる。

一朝一夕に成せるものではないですが、私にとって大切にしたい視点の一つです。

今回は実践ベース寄りの話でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?