となり会員さんが企画したプロジェクト「海外で富士山絵を描きたい」銭湯絵師 中島盛夫さん×現地の協力者ミューラルアーティストKoryuさん対談
杉並区・高円寺の老舗銭湯「小杉湯」のとなりに位置する、会員制シェアスペース「小杉湯となり」。
今回は、以前インタビューさせていただいた会員のけいちゃんが、銭湯をきっかけに取り組むことになったプロジェクトについて、本noteで取り上げさせていただくことになりました!
けいちゃんは、銭湯絵師 中島盛夫さんの「海外に富士山を描く夢を応援したい」というプロジェクトを進めています。2024年10月12日(土)ニュージーランド南島 クライストチャーチで開催されるJapan Fiesta EX2024に出演するためのクラウドファンデイングをし、177%の達成率でSuccessしました!
Japan Fiesta EX2024以外にも、ニュージーランドのご縁と伝手からミューラルアーチストKoryuさんと繋がり、クライストチャーチ街中の壁に銭湯絵を描けることになりました。現地で2週間ほど滞在しながら準備と当日を迎えます。
この対談は、実際に現地で描く銭湯絵師 中島さんと、ニュージーランド街中の壁を探してくださったミューラルアーチスト Koryuさんとの様子です。場所は小杉湯となりの3階スペース、聞き手はけいちゃんです。写真と文章はクラウドファンディングの支援者で、小杉湯となりの常連まーちんが担当いたします。
\このnoteは、こんな人におすすめです/
銭湯絵師の中島さんと、ミューラルアーティストのKoryuさん
中島さん:銭湯絵師の中島です。60年間、銭湯に絵を描いています。いま79歳。19歳から東京オリンピックの前から始めたんです。3年間見習いで、それからずっと描いてます。
Koryuさん:Koryuです。日本からコロナを機にニュージーランドに移住し、ミューラルアーティストとして壁画を描くことを仕事にしています。
壁画系のプロジェクトを同じプレイヤーとして盛り上げたい
ーーまず、Koryuさんがこのクラウドファンディングを知ってくださった経緯と、ご協力いただいた背景を聞かせてください。
Koryuさん:最初、ニュージーランドで富士山絵を描くクラファンがあるよって友達から送られてきたんです。そしたら、三日後ぐらいに本人の恵介くん(けいちゃん)から電話が来て、びっくりしました。
「ミューラルアート」って日本語で「壁画」という意味なのですが、同じプレイヤーとして壁画業界を盛り上げたいと考えていました。「日本の壁画といえば?」で考えると、たしかに銭湯絵はその一つだなと思って。この文化がニュージーランドにも、世界にも伝わったらいい。壁画業界で活動的なことをしている人もなかなかいないので、より広く知ってもらうためにも、サポートすることにしました。
中島さん:ニュージーランド行ったら(Koryuさんが描いた壁画)見れますか?
Koryuさん:行ったら見れます!ちょうどクラストチャーチの中島さんが行く中心街に、僕が描いた金剛力士像があります。今まで描いた壁の中で一番目か二番目ぐらいの大きいんですよ。
その壁も、ミューラルフェスティバルというアーティストをみんな一つの街に集めて一気に描くイベントで描きました。高さ8m、横20メートルほどあります。
モチーフは、昔、修学旅行で行った東大寺の南大門に金剛力士像を思いつきました。あれが高さ7.9メートルなので、実寸で描けるんじゃないか、描いたらカッコよさそうだって考えたんです。これです。
中島さん:すごい!時間かかったでしょ?
