太平洋戦争開戦1周年記念の「大東亜戦争大展観」、どんな雰囲気だったか、様子が分かる絵葉書セットでどうぞ
太平洋戦争開戦一周年を記念したイベント「大東亜戦争大展観」が1942(昭和17)年12月8日から翌年1月8日まで、熱田神宮外苑で開かれました。主催は愛知県、名古屋市、大日本飛行協会、それに朝日新聞社でした。絵葉書セットの袋だけ入手していて妄想を膨らませていましたが、やっと5枚の絵葉書が入ったセットを入手したので、当時の雰囲気を感じてみたいと思います。
会場全体の鳥観図から。「マレー沖海戦パノラマ」など、戦闘を伝える大型展示物に加え、「総力戦必勝態勢パノラマ」といった宣伝物、兵器展や戦利品、潜水艦の気分を味わえる潜望鏡などなど。潜水艦の絵が入っているはずです。
さて、陸海軍とも見せ場を出しています。マライ半島席巻の看板が入って戦車やヤシの木らしいものが並んでいる雰囲気です。また、パレンバンの陸軍落下傘部隊降下の展示も別の場所にありましたが、絵葉書では両者を一体にして紹介しています。
戦闘の写真展が会場入り口付近から並んでいたようで、特別にサンゴ海海戦のレキシントン沈没場面を載せています。
総力戦必勝態勢パノラマの絵葉書。これには別に「北辺の守り」とあり、おそらく必勝態勢パノラマの一角にあったのではないでしょうか。もちろん、これはミッドウェー作戦の大敗北を糊塗するために一躍主作戦扱いしたアリューシャン占領の話でしょう。
そして、展示の目玉とも言える、ハワイ海戦航空母艦超大パノラマ。なんとなく赤城風の艦橋があり、空母の乗組員が万歳で攻撃隊を送り出すところです。これは迫力があったでしょう。
しかし、艦載機をよく見ると、96式艦上戦闘機と複葉機の96式艦上攻撃機…ハワイ海戦の記録フィルムなどは大人気でしたから、当然、ゼロ戦と97式艦上攻撃機を期待していた観客は、あてがはずれてとまどったのではないでしょうか。当時はガダルカナルを巡る戦いの最中。前線で使っている機体を回す余裕がなかったのか、と、逆に日本の苦境を感じさせる展示ではないかと、いらぬ心配までしてしまいます。
実際、赤城は既に沈没。陸軍もガダルカナルで苦戦中、という中での展示。大本営発表に踊らされている臣民には、そんなことは知らされず、連戦連勝の日本軍だけ印象付けられたことでしょう。そして新聞社も、敗勢を知りつつ当局の指示で大本営発表以上は書けない、というだけでなく、毒食わば皿までと、一緒になって騒いでいたことも記憶しておきましょう。