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サイエンスワークショップ開催レポート〜音って何だろう?〜
こんにちは! SENZU Science Lab.です。
わたしたちは、科学の面白さと考え方を広めることを目的として活動している団体です。
私たちは、科学の考え方を科学的思考法と呼んでいます。科学的手法は、多くの思考のベースになる「最強の思考エンジン」であり、学術研究だけでなく普段の生活や仕事にも役立つと考えています。
科学の考え方ワークショップ
この科学思考法を伝える活動の1つとして、私たちは科学的思考法ワークショップを運営しています。
私たちのワークショップは大きく2つの特徴があります。
1.高度な知識を前提としないで大学院レベルの体系的な思考を学べる
2.参加者が専門家のフィードバック受けながら実際に手を動かしながら学べる
2021年2月20日にワークショップを開催
2021年2月20日に科学的手法ワークショップを開催しました!この記事では開催内容を簡単に報告させていただきます。
今回のワークショップでは、「音」をテーマに選びました。「音って何だろう?科学的思考法を学びながら音の正体に迫ろう!」と題して、「音とは何か?」ということを考えながら科学的手法について学びました。
対象年齢の目安は高校生以上としました。また今回は、COVID-19の影響を考慮してオンラインで実施しました。
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ちなみに、今回音をテーマとして取り上げたのは、
・身近な現象なので親しみやすい。
・目に見えない現象なのでイメージがつかみにくい(いざ考えてみると難しい)
ためです。
ワークショップの構成と当日の様子
● ワークショップ構成
1.導入とアイスブレイク
2.座学〜科学的思考法って何?
3.グループワーク
4.実験①〜針金電話実験
5.実験②〜膜塩実験
今回は4名の方に参加いただきました。参加者は、20代〜30代の社会人で、本ワークショップには初参加の方々でした。全体通しての時間は2時間でした。
1.導入とアイスブレイク
初めに自己紹介を行いました。普段のお仕事のことや、参加者のきっかけなどを話しながら、和やかなムードでスタートました。
2.科学的思考法って何?(講義形式)
次に、我々の伝えたい科学的思考法について、15分ほどの簡単な講義を行いました。
今回は、私たちの考える「科学的思考法フレームワーク」の全体像を説明しつつ(詳細は の記事を参照してください)、のうちの「2.仮説を立てる」「3.検証する」という思考過程を詳しく説明しました。
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3.グループワーク
座学の後は、ワークショップの本題である音の話です。
このパートは、参加者と一緒に議論するグループワークの形式で進めました。
まずは、頭の体操を兼ねて「音って何だろう?」と自由に意見を出してもらったところ、以下のような意見が出ました。
● 音って一体何だろうか?
・大きい音、小さい音がある
・車の音、人の声、など種類がある
・ドップラー効果(救急車の音が変わる)
・振動、波
「ドップラー効果」などの高度な内容もチラホラありましたが、ここでは知識レベルを問うているわけではありません。ここでは、「恥ずかしい」とか「変な事を言ったら他の人からどう思われるだろうか?」といった感情を捨てることが最も大切です。
あえて言うなら、ここでは、普段の日常生活での「音が鳴っている時にどういうことが身の回りで起きているか?」といった観察の積み重ねが生きます。
様々な意見が出ましたが、皆さんは「音は波である」ということを知っているようでした。この記事を読んでいる方も「音は波である」とか「音は空気の振動である」などと聞いたことがあると思います。
しかし、「どうして音は波といえるのですか?」と言われて即答できる人は少ないのではないでしょうか?
