センテンスミキチ

友達に勧められて始めました 感じたことをそのまま文章におこして日記感覚です 世界のどこ…

センテンスミキチ

友達に勧められて始めました 感じたことをそのまま文章におこして日記感覚です 世界のどこかにいる僕の人生、心、少し覗いてみてください

最近の記事

 僕を取り巻く環境は優しすぎている。大人に手を上げられたことなんて数えるぐらいしかないし、会社に行けばおじさんたちは気を遣いながら接してくる。すぐにパワハラやセクハラが叫ばれるこの時代。僕達はZ世代と呼ばれ、どうやら会ったことのない日本中のそいつらが、そういう世の中にしてしまったらしい。男と漢の区別がよりはっきりしたこの時代に、僕は孤独を感じている。漢なら稼ぐ。漢は涙を見せない。漢は、辛いことがあっても、誰にも頼らずただ黙々と働く。みんなが漢であった時代、実際に言葉は交わさず

    • ファジーネーブル

       駅から離れた場所にあるこのバーはビターな雰囲気で溢れ、彼の手元の腕時計はその輝きを発するものの、お互いの顔はよく見えなかった。ロングカクテルのグラスに、夕焼けと透き通った色がグラデーションしていた。甘くて苦くて切ない味を飲み干しても、彼と目を合わせることは叶わなかった。彼は人と関わる時、心の距離を取る。マスターと仕事の話をする時も、まるで熱心ではないかのように振る舞うが、彼は仕事人間だ。しかし、彼は私と抱き合った時、誰よりも激しく心をぶつけてくる。私はなす術無く蕩けるだけで

      • YUME YUME BOY

         あなたは、形容し難いほどの醜さに直面した時、何を考えるのか。  男は皆嘘つきだ。嘘でも言う「かわいい」は、目の前の異性を喜ばせる。 「あなたは18歳以上ですか?」 の問いかけに嘘を付いたことが無い男は、生物学の理へのアンチテーゼだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  目覚ましを秒速で止め、5分のアラームをセットして再び眠りに入る。その5分で奇妙な夢を見た。 「なんだい」 頭巾を被った老婆は、ビルとビルの隙間の闇へと消えていく。俺は老婆を視界に捉え続け

        • 転職を迷っている方/転職が不安な方へ

           こんばんは。僕は新卒3ヶ月目で転職を決意し、4ヶ月目で転職を果たした者です。社員30人前後の地方工務店から、国営企業を前身に持つ東証プライム企業に転職しました。普段はエッセイのようなよく分からない作品を作りつつも、メモ替わりにこのノートを利用してきました。この度、転職に関する投稿に少しいいねをいただき、もしかしたら僕の体験を共有することで参考にしてもらえる人がいるのかもしれないと考え、僕の考えや経験をまとめることにしました。僕の備忘録も兼ねていますので、参考程度に見ていって

          恍惚

           白いレースのテーブルクロスの上に置かれた、金色のろうそく台。その上では音も立てずに火が揺れている。フロアはふかふかの絨毯で、しかしながら土足のウエイトレスが上品に行き来している。ピントを目の前の君に戻したところ、君の顔は電球色の照明に照らされて、僕の視界の主役に躍り出た。まぶたを閉じた君ははまつげの長さを一層際立たせている。目元のラメは、証明の光を受けて星のように輝いている。スポットライトを浴びた彼女の顔の陰影は、くっきりとした造形を印象付けた。僕は形どった手を動かせないま

          新宿性活動

           今日も新宿歌舞伎町では“性活”が行われている。下品なネオンに彩られた箱の中で、男女がぎっしり、性欲の消費を行っている。人間の3大欲求は、様々なエネルギーの源になる。性活を行う二時間4000円の箱の周辺では、金を絡めた性活を行う者、性活を誘うために鼻の下を伸ばす愚かな男、それを手玉に取る見た目だけ美しい女。この街のどこが華やかなのか。皆必死で自らの欲求を曝け出し、普通ではないエネルギーのやりとりが行われている街が東京だ。この街では、人間をつなぐエッジとして、原始的な欲求が最も

          新卒4ヶ月で転職して

           かき氷がおいしい季節になりましたね。住吉です。私は、新卒で入社した地域工務店を4ヶ月で退職し、プライム上場企業に転職しました。現在は丸の内にある本社で研修を受けており、10月から松山に戻って四国全体をカバーする営業所での勤務となります。まだ少ししか出社していませんが、その所感を述べたいと思います。中小企業で働いていた視点が薄れる前に書き留めておきたかったんです。 【会社の仕組みの違い】  前職では、歯車にエンジンがついているような仕組みでした。歯車が自主的に回っていかない

          新卒4ヶ月で転職して

          Kスタイルの解体新書

          はじめに 皆様、ご機嫌はいかがでしょうか。私は、今年新卒で入社した会社を7末に退職予定の者です。素晴らしいご縁を頂き、8月からは新しいステージへ活躍の場を移すこととなっています。正直に申し上げますと、私はネガティブな理由での転職となります。普段、心を燃やしながらエッセイを執筆する私ですが、本作では現職場が抱える問題点について考察します。 新卒どころか社員が定着しない環境 私の会社は、新卒の定着率が驚くほどに低いです。それだけではありません。中途採用のミドルクラスの社員さんの

