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ウェルビーイング:Session4 ポジティブ職業健康心理学

英語のタイトルはPositive Occupational Health Psychologyなので、訳は間違っていないと思うが、日本語にするとどうしても違和感がある…。今回も体調不良で休んでしまったので動画でレクチャーを受講。

<授業での学び>

<イントロ>
・30個ほどの単語を(確か)45秒見てどれだけ覚えられたか、という簡単な実験を実施。
 -大抵はネガティブな意味の単語を覚えてしまうが、それは人間が驚異に対応するためなので、自然な反応と言える。
 -そんな性質に逆らうことにはなるが、ポジティブになると良いこともあるよ、というのが今回のテーマ。
・修道女を対象にした研究では、ポジティブな人ほど長生きする、という結果だった。
 -特殊な職業ではあるが、生活スタイルや仕事の内容が似ているため、生活習慣の違いや役割の違いが出にくい。
 -具体的には、
  ・最も幸福な修道女は最も幸福でない修道女より10年長生きした。
  ・80歳までに、最も元気なグループは25%亡くなってしまうが、最も元気がないグループは60%も亡くなってしまう。 などなど
・健康的な職場は、危険や病気を防ぐことと、労働者の健康促進に支えられている。
・ポジティブ職業健康心理学は、働く人と組織が反映するために、ポジティブな現象を活用して働く人の健康と回復力を促進する方法を科学的に追求する学問。

<バーンアウトとエンゲージメント>
・バーンアウトとは、
 -感情的(心理的)に疲れ切ってしまうこと
 -非人間化されてしまうこと
 -個人の達成を低く評価してしまうこと
・エンゲージメントは、
 -50以上の定義がある
 -ギャラップのQ12の測定によれば、職務満足、組織コミットメントとの相関が高い
 -どうとでも定義できる、という研究者もいる。
 -Schaufeliによれば、以下3つの次元で特徴づけられる。
  ・活力
  ・献身
  ・没頭
・エンゲージメントはその程度によって、健康面では、不安、鬱、バーンアウト、ポジティブな感情、早い回復、をもたらす。
・エンゲージメントはその程度によって、パフォーマンス面では、仕事のパフォーマンス、役割外の振る舞い、チームレベルのパフォーマンス、をもたらす。

<職務要求-資源モデル>
・職務欲求と職務資源が、それぞれ緊張とモチベーションに影響し、最終的に組織的成果に影響する、というモデル。
 -職務欲求が緊張に影響するのでネガティブに見えるが、これがないとやることがなくなるため、仕事においては必須の要素。
・職務欲求と職務資源を軸として捉えると、結果を4パターンで捉えることができ、それぞれエビデンスも見つかっている。
 -高職務欲求・高職務資源:エンゲージメント
 -高職務欲求・低職務資源:バーンアウト
 -低職務欲求・高職務資源:退屈
 -低職務欲求・低職務資源:無関心、無気力
・ジョブクラフティングが職務資源と個人の資源にポジティブに影響する。以下3つのポイントがある。
 -要求の低減
 -リソースの増強
 -挑戦の探索(忙しさを上げたり責任範囲を広げること)
(所感:ジョブクラフティングの詳細についてはこちらを参照)
https://note.com/sephiroth/n/n1104bc41c58a?magazine_key=m4f8b7b1082ed
・また、構造的・社会的(他の社員との関係性など)リソースについてのジョブクラフティングがエンゲージメントと職務満足を増加させ、バーンアウトを減少させる、という研究結果もある。
 -職務要求を挑戦的にするというジョブクラフティングは、エンゲージメントや職務満足に影響がなかった。
・結局、ポジティブだけでネガティブ(適度な職務要求)も良い影響を与えることがある。
・この領域も職務要求-資源モデルも、比較的新しく、まだまだ発展途上。

(所感)イントロから上手く落ちに繋がる授業だった。内容は経験的に非常に納得感がある。ただ改めて考えると、幸福や元気という要素と職務要求-資源モデルは関係がなさそう。強いて言えば、エンゲージメントが高いと幸福だったり元気になりやすい、ということのような気がするので、やはりネガティブ(幸福を感じない、元気がない)のは良くないことと言えそう。

<課題教科書>

ほぼ授業と同じ内容。

"Positive Occupational Health Psychology" Chapter Seven by Bakker and Derks.

<課題論文>

職務要求-資源モデルを開発した研究者によるレビュー論文。モデルが理論になるまでの過程と、今後の展望、論点、現場での応用について解説。

Bakker, A. B., & Demerouti, E. (2017). Job Demands–Resources Theory: Taking Stock and Looking Forward. Journal of Occupational Health Psychology, 22(3), 273-285..

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