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【機動警察パトレイバー劇場版】好きなものほど語れない

 このnoteを続けてきて一番の発見、それは『好きなものほど語れない』という事。

 昨夜、リバイバル上映が1週間限定でされている機動警察パトレイバーThe movie 1を観てきました。

 その熱を皆さんに共有したい。したいけれど、語れないんです。何故でしょうね。それでも少しでもカタチにしようと思って、今日は書きます。

中途半端なものぐらいのほうが、不誠実な自信を持てるんだと思う。


EZYに対する期待と不安

 映画冒頭、本編に入る前にシリーズ数十年ぶりの新作である機動警察パトレイバーEZYの2分間ほどのパイロットフィルムを見ることができました。

 私は基本的にシリーズ作品というものを肯定したい人間です。

 否定派の方々が一定数いる有名どころでいえば、ガンダムやファイナルファンタジーなどが良く槍玉に挙げられますね。その人達の言い分も良く分かるんです。

 「これをガンダムでやる意味は?」「FFである必要がない」と。

 自身が好きだった作品の世界観を侵されているようで心配になるんですよね。

 EZYのパイロットフィルムを見たとき、私も幾らかそういう感情を覚えたのは事実です。

 ただですね、EZYという作品プロジェクトが動き続けてくれているから、過去作が現代でも拝み続けられるという意味においては、新しい作品は甘んじて受け入れるべきだと私は思うんです。

 今回のリバイバル上映はパトレイバー35周年記念で、Filmmarksさんが企画してくれたもの。
 ですがEZYが全く無関係だったとは言い切れないでしょう。

 新しいものがあるからこそ古き良き作品を享受できる。そういう視点を持って、私はこれからもシリーズ作品と制作陣の新作への挑戦を肯定し応援していきたいと思います。

 パイロットフィルムに関する事は何も書きません。流石に観に行った人間の特権でしょうからね。場面カットなどは色々なメディアサイトで掲載が為されているので、気になる方はチェックです。

劇パト1の真髄

どんなに技術が進んでもこれだけは変わらねえ。
機械を作るやつ、整備するやつ使うやつ、
人間の側が間違いを起こさなけりゃ機械も決して悪さはしねえもんだ

機動警察パトレイバーThe movie 榊清太郎

 まだWindows95も出る以前にOSやコンピュータウイルスというものを題材とし、昨今でいうところのサイバーテロのようなものを予見した作品に仕上がっている。
 これを1989年に公開しているというのだから、その先見性の高さには本当に驚かされる。

帆場暎一が伝えたかったことはなんなのか

 帆場は本作のキーパーソンとして描かれており、一連の事件の首謀者でもある。
 しかし彼自身は映画冒頭で自死の道を選んでおり、その目的の真相は闇の中だ。

 分かりやすく見るには、バビロンプロジェクトに対する反対運動だろう。ただ彼が、パイロット版OVAやTVアニメシリーズに出てくる環境活動家たちのような、そんな単純なことを考える男には、私にはどうしても映らない。

 松井刑事たちが帆場の足跡を辿る際に見ていくこととなる、東京の「名もなき街」。再開発が進み壊され続けるその土地と対比されるように描かれる高層ビル群。

 スクラップ&ビルドで高度経済成長を果たした日本という国において、その中で誰にも知られる事もなく犠牲となりながらも生きる人間たちがいた。

 彼にとってバビロンプロジェクトは、そのような日陰で暮らす人間たちがいる事を伝えるというよりは、日向で踏ん反り返っている人間たちをあざ笑う為に計画したのではないかと私は思います。

 実際海に身を投げる際に彼が笑っていたのには、どこか『勝ち逃げ』をできたという満足感と、スクラップビルドの先に何が残るのかを嘲笑う側面があったのではないかと思います。

 これもまた1989年公開という時代背景を踏まえると、改めて凄まじいキャラクターを誕生させたのだなと感心させられます。

活躍は少ないが・・・

 私の好きな南雲しのぶ、香貫花クランシー両名。香貫花はそれなりに見せ場があるのですが、この作品での南雲隊長にはほとんど見せ場という見せ場はありません。

 それでも2とは違う独特の色香が凄まじく、後藤さんが好きになるのもやむなしと思わざるを得ないし、南雲さんの声を担当なされている榊原良子さんが、絶対に後藤隊長と結ばれるべき!とカプ厨になってしまうのもやむなしなシーンが随所に散りばめられていてとても好きです。

 一番好きなのはパーテーション越しに後藤さんと話しながら制服から私服へ着替えるシーンと、嵐の中で後藤さんを正義の味方として心の底から尊敬し、敬礼するシーンです。

 香貫花に関してはもう言わずもがなで

空港で税関を通るとき、「sightseeing?」と尋ねられたのに対し

「No,Combat.」

 と言ったシーンですよね。もう何回見ても笑ってしまいます。

 あとは女版太田なんてあだ名が霞むほどの狂犬ぶりというか、最終盤に合流しただけなのに、凄まじい濃度で我々に対し強烈なインパクトを放ち続けるところが本当に大好きです。

語りたいところはたくさんあるけれど・・・

 冒頭で書いたとおり、好きなものほど語れないものです。

 それでも何か一節だけでも、琴線に触れたところがあったならば、是非劇場へ足を運ばれてみてください。

 劇場へ足を運ばずとも、色々な配信サイトで見られますしね。なんたって35年前の作品ですから。

 一見の価値アリどころか、何十回でも何百回でも見てください。

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