筑摩書房創業80周年フェア(本日6/20まで!)で買った27冊のKindle本と、ちくま新書の思い出

本日6/20まで、創業80周年を迎えた筑摩書房が、イイ感じの新書(Kindle)を150円くらいで販売するという祭りを展開している。安値っぷりにびっくりしたんだけど、ツイッターがやたらバズったことにもびっくりした。

RTされたりリプライもらったりするなかで、どれ買えばいいかわからない的なツイートをわりと見たので、参考例ということで、自分が買ったものをまとめておく。

※ なお、セールに入ってる本には、今回買ってないが既読で良書だったものもあります。しかし、それもやってるとキリないので、ここには単純に今回買ったものだけを羅列しています。コメント欄やツイッターで、私はこれが好き!というのをもらえるとなんとなく楽しいです。

野中モモ『デヴィッド・ボウイ──変幻するカルト・スター』

"一九四七年に生まれ、ロックン・ロールの勃興からデジタル音楽配信の時代までを生き抜き、最後まで創造をやめなかった。きらびやかなグラム・ロックの英雄ジギー・スターダストの衝撃"

細川亮一『ハイデガー入門』

"成功と絶望的な無理解の断層に屹立する哲学書『存在と時間』。そこに隠された真の狙いとは何なのか? 本書は難解で知られるハイデガーの思考の核心を読み解き、プラトン、アリストテレス以降の西洋哲学が探求し続けた「存在の問い」に迫る"

竹内洋『社会学の名著30』

"意外に手ごわい社会学も、良質な入門書に導かれれば、見慣れたものの意味が変容し、知的興奮を覚えるようになる。著者自身が面白く読んだ書30冊を通して、一員でありながらとらえるのが難しい「社会」を見る目を養う最良のブックガイド"

重田園江『ミシェル・フーコー――近代を裏から読む』

"正常と異常の区分を生み出す「知」の体系と結びつき、巧妙に作用する「権力」。そうした秩序が社会の隅々にまで浸透する近現代の先に何を見定めたのか。革命的入門書"

児玉聡『功利主義入門──はじめての倫理学』

"「功利主義」という理論についてよく考えることで、倫理学を学ぶことの意義と、その使い方を示す。「ルールはどこまで尊重すべきか」や「公共性と自由のあり方」という問いから「幸福とは何か」「理性と感情の関係」まで"

今井むつみ『ことばの発達の謎を解く』

"単語も文法も知らない赤ちゃんが、なぜ母語を使いこなせるようになるのか。ことばの意味とは何か、思考の道具としてどのように身につけていくのか。子どもを対象にした実験の結果をひもとき、発達心理学・認知科学の視点から"

沼上幹『組織戦略の考え方――企業経営の健全性のために』

"本書は、常識的な論理をひとつずつ積み上げて、組織設計をめぐる誤解を解き明かす。決断できるトップの不在・「キツネ」の跋扈・ルールの複雑怪奇化等の問題を切り口に、組織の腐り方を分析し対処する指針を示す"

戸田山和久『哲学入門』

"「ことばの意味とは何か」「私たちは自由意志をもつのか」「道徳は可能か」、そして「人生に意味はあるのか」…すべての哲学問題は、根底から問い直される必要がある!科学が明らかにした世界像のただなかで人間とは何かを探究する"

高野文子『本屋になりたい』

"「本屋になりたい」という気持ちのままに東京の巨大新刊書店から沖縄の小さな古本屋へ。この島の本を買取り、並べて、売る日々の中で本と人のあいだに立って、考えたこととは"

加藤典洋『戦後入門』

"「対米従属」や「ねじれ」の問題は、どこに起源があり、どうすれば解消できるのか――。世界大戦の意味を喝破し、原子爆弾と無条件降伏の関係を明らかにすることで、敗戦国日本がかかえた矛盾の本質が浮き彫りに"

小倉紀蔵『朝鮮思想全史』

"朝鮮思想史を概観すると、思想の純粋性をめぐる激烈な闘争が繰り返し展開されてきたことがわかる。思想闘争は政治闘争と直結し、その様相は朝鮮時代の儒教や、解放後の韓国と北朝鮮のイデオロギーに典型的に見られる"

上野千鶴子『情報生産者になる』

"オリジナルな問いを立て、過去の研究に学び、一次データを収集し、それに分析を加え、アウトプットするまでの一連の過程を、具体例を交えながら解説。あまたの人材を育ててきた教育者として、新たな知を生み出す技法を惜しみなく公開する"

石井淳蔵『マーケティングを学ぶ』

"供給が過剰となり、従来的な手法だけでは容易にモノが売れない時代を迎えている。企業にとっては生活者や顧客との関係をいかにデザインするかが喫緊の課題となっている。市場に向けて、どのような戦略を練るか"

平岩時雄『99%の人が速くなる走り方』

"遅い人でも、速くなるチャンス!国際舞台で活躍するアスリートを指導する、プロのトレーニングコーチが教える走る技術。正しい走り方を知れば誰でも速くなる!"