Koryuさん:これは10日間くらいです。
ーーKoryuさんにご連絡する前に、この絵を見てました!のぞみさんというKoryuさんを繋げてくださったニュージーランド在住の方との話で、初めて「あ、これKoryuさんが描いたんだ!」って自分の中で繋がりました。Koryuさんも僕がご連絡する3日前にクラファンのことをご友人に教えてもらっていたそうですね。
Koryuさん:すごい繋がりですよね。
ニュージーランドでの壁探し
ーー今回のニュージーランドの挑戦で重要な、街中での壁探しについて伺わせてください。普段はクライアントから依頼があって初めて描くフローなので、あらかじめ壁が決まってるのに対して、今回は描き手側の希望があって、という始まりです。今回、どうやって壁を見つけられたのかお話いただけたら嬉しいです。
Koryuさん:今回の壁自体は、クライストチャーチにいる、壁画をもっと世に出したいというエージェントさんがいらして、その人たちにお願いしました。
クライストチャーチは、かなり壁画の文化が発展しています。東日本大震災と同じ時期に、地震があった場所なんですよ。一番メインの教会とか全部崩れちゃって、まだ復興してないんです。がれきも結構そこらじゅうにあって、ストリートアートで再復興しようと都市として掲げてるんです。なので大口の予算が下りやすい。それで壁画がどんどん増えて、描き手もいっぱいいるし若手もいっぱいいるし、すごい壁画ストリートアートを描くすごくいい環境です。
一つのエージェントに、僕が金剛力士像を書いた時知り合って、その人にお願いして、探すの手伝ってもらいました。
普段は、いい壁を見つけたら直接オーナーに交渉しに行くのが多いみたいで、かしこまったメールとか、軽く声かけたりとか。建物のオーナーと、土地のオーナーがオッケーといえば描けるんじゃないかな。たまに建物1つを複数のオーナーが持ってたりするのでその時は複雑になるんですけど。
ーー今回の場合だと、一人のオーナーさんの建物ですか?
Koryuさん:詳細はわからないんですが、このエリアは使っていいよって言ってくれたみたいなので、きっと大丈夫なんだと思います。
銭湯絵モチーフの描き分け
ーーJapan Fiesta EX2024とは違って、外にある壁ですから中島さんの絵が長く見れますね。(※Japan Fiesta EX2024では室内で、板に銭湯絵を描くパフォーマンスをします)
中島さん:イベントの時は、「海・川・湖どれがいい?」ってお客さんに聞くんです。聞いて、「じゃあそれを描きましょう」ってやります。
ーー今回もそのスタイルで行きますか?
中島さん:できますよ。
Koryuさん:すごいな。海・川・湖、描き分けるのけっこう、難しい。
ーーどうやって違いを出すんですか?
Koryuさん:きっと違いがある線があるんでしょうね、この線を引けばこう見えるっていう。
中島さん:海だってさ、波の荒いのだとか穏やかなのとか色々ある。
ーーいちど教えていただいて、僕の家のお風呂場に銭湯絵があります。定休日のときも、家で景色のあるお風呂に浸かっていて、それを中島さんとここ(小杉湯となり)の一階で描きましたよね。あの時ひどかったですよね?(笑)
中島さん:初めてにしてはいいよ。
ーー途中から中島さんがけっこう手直ししてくれてやっと成立したんです。最初は本当に難しかったです。青にも、濃さというか、青にも何種類かあって。空の色が、僕、青すぎて「これじゃ海だよね」って。
だって、銭湯絵って、全部、青なんですよ。空があって富士山があって湖か川海があって。全部青だから、その観察眼っていうか。どの色を混ぜたら、どれくらい混ぜたら、この青になるみたいな、本当経験でしかない。最初濃すぎたっていうのがありました。
Koryuさん:いつごろこれが銭湯絵だってバランスが成立したんですか?それこそ始まりの頃はもっと他の色を使ったり、全然違うもの描いた時代はあったんですか?
中島さん:色自体は4色で限りでありますし。白を入れて色を作ります。
Koryuさん:原色の4色を混ぜて。夕焼けと赤富士とかもあるんですか?
中島さん:はい、描きます。
🗻 🗻 🗻
空塗り3年、松10年、富士山一生
ーーミューラルアートを始められたのは何歳くらいからですか?
