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尼僧の恋 その後

随分長いものを書いてしまった。と、思う。
実話なのでオチらしいオチもない。

まるでアオハルなこの話には後日談があって、例の後輩とは、私が還俗をしたあと何度か再会して、二人で飲んだりしている。
それでも男女の仲に戻ることはなかった。
彼に会うときは、なぜかいつも私には本命の人がいて、
いつも同じような距離感のまま、私はダメな先輩で、彼はツッコミのきつい後輩だった。
縁がないとはこういうことだと思う。
彼はいつも、少しだけ手遅れだ。

私が結婚して以降はまったく疎遠になり、今の住所も知らない。
最後に会った時は2度目の転職をした直後で、某料理雑誌の編集部にいると聞いた。
一主婦として、時々その雑誌を買うこともあるが、彼の仕事がどこかにあるのかもしれないと思うと、懐かしくほほえましい気持ちと、後輩はまだ私を支えてくれているという、奇妙な恩のようなものを感じる時がある。

とっくに、その仕事も辞めているかもしれないけれど。

それでも、彼はいつまでも、遠い日の優しい光なのだ。

尼僧の恋 
https://note.mu/sentasu/m/me5f6bd85df27


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