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Developmental Networkについての現時点での考察

尊敬し敬愛する垂水さんから下記のリクエストを頂き、

このような授業のnote

を書きましたが、イマイチわかりにくいのでこちらで整理し直してみます。

Developmental Network(DN)とは

HigginsとKramによって提唱された概念で、先輩、同僚、家族、地域社会の人達がDeveloperとして、キャリアに関する成長をサポートするために形成するネットワークのことです。仕事上のパフォーマンスや、人生全般の幸福度にポジティブな影響をもたらことがわかっています。

そのほとんどは、明示的にその人の成長のために作られたのではなく、既にある関係がこの役割を果たしている、のだと思います。また、こういう関係性を作る人達が現れた、ということでもなく、既に存在するネットワークの中から、DNというコンセプトが発見された、とも言えそうです。

DNとモチベーション

DNはモチベーション理論の観点からもその効果が証明されています。モチベーション理論の1つに自己決定理論というものがあり、自主性、有能感、関係性の3つが満たされると内発的動機が最大化される、と言われています。DNでは、それぞれの要素が高まるようなサポートが行われ、モチベーションが高まることがわかっています。

学生時代の友達に仕事の悩みを相談する中で、良いヒントをもらったり、励まされたりする、というのがわかりやすい一例かと思います。

職場におけるDNと職場外のDN

DNは、職場の内外を問わず形成されますが、内か外かで質が異なることがわかっています。職場でのDNによりサポートを受けると、給与の上昇、キャリアに関する満足度が上がるそうです。一方、職場外でのDNのによるサポートは、給与の上昇には貢献しませんが、キャリアに関する満足度と、人生に関する満足度が上がようです。

また、具体的な仕事についての相談や、職場での模範的な振る舞いは、職場におけるDNで、励ましや感情的なサポート、職業的な倫理観や価値観、ワークライフバランスの失敗例、などは職場外のDNでテーマになることが多いこともわかっています。

これは経験的にわかる人が多いのではないでしょうか。目の前のタスクやプロジェクト、社内でのキャリアパスなどについては、具体的に社内の人に相談し、仕事の適性や人生の方向性などは、社外の人に相談することが多いのが一般的であるような気がしますが、これが正に現れているのでしょう。

DNの作り方

ネットワークは多様で、強い方が良いようです。
多様なネットワークとは、
・異なる社会システムの数
・ネットワーク内の人がどれだけお互い繋がっているか
で、ネットワークの強さとは
・感情の濃さ
・成熟度
・コミュニケーションの頻度
だそうです。

多様性についてはイマイチ理解しきれていませんが、多様性については、多様な方が色々な意見やアイディアがもらえる、ということでしょう。ただ、DN的なコミュニティを作ろうとする場合は、多様過ぎるとコミュニティとしての一体感を損なってしまうため、ある程度の制限は必要だと思います。個人として、複数のネットワークを作ったり、コミュニティに入るのが良さそうです。

また、ネットワークを最大化するには、以下がポイントになるそうです。
・組織の内外に作る
・上方向だけでなく、複数の階層にまたがって作る
・複数のネットワークを持つ
・自分が属する部門やグループのすぐ隣ではなく、それを超える
・成熟と相互関係の上に築く
・仕事の内と外両方について、キャリアと個人の課題に関係付ける

これは少し大きく解釈すると、あらゆる人間関係を全人格的な関係にしていく、ということかと思いました。個人的には、スキーやゴルフを習う中で、世代や業種を越えた人達と繋がることがよくありますが、こういうところで出来た関係性を趣味の範疇に留めるのではなく、自分の人生に巻き込んでいく、ということかと。

仕事のアイデンティティとDN

仕事のアイデンティティは、
1.アイデンティティを作ることを試みる
2.コネクションをシフトさせ、新たな人たちと交わり、古いアイデンティティを薄める
3.キャリア物語の中の変化として理解する
の3ステップを繰り返して形作られると言われていますが、DNはまさに2のステップで大きな役割を果たすと言えそうです。

まとめ

「ということでDNは素晴らしいので、どんどん作りましょう!」という結論付ようとすると、違和感がありますね。自己中心的な関係性を築くことには多くの人が嫌悪感を抱くと思いますし、実際それを証明した研究もあります。嫌悪感の原因は、相手から利を得るために自分も相手に何かを差し出さなければならないと感じてしまうからだそうです。しかしこの問題の解決はあまり難しくないでしょう。発達に関する関係性であれば、自分も相手の成長をサポートすれば平等な関係になります。年の差がある関係性などで、発達という点で一方的にTakeになってしまう関係性においては、別の観点で何かGiveできるものを探せば良いでしょう。

なので、DNはあくまで見方として使うのが良いかと思います。こういう見方をすると、これまでの関係性をより良いものに変えるたり、これから作る関係性をより充実したものにできる可能性がありそうなので。

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