Koryuさん:5年前の31歳ごろでした。2019年、コロナの1年前くらいです。オーストラリアに行てからですね。意外と最近。
ーーその前から絵は描かれていたんですか?
Koryuさん:いや、実際、そんな描いてなくて。日本で広告デザインの仕事していました。チラシや、昔で言うと写植士の延長線上のような仕事をしていましたが、5年ぐらいやって会社辞めて、海外旅行をはじめて、オーストラリアに行ったという流れです。
Koryuさん:ずっと昔から興味あったんですが、始めるタイミングが掴めずにいました。やりたい気持ちを見て見ぬふりしてきて、どうしていいか分からなくて。
ある日、僕の知り合いの知り合いで、ダンススタジオの絵を描いてる方が描いてるのを見て、『本当にやってる人いるんだ!この仕事って。それなら自分もいつかできるかもしれない』と思ったことがきっかけです。それから5年かかったんですけどね。
ーー中島さんは下積みでいったら、3〜4年空塗りされていたとおっしゃっていましたがどうでしたか?
中島さん:3年は下積み。空塗り3年。その頃ローラーないから、ハケで3年。
Koryuさん:空を塗るのに3年・・・。
中島さん:松を描くのに10年。
Koryuさん:そう・・・。
中島さん:富士山一生。
Koryuさん:なんか寿司屋の見習いがずっと海苔を焼かされてるみたいな話だったんですか。そうなんだ・・・。松、10年描いたんですか?はー。
中島さん:僕の師匠の松は最高で、今でも描けないって感じで。名人です。
Koryuさん:それは中島さんの中で何がすごいですか?角度とか?筆の圧力とか?1回で出せる線とか?
中島さん:迫力が違うの松の。幹にしてもピョンピョンって出されて。
Koryuさん:全然想像できないな・・・。
中島さん:富士山なんて描くの速かったですよ、ピッピッピって描いてた。
ーーいまだとお師匠さんと中島さん、同じ富士山、同じ大きさの富士山だったらどっちが速いですか?
中島さん:いやー僕のが速いでしょう。タッチも違うし。富士山ね、最初はモノマネじゃないけど、似たようなの描くんだけど、10年くらいして自分の絵になる。だから、いくら大きくても富士山描く。
60年描き飽きない、富士山
ーー富士山がメインの銭湯絵を60年やられて、飽きたことはないですか?
中島さん:ないないない。全然、飽きたことない。「どこの絵が一番いい?」とマスコミの人に聞かれますが「今日描いたのが一番なんだよ」って答えます。「どこの絵?」「これだよ」って。
Koryuさん:自分を超えていかないと。
中島さん:ニュージーランド行ったら、ニュージーランドの絵が一番になる。同じものを描きたくないっていうかね。必ず同じような画面だとしてもちょっと変わる。ちょっと違う。同じものは描かない。
Koryuさん:例えば富士山でいったら、富士山をどの角度で見た時とか、そういうところま考えてらっしゃいますか?
中島さん:もちろん。富士山の見える場所に住んでいる人は、うちから見る富士山が一番っていいますからね。僕が見て一番は河口湖かな?河口湖からみた山麓のなだらかなところが女性的な絵になる。
頭だけ見える富士山でいえば、富士吉田。富士吉田からの、いいね。富士吉田と河口湖はそんなに離れてないよね、4キロくらいかな?あとは三保の松原(みほのまつばら)とかね、あそこもいいけど、僕は山梨側からの方がいい。
Koryuさん:ぼく、小学校低学年のころ、静岡の大井川あたりに住んでいました。学校に通うとき、だいたい遠くに富士山が正面に見えるんです。たまに笠かぶってるのをみて、三日後は雨だなとおもってたんですけど、すごく綺麗でしたね。
中島さん:いま新幹線通って、陸橋から一番見える。そこがいいところですね。
縛りのある中でどこまで描けるか試している
ーーKoryuさんは絵の題材はどう決めていますか?
