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助けてマイキー!

毎話毎話不穏な久美子の
「そして、次の曲がはじまるのです」
の直後にはじまる後番組、ハードボールのOP曲。

余韻ブレイカーと揶揄されていたのに・・・

 今では実況民がこぞって助けを懇願する男、それがマイキー。

 響けユーフォニアムでは決まって放送回の最後に主人公である黄前久美子が「そして、次の曲がはじまるのです」というモノローグで閉じるのです。

 その後ED曲が流れエンドカードが数秒挟まれた後に、HARDBALLという番組が始まるんです。この軽妙な音楽とともに。

 Eテレで放送がはじまってから1ヶ月ほどは、『余韻ブレイカー』『次の曲はじまったな』とイジられていたのですが、今では『マイキーこのギスギスなんとかして』『マイキーたすけて』と言われるようになってしまいました。

 それほどまでにギスギスの今季の響けユーフォニアム3、そして、北宇治高等学校吹奏楽部・・・。

主要メンバーよりもむしろ・・・

 久美子が最高学年になってから挑む最後のコンクール、京都府大会は無事突破したものの、関西大会では編成をかえて挑む北宇治の面々。

 人数が増えるという事は、それだけ人間関係が複雑になるという事で・・・。

 そんな中で最も部内をかき乱しているのは、黒江真由という人物の存在でしょう。
 彼女は吹奏楽の名門、清良女子高校から転校してきた新3年生。楽器は久美子と同じユーフォニアム、しかも、久美子にとってのキーパーソンともいえる田中あすかと同じ銀色のユーフォニアムを持つキャラクター。

 実力はいうまでもなく高いのですが、性格にやや難があり、そこでうまれてしまう不協和音が本作の特徴・・・と、今日の放送回を見るまではそう思っていました。

 でも違う、彼女は単に一石を投じたに過ぎなかった。その波紋は徐々に大きくなり、親友と袂を分かつまでに至る結果を引き起こしてしまいました。

 とはいえ、幹部会(部長・副部長・ドラムメジャー)や真由ちゃんといった主要メンバーは正直話を追っていけば自ずと関係性は見えてくるだろう・・・という事で、今日は他の子達に焦点をあてたいと思います。

釜屋つばめの場合

 つばめに関しては、私はアンサンブルコンテストを見るまでその存在を認識していない登場人物でした。
 後述するカトちゃん同様、チームもなか(補欠というか、オーディションに出られない応援部隊)の一員として2年間頑張ってきたのですが、3年で遂にコンクールメンバーに抜擢されます。

 転校生である真由が最も心を開いていそうなのがつばめであり、その理由のひとつには彼女の客観性があると思います。

 この画像のシーンでも、真由が関西大会でのソリストを任される事となり、部長である久美子がその役から落ちる事となってしまった事を、真由は重く受け止めています。

 多分に真由という人物は悪意というものを持っていない人物であり、純粋に音を奏でる事を好む人間。だから不協和音となる事を避けるべく自分なりの処世術で立ち回っているつもりなのですが、それが結果としては部内に不協和音を生み出してしまっているという難儀な人物。

 事実合宿終わりの花火大会でも様々な意見が飛び交い、部内は騒然としている様子が見受けられ、真由は再三ソリストを辞退しようとしますが、それがかえって久美子たちの神経を逆撫でる結果となってしまっていました。

 そんな中、つばめだけは彼女の横に居続ける人物でした。

黒江真由(←)釜屋つばめ(→)


真由「私がソリ(スト)をやるの、やっぱりおかしいよね。みんなも久美子ちゃんの方が良いと思ってるよ」

つばめ「良し悪しはともかく、久美子ちゃんの方がって人が多いのは確かだと思うよ。でも少なくとも私は真由ちゃんが選ばれて良かったと思った。」

つばめ「私は滝先生の評価にイマイチ納得いっていないところがあって、真由ちゃんでもいいのにってずっと思ってたから。」

 この会話は単に真由を励ますだけではなく、顧問である滝昇に対し、つばめが一定の不信感を持っている事を感じさせる言葉でした。

 そしてその上で、幹部会や元々いた人間が優遇されるというのではなく、真由が選ばれた事によって、選考理由が実力で選ばれたという所に安心を覚えているようにも映りました。


