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ウェルビーイング:Session5 権力と組織ダイナミクスのウェルビーイングへの影響

この科目はトピックによってLecturerが変わるが、今回は前学期もっとも理解に苦しんだ教授。嫌な予感がしていたが、やはり的中した。かなり理解不能。しかし一部わかるところはあったのでまだマシではあった。タイトルには「権力と」と書いてあるが、権力以外に3つのテーマがあり、まとまりのない授業に思えた。スライドも99%文字なのでしんどく、スライドも何回も読み返してようやくこの程度の理解。この教授は論文のセレクションもきつい。読みにくいはずなので、読んでくれた人には感謝しかない…。

<授業での学び>

<権力>
・象徴的権力とは、ソフトパワーとも言い換えられ、性別的支配や人種差別などの差別的な意味や有害な意味を含む。
 ー裁判官の服、医者のユニフォームなどにも表れる
・エンゲージメントや、幸せになるための真性性への要求、組織的いじめを様々な方法で解釈することなどの領域を含む組織生活において、ウェルビーイングを理解するためのレンズとして、象徴的権力という概念を使うことができる。
・人的資本理論、権力と新基準的統制(Neo-Normative Control)
・新たに定量化された勇敢な職場におけるウェルビーイングの調整
・監視資本主義と集合的アクションの挑戦
 ー遺伝子スクリーニング
・英国では仕事のパートタイム化などによりウェルビーイングが低下しているが、仕事がない人よりはマシ、という研究結果がある。
(所感:もっとも意味不明なセクションだった。)

<幸福>
・Happiness Industry:幸福が消費の対象とされている。
 ーマインドフルネスなど
 ーマネジメントが機能していないのに従業員に瞑想を進める経営者もいる。その場合、過剰なストレスがあったとしても、リラクゼーションクラスを提供していることを言い訳に、経営者ではなく従業員が避難される。
・肉体的現象を定量化することで幸福度を測定することは、究極的には幸福を単純な道具に貶めてしまう。
・多すぎる幸福を得ること、間違ったタイミングで幸福を経験すること、間違った方法で幸福を追求することは、害になりうる。
(所感)幸福の定義は何か?およそ言っていることは正しいと思うが、幸福を体験する間違ったタイミングとはいつなのか、など、もっと具体化しないと実社会で応用できない。

<一体性:Inclusion>
・理想的労働者と組織的相性は、従業員を機能障害に貶めた。
 ー科学的な労働についての研究やジョブデザインは仕事を標準化し、労働者を仕事から取り出し、抽象的な存在にしてしまった。
 ーパフォーマンスの期待値が標準化されたことにより、体の不自由な人が組織にフィットするのが難しくなった。(所感:なぜ?)
・経営者の健康とウェルビーイングの構想は、個別の従業員や、従業員の心理的回復力を改善することに注力し、職場の問題を解決しようとしていない。これに対抗するため、職場におけるウェルビーイングの社会的なモデルが必要である。
・心理的回復力は、困難や挑戦から回復する力を意味するにも関わらず、楽観主義が重要で、身につけるべき行動である、という考えを促進してしまっている。
・一体性モデルは、同化を期待するのではなく、違いを標準化する。また、役割をその人に合わせようとする。
(所感)途中意味不明だったが、大体言いたいことはわかった。ダイバーシティにも適応できそうな考え方。ただ、これは理想論な気もしており、組織の状況によっては一体性をある程度捨てなければならないこともあるはず。

<いじめ>
・組織的いじめ(Organisational bullying)は、個人間の問題とは異なり、組織の権利と見なされている。問題は、組織が正しく権力を行使したとしても、いじめとして認識されてしまうことである。
・組織的いじめは、組織と従業員個人の利害が一致していないことに起因する。
(所感)これは本質的なので、どういうメカニズムで起こるのか、どういう状況で起きやすいのか、など、もっと研究が進むと良いと思う。組織の権力行使、と言っても、所詮は人間の判断なので、正しさも疑われて然るべき。

<課題論文1>

授業で、ちょうど疑問に思った幸福の論点についての研究。リサーチクエスチョンは、
1.幸福に間違った程度(幸福過ぎ)はあるか?
2.幸福に間違った時機はあるか?
3.幸福の間違った追求の仕方はあるか?
4.間違ったタイプの幸福はあるか?
引用された論文を詳しく読まないとわからないが、1はエビデンスがあるらしい。2についてもいくつかの研究を引用し、ポジティブな感情にもネガティブな感情にも役割がある、と言っている。3については、克服の追求が必ずしも求めた成果に繋がらない、などと主張。4については、人々の感情は様々あり、その数だけ幸福のタイプがあるので、全ての幸福のタイプが効果的に機能するとは限らない、などと主張している。

(所感)この手の思考は論文という形態、ひょっとすると学問、というアプローチでは真理にたどり着きにくい気がする。先行研究との関連付けをしなければならないので、微妙なニュアンスや定義の違いを孕んでしまっていそう。そもそも幸福とはそれほど人間にとって大事な概念ではないと考えているので、あまり意味がないようにも思えた。

Gruber, J. et al. (2011) “A Dark Side of Happiness How, When, and Why Happiness Is Not Always Good”, Perspectives on Psychological Science, 6(3), 222-233.

<課題論文2>

この研究は、いじめの定義は提供しないが、いじめという言葉が使われるいくつかの方法の示唆を検証したらしい。(所感:もうかなり興味なさ過ぎてしんどい…)テレコム企業でインタビューを実施した、定性的な研究である点もしんどい。組織(側にいる人)はいじめと思っていないが、従業員側がいじめと思っているケースが洗い出されている。

Liefooghe, A. P., & Mac Davey, K. (2001). Accounts of workplace bullying: The role of the organization. European Journal of work and organizational psychology, 10(4), 375-392.

<課題論文3>

これもConceptual Paperなのできつい。ウェルビーイングや生産性を高めるために職場に導入されたセンサー技術の課題を洗い出した論文。センサーによるトラッキング技術(GPSなど?)にはデータプロテクションなどの倫理的課題がある、というのが発見らしい。もう要約を読むだけでしんどい。

Moore, P., Piwek, L. (2017) "Regulating wellbeing in the brave new quantified workplace", Employee Relations, 39, 3, pp.308-316.

<課題論文4>

セミナーで使用。Cheif Happiness Officer (CHO)を置くべし、という記事。CHOを置く→社員のHapinessが上がる→エンゲージメントが高まりエンパワーされ、パフォーマンスが上がる、というロジック。CHOに必要な資質は、
・Human(People personであること)
・Visionary
・Curious
・Insightful
・Adventurous
の5つ。1つ目はCHOならではだが、残りはCXOなら全員持つべきでは。

<課題論文5>

セミナーで使用。Enjoy your stress!という論文。苦手な感想文タイプの論文だったので、タイトル以上の意味がわからない。

Bicknell, M., & Liefooghe, A. (2010). Enjoy your stress! Using Lacan to enrich transactional models of stress. Organization, 17(3), 317-330.

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