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子どもの成長を願って…これ、着せたくなるのですか?ー時流に乗りすぎるとこんなものも

 赤ちゃんの産着に軍事柄を使ったり、七五三に子どもが軍服でお宮参りしたりというのは、まあ、理解できるとして、時流に乗るのが商売とはいえ、これはどうも、という事例をご紹介します。
 こちら、しっかりした産着ですが、テーマは「隣組」です(驚愕)。

隣組がテーマの産着って…

 ちゃんと隣組って書いてありますからね。隣組を題材にしているんですよ。疑っちゃいけませんよ。ご丁寧に日の丸もあります。

日の丸が翻る「隣組」の様子を犬に見させてほのぼの感(強引)

 とりあえず回覧板を散らしておけばもっと隣組っぽくなるぞって、普段いやとなるほど見てるだろうに、産着でも見せられる主婦とかの気持ちやいかに。

回覧板は隣組に付き物

 そんな隣組産着で、どんな子に育ってほしいのだろうか。描かれチルノは、しっかりお掃除のお手伝いをする男の子でした。こんな風にすなおに育ってほしいって思いを込めているのでしょう。そして、とりあえず犬を入れておけばほのぼのするだろう!

竹ぼうきでしっかり掃除の手伝いをする「良い子」に、という思いか

 隣組が強調されるのは、1940(昭和15)年10月に大政翼賛会が発足して、年末にかけて全国にくまなく整備されたころ。こちらもそのあたりのものでしょう。
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 次に、端切れですが、こちらは満州国を題材にしています。どういう購買層を想定したか不明ですが、飛行機や、林立するビル群のイメージの絵などを含め、これから「伸び行く国」と成長する子どもを掛けたのでしょうか。

満州国題材の端切れ。絵の間はイメージで埋めて…

 一番下で目立っているのは、南満州鉄道株式会社、いわゆる満鉄が誇る特急「あじあ」です。大陸の広軌道に合わせた大きな機関車でけん引して大連とハルビンをつなぎました。「あじあ」は1934(昭和9)年から1943(昭和18)年まで走っているので、時期的には昭和10年前後でしょうか。ただ、乗車するのは日本人やロシア人やいわゆる上級国民でしたが。

 そして、こども2人がみている地図。日本(朝鮮半島を併合)と満州国を色で塗った感じになっています。そして東京、名古屋、大阪、福岡と日本を縦断したら朝鮮半島の京城、そして満州国の首都「新京」まで、交通がつながっています。机の上に「キシャエホン」とありますから、そちらと重ねてイメージを楽しんでいるのでしょう。

地図を見る二人の子ども。各都市を結んでいます

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 時流に乗った、というより、乗り過ぎ感を感じますが、皆さん、いかがでしょうか。近年の産着は白いのが中心ですが、もし現代、こうした柄入りの産着をつくるとすると、どんな柄になるでしょうか。
 少なくとも、軍事や国家と無関係な、子どもが主役の柄がいいなと、中の人は個人的には思って居ます。


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