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【教員のキャリアシリーズ①】「ご縁の力」でキャリアを創造!ピアノコースを経て多分野の講師へ(音楽・音響デザインコース講師 舘田ゆり)

洗足学園音楽大学の魅力の一つは、多様なバックグラウンドやキャリアをお持ちの教員が多数在籍していることです。本シリーズでは、魅力ある教員の多彩なキャリアをインタビュー形式でお伝えしていきます。

<プロフィール>
舘田ゆり(音楽・音響デザインコース講師)

洗足学園高等学校音楽科ピアノ専攻、洗足学園大学音楽学部ピアノコース卒業。
在学中より、オリジナルオペラの公演を行う団体の楽士メンバーとして音楽活動に参加。インターネット黎明期の2000年より、パソコン講師やWeb制作に関わる。
外資系PCメーカー、IT企業のデザイン部門、Web制作会社での勤務を経て、独立。フリーランスのWebデザイナーとして、企業サイト、個人サイト、ネットショップなど、大小さまざまな規模のWeb制作や広告ツールの制作に携わる。
2014年、品川区立 武蔵小山創業支援センター 専門アドバイザーに就任。


1.「演奏活動とインターネット」2足のわらじ生活


ーー今日は、舘田先生のキャリアについて、色々お話を伺わせてください!

洗足学園高等学校の音楽科を卒業後、そのまま洗足学園音楽大学に進学しました。当時はピアノを専攻していました。
卒業後は、演奏活動をベースに仕事をしながら、いずれは独立と思っていました。早いうちからフリーランスを目指したい、という意識が強かったですね。
そのために何をしたらいいかということを、学生のうちから自分なりに調べつつ、演奏活動に参加していました。
当時は、同世代の若手の音楽家が集う演奏団体に所属しており、絵本や文学作品等、色々なジャンルの作品をベースにしたオリジナル「日本語オペラ」の公演、出張演奏活動の他、団体の広報に携わっていました。

その一方で、演奏活動と並行して、大学に入ってから出会ったインターネットに魅了されていまして、“インターネットは面白い!“と感じたんです。それから、演奏活動と並行して、大学の勉強の傍ら、図書館に通ってパソコン・インターネットに触れ、面白半分でホームページを作ったりしていました。

洗足の高校音楽科時代。写真は、前田ホールにて。
2年生の時に文化祭で、アルプスの背景画の制作や大道具を担当した頃


演奏活動をしながら、“演奏活動だけでは食べていけない”と感じた時に、「インターネットの世界は、これから伸びる。きっと仕事もたくさんあるだろう」と考え、その世界に飛び込もうと決意しました。
そして、演奏活動と併用してできる仕事を探していた時に、“一般の方々向けに、パソコンやインターネットの使い方を教える、市民向け講座の講師”の募集を見つけました。業務委託という形だったので、演奏活動と併用できるかな…と思い、応募をしてみました。
 

ーーどのように見つけたのですか?

卒業してすぐに、インターネット検索で見つけました。
最初は、経験もない自分にできるのかと心配だったのですが、面接の担当者からから、「教職の免許を持っているし、たぶん大丈夫ですよ」と言われて、安心したことを覚えています。
 
実際に教える仕事をしてみると、それが意外と楽しくて(笑)。
しかも、学生の頃に学んだピアノ教授法や教職などの授業で得た知識や経験が、非常に役に立ったんです。
結局この時の経験が、巡り巡って、今の仕事につながっている所もあるのかもしれません。
パソコン講師をはじめてしばらくすると、もともと興味があったWeb制作のサポートや、アプリ開発のサポートのお仕事にも、業務委託の形で携わるようになりました。
今でいう“テレワーク”のような仕事スタイルでした。自分で予定が組めるような働き方でしたので、演奏活動との2足のわらじ生活を実現することができました。

所属団体の練習合宿

2.人生の大きな転換期

卒業後は、順調に働いていたのですが、父親が突然大病を患ったことで、方向性が一変してしまったんです。
最初は、”手術すれば治るらしいので良かった”と楽観視していたのですが、実は重大な病気が隠れていたことが判明し、医師から余命宣告を受けるような状態になってしまいました。
 
その時、“今のままの人生を過ごしていて大丈夫なのか…”と思ったんですね。
 
そして、病気発覚から1年後に父親が亡くなりました。これまでの生活は、応援してくれた父がいたから成り立っていた生活だったんだ、ということに気がついたんです。
それがきっかけで、自分の人生をきちんと考え直さなければいけない、という風に気持ちが切り替わりました。
今後、音楽活動をしながら自活して生きていくためには、どうしたらいいのだろう…と、とても悩みました。
一人で悩んでいた時に、大学時代からの友人が、“音楽はずっと続けられるよ。いつでも傍にある。1回離れたとしても、また戻ってくればいいんじゃない?”と声を掛けてくれたんです。

キャリア授業の様子


ーーそれは何歳くらいの時ですか?
 