加藤葉月の場合

加藤葉月(最奥)

 麗奈の滝に対するカルト的な狂信者ぶりに、違和感を覚えだす各楽器のパートリーダー達との会議。
 それを終えた放課後、いつもの4人(麗奈は会話には参加せず)がコンビニ前で話しているシーン。

 ここでも、コンクールメンバーの選考について、滝に対する考えの違いが披露されます。

 緑輝が「実力が同じなら私は久美子ちゃんが選ばれた方が良かったと思う。」と言ったのに対し、

加藤は、「へー、ミドリはそっち派なんだ」と返します。

それに対し緑輝、「そっち派とかそういうのではなくって、実力が同じなら部長である久美子ちゃんがソリをやった方が変な波は立たないというか・・・。部としては丸くいられたのかなって思うんです」と語ります。

さらにそれを受けた加藤は「私は、今回の選抜方法はむしろ良かったと思ってるよ。実力で認められたんだって思えたから。3年間続けてきた努力が無駄じゃなかったんだって感じる事が出来たから。」

1年からコンクールメンバーだった麗奈や緑輝、3年でようやく選ばれた加藤、つばめ

 そこまで単純でもないんですけど、要するにこういう事なのかなと。

 滝に対してライクじゃなくてラブな感情を持っている麗奈は特別枠として、緑輝は部の和を重んじているようでした。
 一方でようやくコンクールメンバーに選ばれることとなった加藤やつばめは、実力が認められて選ばれたのだという安堵から、新しい風を歓迎するようでした。

 ソリストとして部長である久美子が選ばれるというのが大勢派からみれば自然な流れである。でも何かを変えなければ全国金賞へは届かない。そう考えて選んだ、コンクールごとにメンバー選考を行う方式への変更。

 この手法を選んだのは生徒たち自身であり、顧問である滝は一切関与していません。でも、メンバー選考を行うのは顧問であり指揮者である滝です。

 部内のヘイトは自然と滝へ向き、落選してしまった人間の中には落ち込んでしまう人間も出てしまっている。

 「そんな人間は置いていくだけ」と手厳しい麗奈に対し、「それは無いだろ」と副部長の秀一。

 そして、極めつけがこの久美子と麗奈の袂を分かつシーンです。不穏にも程がある・・・助けてマイキー!もうこれ以上彼女たちの関係を悪くしないで!!!と懇願する我々オタクの気持ちが少しでも伝わってほしい、そう考えて私は今日、この話題を出しました。

橋の上で袂を分かつ2人


一番客観視できているのは・・・

 プレイヤーの中で一番コンクールメンバーを俯瞰して見れているのは、今回コンクールメンバーから外れてしまうこととなった奏だと思います。

 主要メンバーや加藤、つばめのようにポジションによってどうしても見え方が変わってしまうのは仕方のないこと。
 そんな中でも奏は自身の落選理由を、

 「今年はユーフォは久美子部長と黒江先輩の2人体制で十分という判断だったのだと思います。それに、チューバの大黒柱だった後藤先輩の穴を埋める為に、そこへ割を割いただけのことです。割かれたからにはどこかのパートの人間は削られるわけで。それが低温パートとしてユーフォだった、というだけだと思いますけどね。」

 腹黒キャラのようでいて、物事がしっかり見えており自分の思った事をしっかりと口に出す事の出来る人間。これは来年の幹部候補待ったなしでしょう・・・。私は原作未読勢なので、なんなら久美子達の代が駄目だったとしても、奏の代から黄金期がやってきそうな気がします。


部長剣崎、副部長奏、ドラムメジャー月永求体制は結構収まりが良さそうに思います。

部活ものはスラムダンクのように主人公のとある1年間だけを切り取るものもいいけれど、やっぱりこの代替りがあってこその面白さだと思うんですよねー!

久美子が引退してもユーフォ4として、次の曲を奏でてくれないかなー!

なあマイキー、お前もそう思うだろ?俺、マイキーの事何も知らないけどな!

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