Koryuさん:僕は広告デザインの仕事をしてたときの名残が強いです。公共の場に描くときは、その場所に似合ったものを描くようにしています。例えばカフェだったら、カフェに合うようなものの方が僕が納得しやすい。逆に何でも自由に描いていいよと言われたほうが、ちょっとつらい。自分で縛りを設けたいんです。そういう意味ではまだまだ発展途上。このままあと60年くらい続けたら、描きたいものが定まるかもしれないです。
ーー珍しいタイプではないでしょうか?
Koryuさん:芸術家とか美術家とかのアーティストって、だいたいは自分で好きな絵を描いて、それをギャラリーとかで販売するのが主流です。壁画ってちょっと特殊で、依頼を受けるんですよ。僕は「商業壁画」って呼んでます。「商業」って使うから「職業音楽家」みたいな感じで、依頼をもらってる時点で、すでに100%自分の絵ではないじゃないですか。
ーーたしかに。
Koryuさん:依頼をもらった上で何を自分の色をのっけてって、何かを生み出すっていう感じ。僕の中ではちょうどデザインと絵の間みたいな感覚なんですよ。その中で、自分の絵の割合が強かったらいいな、ぐらいで。
例えばガチガチに絞られて100%先方の言う通りにに描くっていうのは、
逆にしない、というかできないんです。そうすると僕が描く意味がなくなっちゃう。
Koryuさん:ミューラルの壁画を描く僕の知り合いの大半は壁画だけじゃなくて、先生やってたりタトゥーやってたりします。そうやって収入の本数を増やしてるので、僕もそこまでできれば、もっと、自分100%の絵を描けるんんじゃないかと思います。それを今後はもうちょっとやっていこうかなと考えているところです。
中島さん:すごいよね。僕は一つだけからね。富士山一つ。
Koryuさん:そっちのがすごいと思いますよ。
中島さん:僕の場合は、富士山をテーマにして、海、湖、川この三つだけ。川の中にも、滝があったりする。
Koryuさん:雲海みたいな感じもありますもんね。
銭湯に絵を描こうとなった歴史背景
Koryuさん:僕、詳しくなくて申し訳ないんですけど、銭湯に何か絵を描こう、ってなった歴史背景とか、なんで富士山になったのかってご存知ですか?
中島さん:最初は大正元年とかだったかな、東京の猿楽町に、キカイ湯というのがあったんですって。店主が富士山の見える静岡の掛川出身の人で、富士山を書いたらしいんです。それが評判になって広まった。100年以上前ですね。
Koryuさん:その人が創始者だ。
中島さん:何を描こうかって考えて、自分の田舎の絵ってなったんでしょうね。富士があったので、題材は最高だよね。
Koryuさん:一発目から一番いい題材だったんですね。
海外映画にも出てくる中島さんの銭湯絵
Koryuさん:どれだけいろんなメディアとか媒体に落とし込まれたか。海外の映画を見てても、温泉と富士山絵とかあったりするし、ゲームの中だったら、ザ・日本っぽいものの象徴じゃないですか。”富士山”がじゃなくて、”銭湯の中にある富士山の絵”が象徴になってるじゃないですか。それがすごい面白い。風呂文化しかり。本当に日本にしか生まれない文化。
中島さん:あれにも出てこなかった?テルマエロマエの映画に。
Koryuさん:テルマエロマエに出てきてました。主人公が絵を見て、これは良いな!と思って持ち帰って、ローマでもそこの山を描いて。
中島さん:あのお風呂、裸で出てきたところ、僕が描いたところだから。
Koryuさん:えっ!そうなんですか?ちょうど少し前に見たんですよ。
ジャパンフェスタ(Japan Fiesta)の見どころ
ーーお二人から今回のニュージーランドで行われるJapan Fiesta EX2024の楽しみなところや、見どころを伺えますか。僕は本当にこれが銭湯カルチャーを守っていくことに繋がればいいなと思ってます。
中島さん:日本の良さを描くことに専念しようと考えています。日本に来て、富士山に登ってみようって感じられるように、富士山をPRする、日本をPRするってことですね。日本は四季があっていいよね。むこうにも四季があるって聞きました。
Koryuさん:ニュージーランドは場所によっては1日のうちに四季があるっていわれるぐらい不安定なんです。