河合信和『ヒトの進化七〇〇万年史』

"二一世紀に入り先史人類学をめぐる状況は大きく変わった。画期的な発見が相次ぎ、人類の起源が従来より七〇〇万年遡るとともに、進化の道筋も見方の変更が迫られている。人類は、複数の人類種が複線的に生まれては消え"

三浦佑之『古事記を読みなおす』

"「出雲神話」が必要とされたのはなぜか。どうして権力にあらがい滅びた者たちに共感を寄せるのか"。この作品の成り立ちを説く「序」は真実か……このような疑問を通じ本書は、「国家の歴史」以前から列島に底流する古層の語りとして"

長谷川修一『謎解き 聖書物語』

"ノアの方舟、バベルの塔、出エジプト……旧約聖書の有名な物語の数々。それは本当に起こったことなのか? それともたんなるフィクションに過ぎないのか? 最新の考古学的知見を用いながらひとつひとつ明らかにする"

大澤真幸『生権力の思想──事件から読み解く現代社会の転換』

"死を迫る権力から、生かすための権力へ──これこそ近代への転換であった。そして規格化された従順な身体を規律と訓練によって創り出してきた近代の権力は今や「管理型権力」という新たな形式へと転換しつつ"

磯野真穂『ダイエット幻想──やせること、愛されること』

"食べること、他者と生きることをあらためて見つめなおす一冊"

加藤久和『高校生からの統計入門』

"データを分析し、それをもとに論理的に考えることは、現代人に欠かせない素養である。成績、貯蓄、格差など身近な事例を用いて、使える統計思考を身につけよう!"

岡本隆司『近代中国史』

"「幇」とよばれる中国団体をはじめ、貨弊システム・財政制度・市場秩序など、中国固有の構造がつくられたからだ。本書は経済史の視座から一六世紀以降の中国を俯瞰し、その見取り図を明快に描く"

渡辺一史『なぜ人と人は支え合うのか──「障害」から考える』

"障害者について考えることは、健常者について考えることであり、同時に、自分自身について考えることでもある。2016年に相模原市で起きた障害者殺傷事件などを通して、人と社会、人と人のあり方を根底"

山本貴光『世界が変わるプログラム入門』

"現代人の基礎教養?! 新しいプログラムを書くことは新しいコンピュータの使い方を発見すること。難解な数式不要! まずは紙と鉛筆と頭で入門しよう。新しいプログラムを作ることは新しいコンピュータの使い方を発見すること"

松井彰彦『市場って何だろう──自立と依存の経済学』

"自立するために、多くの依存先を持とう! さまざまな依存先を提供しうる市場という頼れる存在。市場の原理をゲーム理論で読み解きながらそのあり方・可能性を考える"

稲垣栄洋『イネという不思議な植物』

"植物の常識に照らすと、生態が少し奇妙なイネ。だがそれゆえに、人に深くかかわりその生活や歴史までも動かしてきた。イネとは何か、なぜ人を魅了してやまないのだろう。その秘密にせまる"

瀬川拓郎『アイヌと縄文――もうひとつの日本の歴史』

"交易、祭祀、葬制、遺跡とその遺物、言語などの多方面にわたる最新のアイヌ研究を総合し、弥生文化を選択した現代日本人にとって、ありえたかもしれないもうひとつの歴史を叙述する野心的試み"

福井健策『18歳の著作権入門』

"基礎的な知識からデジタル化が揺さぶる創作と著作権の現況まで。著作権を考えることは未来を創造すること! おとなになる前に読みたい、教養としての著作権の話"

以上。

ちくま新書(と、講談社現代新書、そして新書ブーム)の思い出

2005年頃。中学生だった自分にとって、ちくま新書は非常に重要な存在だった。最近は中公新書を手に取ることのほうが多い気もするけど、当時は講談社現代新書と並んで、超イケてるレーベル、ブランドだと感じていた記憶がある。いまから振り返っても、はっきりイイと思える本があるし、このふたつはゼロ年代後半の新書ブームのなかで抜けた存在だったのではないか。

このふたつのレーベルは、ゼロ年代中盤から後半にかけて、新書らしい入門書的な性格を備えつつも、時代の動きやリアリティを感じられるな本をたくさん出していたように思う。たとえば、ちくま新書では鈴木謙介『サブカルニッポンの新自由主義──既得権批判が若者を追い込む』、講談社現代新書では東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』のような。

──こうした自分の感覚は、どれくらいほかの人と共有できるものなのだろうか。友人とはときどき思い出話として語り合うことがあるけれども、ほかの人にとってはどうか。ちくま新書は、どのような思い出とともに語られる存在なのだろう。

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