そこで、さらに音の正体に迫るため、「波と粒子」という観点で音について考察してもらいました。科学的思考法プロセスにおける「仮説を立てる」の部分を訓練していただくことが目的です。
議論の詳細はここでは省きますが(ぜひワークショップに実際に参加して体験してみてください)、参加者かは以下のようなテーマで活発に意見を出してもらいました。
● 波の性質・現象で思いつくもの
・粒子は数えられるが、波は数えられない。(粒子は点のイメージ、波は広がりをもっていそう。)
・水面の波紋
・弦の振動
● 粒子の性質・現象で思いつくもの
・(壁などにぶつかると)跳ね返る。真っ直ぐに進む。障害物で止まる、(野球をイメージして考えた。)
・落下する
波動と粒子の差異に着目したり、野球ボールをイメージしたりと、良い視点で議論を行っていただけたと思います。
このパートは、参加者の方々がどんどん意見を出してくださり、私たちも思わず一緒に盛り上がってしましました。
5.実験①〜針金電話実験
このパートは、音を波と粒子という視点で分析できるような実験を私たちで用意し、参加者の方々に実際に手を動かしながら考えていただきました。(※ 本当は、良い実験のやり方を考えることも大切なのですが、今回は時間の都合上割愛しました。)
1つ目の実験内容は、針金電話実験です。今回はオンライン開催のため、事前に参加者に実験器具や手順書を送付しました。
針金電話実験を簡単に説明すると、2つの紙コップを針金で繋いだ装置で音を伝える実験をします。
![スクリーンショット 2021-06-19 23.45.39](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54984284/picture_pc_5b8028868d41127ae046875828fa9f6a.png?width=800)
よくある糸電話の実験とやっていることは同じです。一方の紙コップの中で音を鳴らすと、もう一方の紙コップまで糸を伝って音が聞こえます。糸電話を使うと、ふつうに音をきくよりも音がはっきりと聞こえます。
今回は、針金電話で音を聞きながら、針金を指でつまんでもらう実験を行っていただきました。参加者の皆さんには、前のパートで立てた仮説に基づいて何が起こるか予想し、実験を行い、振り返りをしてもらいました。科学的思考法プロセスにおける「検証する」の部分を訓練していただくことが目的です。
当日参加者の意見は以下です。
● 実験結果の振り返り
・糸電話があると音がクリアに聞こえた。
・2本の指で針金を挟むと音がしなくなった。
・針金と糸では音が変わったりするのか気になった。
6.実験②〜膜塩実験
最後に、目に見えない「音」という現象を「可視化」「定量化」することを目的とした実験を行いました。定量化とは、重さや速さなどを測ったりして、性質を数字で表すことです。定量化することによって、様々な現象比較したり、関係性を見出したりできるようになります。
「可視化」「定量化」は、科学的思考法プロセスでは「検証する」をはじめとしてあらゆるところで用いられるテクニックです。
参加者の方々に行っていただいた実験は、膜塩実験です。簡単に説明すると、薄い膜の上に小さな粒を撒き、薄膜にある一定の音を当てると粒が模様を描くという内容です。詳しい説明は省略しますが、模様ができる理由は、定常波という波の性質によるものです。この模様は「グラドニ図形」と呼ばれます。
![スクリーンショット 2021-06-19 23.57.48](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54991298/picture_pc_6b8698f66d8c8c362b75b29e9a322d19.png?width=800)
今回は、サランラップと食塩とiPhoneのスピーカーを使って実験してもらいました。
当日の参加者の意見は以下です。
● 膜塩実験の結果
・塩が跳ね上がった。
・模様ができた。
・音を近づけると膜が振動した。
薄膜と塩を使うことにより、音という現象を可視化・定量化することができました。
![名称未設定](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/55536375/picture_pc_1b6eb3583f1c1ca1a87e90747164f00a.jpg?width=800)
最後に今回のまとめと学んだことを振り返って、今回のワークショップは〆となりました。
また、少し時間を延長して、定量化の考え方の普段の仕事や生活への応用例として、東京の電力需要と平均気温のデータを用いたデータ分析の話もしました。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54991905/picture_pc_5f10dce6289e2e197c3afa773dd2e7e4.png?width=800)
最後に
当日は、科学的思考法を行なうためのコツをアドバイスしながら進めました。具体的には、観察したり、仮説を立てたり、意見を述べたりする際にそれぞれ注意する点や、それぞれの過程で外せないチェックポイントがあるため、その点をサポートしました。また、科学的思考を身につけるには、実際に自分で考えて議論をすることが不可欠です。
ぜひ、私たちのワークショップに実際に参加して、楽しみながら科学的思考法を学んで欲しいと思います。
参加者からのワークショップ全体を通しての意見を載せます。
● ワークショップ全体を通しての所感
・久々に実験ができて楽しかった。
・実際に音で塩が跳ね上がる様子が見られて音という現象のイメージがついた。
・音に関して2つ別の実験を行ったため、音に関する理解が深まった。
・グループワーク中に講師が考え方をアドバイスしてくれるのが良かった。
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