30歳手前でしたね。
友人の言葉を聞いて、急にぱっと道が開けたような感じがしました。とにかく、気持ちが楽になったんです。

そして、所属していた演奏団体を離れる決意をし、Webデザインの技術をしっかり実務として学ぶために、仕事をしながら学べる方法はないかと考え、派遣社員を選択しました。
最初は、カスタマーサポートがメインのお仕事からスタートしたんですが、
徐々にWeb制作を任せてもらえるような仕事にステップアップしていきました。

キャリアセンターでは様々なイベントも企画


3.派遣社員としての経験を積む


外資系企業・大企業・ベンチャー企業など、会社規模の違う様々な業界の現場で仕事をしながら、Webデザイナーとしての経験を積んでいきました。

独立する前に勤めていたベンチャー企業での仕事は、特に印象に残っていますね。私が仕事を始めた時は、6名くらいの小さい規模だったのですが、私が退職する頃には、社員が60名くらいになっていました。

こちらの現場では、派遣社員といえども社員の方同様に、色々なお仕事を任せていただきました。もちろん大変な仕事もありましたが、周囲に優秀な方が多く、刺激の多い職場でした。今振り返ると、この時に最もWebデザイナーとしての実力がついたと思います。

3年程働き、自分の実力もだいぶついてきたことを実感できた頃、周りの方々との色々なご縁も出来たので、そろそろ独立してもいいかなと考えるようになりました。そして、派遣社員の契約終了のタイミングで、フリーランスとして独立しました。

自分の仕事のスタンスは、「誰かに教わるというわけではなく、現場で働きながら、わからないことは自分で調べて仕事を覚えて、出来ることを増やして、自信をつけた感じ」ですかね。

ーー会社の規模とか、雰囲気とかも、バラエティー豊かな所で働かれたですね。

はい。

1つの現場にこだわらずに、様々な現場で働いたことで、それぞれの良さも分かりました。自分にとって、この働き方が合っていたみたいです。

実は、それぞれの現場でお世話になった方とは、現在でも連絡を取り合って繋がっているんですよ。

ーー先生のご縁の力、すごいですね。

ありがとうございます。
ご縁の力」は、私の中ではキーワードになっています。
フリーランスは、1人で仕事をするイメージがあるかと思うのですが、実際はそうではなくて、いろんな人との縁で仕事をしていくものだと思っています。
私は「ご縁の力」に助けてもらうことが多かったので、私自身も人をきちんと助けてあげたい、繋いであげたいという気持ちを大事にしながら、仕事をしています。

音楽・音響デザインコースでのイベント広報に関する打ち合わせ


4.キャリアセンターの担当教員として


ーー話は変わりますが、キャリアセンターの担当教員になっていただいて、ちょうど3年目ですね。

もう3年ですか、早いですね!
 
学生さんからすると、キャリアセンターは怖くて行きづらいとかマイナスのイメージを持たれることが多いです。
 
実は私自身も、学生時代は就活をしていたわけではないし、フリーランスを目指していることもあり、キャリアセンターが遠い存在でした。
自分自身がキャリアセンターの業務に携わるようになり、内側からキャリアセンターを見てみることで、キャリアセンターの知らなかった側面を知りることができました。様々な改革をしていることが分かり、徐々にイメージが変わっていきました。
最近では、キャリアの話をしに来てくれる学生も増えて、キャリアセンターイメージが学生たちの中でも変わってきてる印象がありますね。

ーーキャリア支援ワーキンググループ(※)では、メインに立っていただいています。

※キャリア支援ワーキングクループは、学生の卒業後の進路選択の支援のために、教員と大学運営側が一体となって企画立案・実行するグループ。2021年に開始され、現在は、教員が主体となったキャリアイベントを開催しています。

今までは各コース間で、キャリアについて横断的に語る機会がありませんでした。
キャリア支援ワーキンググループが発足してからは、先生方が感じていることを直接伺うことができるようになりました。私自身、毎回とても勉強になり、刺激をたくさんいただいています。
参加していらっしゃる先生方も、“もっと率直にキャリアについて話していいんだ…”という雰囲気ができていて、良い情報交換の場になっていると感じています。


ーー舘田先生が、キャリアセンターと教員の橋渡しになって頂いたと感じています。
 
最近では、ワーキンググループに参加されていない先生方からも、キャリアに関する情報共有をいただいたり、私からお話をさせていただくことも出来る様になってきました。
ワーキンググループができたことで、良い流れが出来ているなと感じています。

キャリア支援ワーキンググループでのディスカッション

5.本学に興味がある高校生、企業様へのメッセージ


ーー最後に、大学進学を希望する高校生、学生に期待する企業さんへのメッセージをお願いできますか。

<大学進学を希望する高校生へ>
洗足学園音楽大学には、様々な将来を考えている学生がたくさんいます。
プロのミュージシャン、ミュージシャンを支えるスタッフ、あるいは作編曲や、クリエイターを目指す人はもちろん、音楽系企業や一般企業への就職等、選択肢が広がっています。
大学には、様々なバックグラウンドを持ってる先生方やスタッフの方々がいます。
自分が挑戦してみようと思えば、チャンスやきっかけがいくらでも転がっているような状況です。
音楽業界に興味がある方はぜひ、来ていただけるといいなと思います。

<洗足の学生に興味がある企業様へ>
学内では、ほぼ毎日のように、どこかで演奏会やイベントを実施しています。
キャリアを自分で作っていくという意識が強い学生も多いので、そういった学生に興味ある企業の方と、学生たちの可能性を広げるようなコラボレーションが出来ると嬉しいです。
 
新しい音楽の未来を創っていく」とまで言ってしまうと、大きくなってしまうかもしれませんが、企業の皆様と協力して、新しい世界を一緒に作っていけたらと思っています。


▶▶洗足学園音楽大学:https://www.senzoku.ac.jp/music/

▶▶キャリアセンター:https://www.senzoku.ac.jp/music/about/senzoku_support/

Text by キャリアセンター