音大生卒は本当に武器になるの？？「「音大卒」は武器になる」の著者、大内孝夫氏に伺いました！

2022年9月22日(木)に『「音大卒」は武器になる』『「音大卒」の戦い方』等の書籍を出版された大内孝夫氏をお迎えし、「『音大卒』を武器にいかに力強く生きるか」をテーマにした講演を開催しました。

今回は、大内氏から洗足生に向けられた3つのメッセージを紹介したいと思います。

音大卒のすごいワケとは？？

「音大生は当然音楽を学びますが、音楽に限らずあらゆることを学び、一般大学の学生よりも優位性があります。さらに、日々の先生とのレッスンやコンサートを行うなかで高いコミュニケーション能力、責任感、時間管理力、忍耐力、正確さ、丁寧さ、礼儀正しさなど高い社会人基礎力を身に付けています。この力は、新社会人として身に付ける力であり、音大生は知らぬ間にこの力が備わっているのです。また、その他にも楽譜を覚えるといった記憶力や全体を俯瞰してみる力、また孤独への耐性、男女間の性差ない実力主義力という総合力までも身に付けています。そして音楽はいろいろなものと組み入れやすく、着メロやアニソンのようなビジネス・イノベーションとなるのです。そんな音楽を学んでいるということは強みといえるでしょう。」

「音大生のすごさ」を知ってほしい！！

「音楽大学でたくさんの能力を身に付けているというすごさは、誰もが与えられたわけではないのです。自分がいかにすごいかに気付いてほしい。周りが音大生ばかりなので、気が付かないでいるのです。今までは、一人ひとりの平均レベルを上げることで生産性を上げていましたが、今後はAIやインターネットの発達で、一人ひとりが強みを磨くことの方が生産性向上につながりやすく、より強い組織が作れるはずです。強みのない個人の集団は、平均点が高くても、強みのある個人を揃えた集団にはかなわないという意味で、みなさんが音大で磨く能力、音楽の専門性は組織でこそ役に立ちます。」

卒業後は、フリーランス、就職どちらでもいい。大事なことは？？

「音楽を活かすのは、大学卒業後すぐではないといけないと考えないでほしいです。第二の人生のために、就職をしてお金をためるという考え方もあるのです。まずは、自分をマネジメントすることが大事。自分の目標に勝つためには戦略をたてること。そして、具体的にいつまでに達成するのか期限を設定し、達成度を定期的に確認する必要があります。目標が達成できなければ、その理由を分析し目標を修正する。これを繰り返し行えば、（イチローさんのお言葉を借りれば）いつか目標が夢に到達しています。また、人生の時間は限りがあるので、捨てるという選択もとても重要です。」

このようなメッセージを受け取った学生たちですが、受講後のアンケートから学生の声を紹介します。

学生①：
自分には音楽しかないと、自分で霧の中に迷い込んでいました。自分が学んできたものと、やりたいことや興味のある仕事との関連性に気づくことが大切だということを学びました。今後も、音大に在籍しながらも、自分の実力をしっかりと見極め、やりたいこと、できることを考えながら、将来のことを戦略的に考え、見つけていきたいです。

学生②：
音大生だからこそ身に付けられる強みを社会で活かしていきたいと思いました。それに加えて、自分をマネジメントできるよう、もっと鍛えていきたいと感じました。

学生③：
礼儀等を学んだのは大学の先輩や先生であったような気がします。フリーランスで生きていく事と就職して毎月同じ給料を貰いながら生きていく事、大変さや生きやすさは人それぞれだと思いますが、将来の事を自分の意志で決める事が改めて大事だと感じました。

学生④：
音大生は、自分が気づいていない社会人にとって必要な「強み」が多いことに気が付かされました。

学生⑤：
今まで考えたことがなかったこと、気付けなかったことをたくさん教えていただいた講座でした。音楽をやっていく上で必要な力を十分に身につけていきたいです。自分の力に自信を持つことができるような後悔のない学校生活にしたいと思わせていただける講座でした。

このように、音大生の強みに気づけたことは、学生たちにとって大きな財産になったことでしょう。
やはり、著書のタイトルにもあるように、音大卒は武器になるし、またその武器が何かを知ることにより、社会に出ても十分戦えることに改めて気づかされた貴重な講演となりました。
今後も、このような機会を学生にお届けしていきたいと思います。

大内孝夫（おおうちたかお）：1960年生まれ。みずほ銀行支店長、銀行等保有株式取得機構運営企画室長（常勤トップ）などを歴任後、2013年から武蔵野音楽大学に転職。大学の就職課に勤務。現在名古屋芸術大学教授。日本証券アナリスト協会検定会員、ドラッカー学会会員、全日本ピアノ指導者協会（ピティナ）評議員／キャリア支援室長／組織運営委員／ピアノ指導者経営相談窓口担当、名古屋音楽学校アドバイザー。
著書： 「音大卒」は武器になる、「音大卒」の戦い方、音大出てどうするの？　他。

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Text by キャリアセンター 岡本