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底抜けに明るい映画体験

アカデミー賞で話題になっているインドの映画「RRR」を映画館で観てきた。

インド映画といったら数年前に見た「きっと、うまくいく」くらいで、めちゃくちゃ長かった印象と、途中トラウマ級のヘビーな描写もあったけど、やけに歌って踊って、最後にはサイダーのような心地よい爽快感だけ残る、良い映画だったなーという印象。

職場の人から
「ここ最近観た映画の中で一番面白かった」
「3時間があっという間だった」
という生の感想を聴き、そんな話を聴いた直後タイムリーに職場で流れるラジオでNaatu Naatuがかかったのが後押しし、これは絶対に映画館に観にいかなければ!と思い観に行った。


めちゃくちゃ面白かった。

ジェットコースター並みに体感一瞬だった。

ナートゥが最高だった。

感想はシンプルであまり語ることはないんだけど、

映画という文化が、まだまだ娯楽の頂点にあるなと感じられてとてもよかった。

観に行ったのは平日の水曜日、20時からの回にも関わらずほぼ満席で、
学生や仕事終わりの社会人が多く、自分も仕事終わりにパートナーと、ビールとポップコーンを持ってウキウキで席に着いた。

老若男女さまざまな人たちが映画を観るために集っているその空間がなんだかとても居心地良かった。

さらに感動したのが、映画が終わった後に拍手が起きたこと。

映画館で映画を観る良さって、没入感はもちろんのこと、その時その場所でしか得られない今ここの体験が、かけがけのないものとして映画とともに記憶に刻まれることだと思った。


大学4年、就職活動に迷走し、とにかく救いを求めて映画館に駆け込んだ時のことを思い出した。

飯田橋の今はなきギンレイホールという名画座で(現在は移転先を探し中とのこと)
「ジャージーボーイズ」というイーストウッド監督のミュージカル映画を観た。
(二本立てだったけれどもう一本は覚えてない)

平日夜の上映回、仕事終わりの社会人たちがゾクゾクとやってきて、そこかしかで缶ビールを開けるプシューという音が鳴り響く中(当時は持ち込み可、飲食自由だった)、映画は始まる。

底抜けに明るいフランキーヴァリの歌声、映画を求めて映画を愛する人々のくつろいだ雰囲気の中で観たジャージーボーイズは、曇天の心を晴らすにはこれほどにないほど、生涯忘れえぬ幸せな映画体験だった。

こんなふうに、毎日働きながらも仕事終わり映画館で映画を観るささやかな贅沢を享受しながら働くのも悪くないなと、スーツのおっちゃんたちの中でリクルートスーツを着たわたしは思った。

自分は何がしたいのか、何ができるのか、何になりたいのか、就活という大きな壁を前に立ち塞いでいた当時の自分は、あの時あの場所で観た映画に、心から救われた。

この4月から社会人8年目になるが、リクルートスーツに馴れないヒールのパンプスを履き、独り闘っていたあの頃の自分に伝えたい。

大丈夫だよ、と。

なんとかやってるよ、と。


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