          Kスタイルの解体新書

          サテライトが尾を引くとき

           サテライトが尾を引くとき、僕はそれを見上げながら、虫除けスプレーをズボンに振りまく。ここには僕しかいない。雨上がりのアスファルトから、湿気を伴った熱気が持ち上がってくるが、たまに吹く風はそれらを揺り動かし、暑さと涼しさのカオスを生み出す。カサカサと囁く乾いた草の音は、湿度と対極を成している。遠くで伊予鉄の音。緑色の匂い。サテライトが赤青い尾を引くとき、僕はそれを見上げながら、月の美しさにも目をくれずに立ち尽くしていた。野良猫が集まってきた気配がする。でも、僕がエサを持ってい

          サテライトが尾を引くとき

          けいちゃんのハートは

           けい先輩はLPZP株式会社の2年目の先輩社員だ。僕は新卒でLPZP株式会社に入社し、3ヶ月目となる。 「けい先輩、飛ばしすぎですよ~」 「何ばいいよるんか、うちゃまだのめる!」 けい先輩は酔うと博多弁になる。中性的な顔立ちと相まって、とてもかわいらしくなり、女性社員からもチヤホヤされる存在だ。 「宅建士をばねぶりなしゃんな!」 けい先輩は若くして宅建の資格を取り、後輩からの信頼も厚い。僕もよく面倒を見てもらっているから、けい先輩の最近の違和感にはよく気付いていた。

          けいちゃんのハートは

          超カワイイ産まれたてホヤホヤのお馬さん

           絵に書いたような素晴らしい太陽が、牧場を照りつけている。木の柵の向こうで、馬達はたてがみをなびかせて無邪気に走る。風が吹いて、草原の囁きと、トタン屋根の小屋がギシギシと音を立てた。いかにも年季の入った馬小屋の中では、ちょうど産まれたての仔馬が立ち上がろうとしている。まだ身体はみずみずしく、つぶらな瞳と必死そうな口。その2つが釣り合わないアンバランスな顔は超かわいい。ブルブルと震えながら、足が伸び切るギリギリで膝から崩れ落ちる。これを何度か繰り返すうちに、大人の馬がぞろぞろと

          超カワイイ産まれたてホヤホヤのお馬さん

          ロングスカートは靡いて

           汗ばんだ観衆の視線は夫々になった。靄がかったフロアを、明かりがグラデーションで徐々に照らした時、耳鳴りの向こうで喧騒が産声を上げた。重厚な防音扉がゆっくり開くと、ロングスカートが靡いた。カラフルな光の筋に型取られたその人を、雑踏が取り囲む。ドリンクをもらいに行く人、グッズ売り場に向かう人、ステージに写真を撮りに行く人。高揚感の鎮まりと引き換えに、お別れまでの時間が加速する。

          ロングスカートは靡いて

          とっておきの毎日の中で

           とっておきの毎日の中で、僕は時間が許せない。流れるのは雲や時間だけじゃなく、車や嫌な出来事、血や涙だって。その中で一番流れて欲しくないのはやっぱり時間だ。毎日は特別だ。この1分は二度と流れない。だから、本当は徒然なる毎日なんて存在しない。不可逆の毎日は、確実に流れている。僕がどれだけ頑張っても、それを止めることはできない。僕達は、スマホを与えられ、インターネットを与えられ、従って天文学的な情報を与えられた。それらを処理するには時間が足りず、遂に僕らは諦めることを覚えてしまう

          とっておきの毎日の中で

          隣の子宮は青い

           私は佐々木家の長男、花男だ。私は今日で生後3日になった。全く、外の世界とは寒いものだ。子宮にいた頃は良かった。体温を保つ必要もなく、栄養は胎盤から運ばれてくる。私はそこで、いつ外の世界に出られるのか、外の世界はどのようになっているのかをぬるい世界でずっと考えていた。今の私にそんな余裕はなく、肺呼吸と視力の獲得に精一杯で先のこと、未知な概念にまで思考を及ぼす余裕はない。私が産まれた直後、生後5日を超えた大先輩が言っていたことは本当だった。 「みんな子宮の中で色々な悩みを抱えて

          隣の子宮は青い

          夜なのに太陽

           僕の隣を、君が歩いている。コツコツと鳴る音と、服が擦れる音。それ以外は静寂の帰路、たまにエンジンとエコ・タイヤの音が通り過ぎてゆく。口を開いては下らないことばかりで全く色気のない二人が、少ない街灯を頼りにぐんぐんと歩いてゆく。下を見てはアスファルトが流れ、右を見ては家と目が合い、上を見ては星が煌めいていた。  目的地の駅に着いて、振り返った君は世界で一番可愛い顔をしていた。駅の灯りはボケて滲み、焦点の鮮明以外は涙目の世界だった。美しく切り取られた君に、僕は絶句した。ローギヤ

          オードトワレのラブレター

          「いらっしゃい」 彼はそう言うと、私にスリッパを用意してくれた。彼は、私が家に来て最初の30分の間は優しい。映画を見たり、お酒を飲んだり、一通り事が終わると、途端に冷たくなってしまう。私と目を合わせる回数と口数が減ってしまい、私がいつ帰るべきかを何も言わずとも伝えてくる天才である。男って皆こうなのかな。今日も映画を見ようと家に招いてくれた彼であるが、彼と映画を最後まで見たことがない。いつも安っぽい恋愛モノの映画をチョイスし、ベッドシーンで肩をすり寄せ、私の頬にキスをする。なん

          オードトワレのラブレター