Monster is lonely.

闇の感覚は
だんだんと
遠ざかっていくけれど

別に
怪物の殻を被って
君が奥から
ボクの内側から
近づいてきても

違和感は
生まれないし

『やあ、おかえり』
『きょうはいつもより早いね』

くらいしか
特に返事もしない

ずっと
なにもいわずに
君は傍にいたから
こう言えば
そう返すだとか
そんな疑問も
ボクには生まれたりしない

だって、
タニンじゃないからね
君とボクは
厳密に云うと
最も自然な関係だと思う

そんなもんなのよ
結局のところ
コミュニケーションって

愛だとか
夢だとか
タニンが喜びそうな
ワードを積極的に遣わなくても

あなたが
ボクを
今、否定できない立場にいるなら
否定したりはしない
間違いなく、絶対に

give and takeなんて
一般的な言葉は
ホントではなくて
利害関係は
いつだって
ピッタリと
帳尻も辻褄も合っている

だから、ボクは
誰に対しても
君に対しても
過度な期待もしないし、希望もしない

『おかえりなさい』
『ただいま』

だけで通じてしまう
世界に存在してることを
頭で理解することが
自分にとっては先決なのよ

というのが
今のボク、つまりは
ニンゲン側の気持ちなんだけど
君の方はどう?

こんなボクにたいして
孤独の怪物である君から
なにか言っておきたいことは?

まあ、そうね
特別、なんにもないけれど
そうね
結構、サバサバしてるんだ
ニンゲン様の生活って

ボクは独りだから、基本
もうちょい、ネッチョリしてるかな?
性格は、たぶん、あなたより

意外かもしれないけど
孤独という感情がデフォルトだから
有機的な感情が大半を占めている

たとえば、そうね
甘えたい、怠けたい、遊びたい
喉が渇いた、おなか空いた
眠たい、喧しい、独りになりたい
優しくなりたい、邪魔臭い、面倒臭い
人肌恋しい、寂しい、やれやれだぜ
とかね

へぇ
君の方が
ボクよりも
随分、ニンゲン的なのね
驚きましたわ、ワタクシ
勉強させて戴きます

自分に正直、素直に
生活すること、生きることは
大切なことだよ、ヒトのボクにも
たぶん、怪物の君でも
そんな風に感じているならね
君は、とても、素直なんだね
ボクなんかより、全然

ボクの性質は
とっても
あまのじゃくだから
あまりひねくれ過ぎないように
気をつけないと
君にも迷惑になると思うから

ボクたちはやっぱり
独りじゃないからね
仲良くしていこう、これからも

そうだ
今度、君に
ぜひ紹介したい人がいるんだけど
君には
まだ名前がないからさ
今、ボクが
名付けちゃってもいい?
もし、よかったら、だけど

いいよ、全然

君の新しい名前
それは、孤独ではなくて
『希望』にしよう

読み方は
英語にしたいから
君の正式な名前は
きょうから、たった今から
『HOPE』だ

と思ったけれど
それでは
ちょっと前向き感が強すぎる
わかった、こうしよう

君の名前は
『Short Hope』
『ショート・ホープ』にする

どうしても、短く呼びたい時は
ちょっと略してショップ
ショップ君となります

それとも
ちゃん付けの方がいい?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?