中島さん:富士山の場合は1日のうち4回ぐらい色が変わっていきますね。笠雲できたら必ず雨が降る。あれも面白い。
Koryuさん:ジャパンフェスタ自体は僕はまだ行ったことがないんですが、友人は行ってよかったって聞いてます。
イベント自体に人がいっぱい来るだろうし、ニュージーランドって割合的に日本人女性がワーキングホリデー(ワーホリ)に行って、そのまま現地の方と結婚してっていう組み合わせのご家族が結構いっぱいらっしゃいます。
Koryuさん:ハーフの世代の子供たちもいっぱいいるので、伝えやすいんじゃないかな。次世代に伝えることがすごい重要なので、僕ら以上の世代にもそうだけど、若い子たちにも、もっと見てもらえたら。
僕、個人としては銭湯っていうのが日本にはいっぱいあって、中に絵が描いてあることを、特にアーティストに伝わったら嬉しいなと思っています。それは日本に来ないと分からないことですし。
そもそも公衆浴場にみんなで風呂に入るって文化が海外にはないんです。
ニュージーランドも温泉はあるけど、混浴でみんな水着を着て入ります。裸の付き合いと、銭湯絵含めてそれがいいんだよってことが伝わったらすごく嬉しいなと思いますね。
中島さん:水着着て入ったって面白くない(笑)
Koryuさん:裸の付き合いだからこそやっと仲良くなれたみたいな空気も、昔あったりしますもんね。
ーーそれが成立している日本は本当にすごいなって思いました。
Koryuさん:正直言うと特殊ですよね。
ーー特殊。本当に。だからそこが受け入れられないから、どうしても銭湯はメジャーにはならないような気も、もちろんします。銭湯絵をアートとしての切り口で可能性を考えたいです。例えば、フランスのステファニーさんという銭湯大使の方がいらっしゃいます。
中島さん:僕はステちゃん、ステちゃんって呼んでる。
ーーあ、お知り合いなんですね。ステファニーさんが出された「銭湯は小さな美術館」っていう本があって、美術として紹介されています。
フランスや海外の方って、日本人よりもアートを見ることに慣れてるじゃないですか。日本人だとアートの楽しみ方があんまり分からなかったりします。逆に漫画の読み方ってどういう風にどの順番でコマを読むか海外の人あんまり分からなかったりします。
フランスや海外の方に「小さな美術館」として、銭湯をメディアとして、湯に浸かること以外でも楽しみを感じていただけるなら、文化として残していけるかもって思っています。
Koryuさんからみて、ちょっとだけジャンルは違うんですが、文化継承ってどういう風にしていけばいいと思いますか?
Koryuさん:文化の継承自体、難しいことですよね。僕も色々聞いたことあるのが、例えば伝統というのは使われなくなったから伝統って呼ばれるんだ
って言ってる人もいるし。だから守ろうとする美しさとか大切さってすごいあるけど人類が発展するほど、どんどん必要なくなってくる事実もあるじゃないですか。その中で保護していくっていうのは僕ら人間が残してきたものを守るっていう視点がすごい大事です。
結局、中島さんの話の通り、誰かが大正元年のとき書いたからその文化が、現代に残ってて、中島さんがローラーを使い出したからみんなやってて。先人たちがやってきたことが、絶対、次世代につながってるじゃないですか。
だから自分たちが今ここにいることは、紛れもなく先人たちが頑張ってきた上に僕らが成り立ってて、そこから先に過去を知ってるからこそ新しいものが生み出せる。
そういう意味でも自分より前の世代の文化っていうのは絶対に知り続けた方がいい。みんながそれを理解して温故知新じゃないけど、昔のものを知ってるほど、新しいものを取り入れることができるって理解していけば守り続けられるかなって思います。
中島さん:そうなんだよね。僕が英字新聞に”ローラーで雲を描く”っていうことで紹介された。新聞の1面に大きく。当時のね。
Koryuさん:そっか今じゃローラーは当たり前だけど昔は当たり前じゃなかったんですもんね。中島さんが描いてるところ見たいですね。
中島さん:今度ぜひ機会があったら。
ーー中島さん、11月は別の国に行くみたいです。
Koryuさん:え!すごい!
中島さん:急に。昨日ね、大使館に呼ばれて行ったら、大使がなんか僕の見たらしいのよね。インタビューかなにか。描いてる人間に会ってみたいって。行ってきた。
Koryuさん:あら、いいな。
中島さん:話だけだろうと思ったら、じゃあ現地に行って描いて、って感じで。
Koryuさん:すごい。今からどんどん海外出張が増えるんじゃないですか。もしかして。
中島さん:海外はね、ロンドンに10日間ぐらいで行って帰ってくるのやった。今度ニュージーランドで2回目かな。
Koryuさん:ニュージーランドと、他の国と。まだ可能性ありますね。ワールドツアー。
中島さん:大きな富士、描きたいのよ。いまで最高の富士だと、京都にある日本料理店で10mの赤富士。富士山だけで10m。迫力ある。
Koryuさん:外壁だったら、最近エージェントが増えてきたので可能性があれば外に描く機会が本当に増えると思います。
中島さんとKoryuさんのコラボの構想
中島さん:(Koryuさんは)一緒にニュージーランドで絵を描いてくれるんですか?
Koryuさん:一緒にやりたかったです。日程的にすれ違ってしまって、僕がイベントのタイミング(2024年10月12日)で日本にいるんです。
中島さん :現地にいないんですか?それは残念。
Koryuさん:あとから行って、付け足すことはできるんですけど。
ーーちょうど中島さんの絵の上にKoryuさんが書き足すアートが実現できたらいいなと考えているので、その話をしたいです。京都で開催されていた村上隆さんの展示に行ってきてその考えに至ったので、ぜひアーティストとしてのお二人からの意見を伺いたいです。
中島さん・Koryuさん:はい。
ーー村上隆さんはポップカルチャーをアートでやっている方で、東京藝術大学の日本画科を卒業されているのもあって、日本らしい風神雷神のような絵をサンプリングして現代風に描いているものがありました。それらの絵を、海外の方や、ちっちゃい子とかも楽しんで見ていたんです。その光景を見て、昔の文化、カルチャーを現代風に変えていくものがあったら、銭湯絵でもみてみたいという気持ちが芽生えました。
ーー板橋区にある第一金乗湯の銭湯絵が浮世絵で描かれているものがあって。あの絵って誰の作品でしたっけ?
中島さん:(歌川)広重。
Koryuさん:僕の今日着てるTシャツ広重です、浮世絵コラボの。中島さん、浮世絵も描くんですか?すてき!
中島さん:そうなんです。
ーー中島さんも昔の絵を銭湯絵に描き起こしてますが、このニュージーランドのイベントを機に、伝説の銭湯絵師と語り継がれていくと予想されるので、ミューラルアーティストであるKoryuさんと一緒にコラボができたらすごいなと思ったんです。どう思いますか?
Koryuさん:僕は、今回は恵介くん(けいちゃん)と中島さんのプロジェクトなので、そこを貫くためにも中島さんが描くのが一番芯が通っていると思います。もし、僕とコラボをするなら、別の機会、例えば日本でやる方がたぶん面白くて。だから、僕はあくまでこの段階では二人のサポートの立ち位置のが嬉しいです。
中島さん:ニュージーランドから帰ってきた時に、小杉湯さんに二人で描くとかね。
Koryuさん・けいちゃん:それできたらいいですね。
ーーまずはニュージーランドでしっかり無事に成功させていきたいと思います。ありがとうございました。
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