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展示会に向けてー子どもたちの秘密基地「かやは麻」ポスター購入

 毎回、展示会のテーマを決めると、収蔵品に加えて新たなモノを物色して入手しています。それで収蔵品の充実にもつなげているのです。そして今回、これは皆さんに見ていただきたいと、オークションで入手したポスター「かやは麻」です。

かやを基地として武装したお子様たち

 かやは「蚊帳」。近年はあまり使われないようですが、麻の蚊帳は、少々重いですが化繊の蚊帳に比べてたたみやすかったし、何より適度な重さが隙間を作らず、使い良かったなと。
 そんな蚊帳は昼寝にも好都合。そうして使った蚊帳で戦争ごっこというシチュエーションですね。今にも刀を手に飛び出そうとしている子どもは海軍陸戦隊の鉄兜玩具を、機関銃玩具の狙いをつける子どもは陸軍の鉄兜玩具と、小さい配慮がなされています。

こちら、海軍陸戦隊でセーラー服風のものを着用
こちらは☆マークの陸軍鉄兜玩具ですねー

 刀はあり合わせのものでしょうが、機関銃玩具は、昔ジャンク品を見たことがあるのですが、電池で弾倉に見立てた部分が引き金を引くと音を立てて動いて雰囲気を出すものです。高級品ですよ。

刀のおもちゃは日本刀。軍刀じゃないですね。
機関銃玩具はやはりお坊ちゃんでないと入手できなかったかと

 さて、このポスター、子どもと兵隊を具象化していて、当時なら受けるという世相を示しているのですが、「かやは麻」としか入っていません。かなり大きめで上下を補強しているポスター、それなりにお金もかかっているはず。誰が作ったか。おそらく、麻製の蚊帳の製造業者団体が、取引先に宣伝用に作ったものでしょう。店舗名は各商店でスタンプなりしてくれということかと。麻製の蚊帳の製造団体なんて、そうそうたくさんあるわけじゃやなく、おそらくひとつだったので、ポスター製造元を表記しなかったのかなと思います。

製造者は表に出ない、製品勝負のポスター

 実はおkのポスター、画家のサインと年号が入っています。画家は多田北烏(ただ・ほくう)氏、なんと長野県松本市出身の方でした。2598という数字は、皇紀2598年、つまり昭和13(1938)年、日中戦争開戦翌年の夏に向けて作ったのでしょう。そりゃ、戦争を前面に出すわけです。実際の兵隊ではなく、子どもを使うことで蚊帳という製品が埋もれないようにしたのでしょう。

サインと年号

 それにしても、こういう小さい時から、自然にこうやって遊んでいたのでしょうね。そりゃ、軍隊に反対したりいやがったりというのを和らげる効果があまざまな形でしこまれていたのでしょう。意識するとしないとにかかわらず、このポスターもそんな環境をつくる一つだったと思います。

 展示会は長野県長野市のギャラリー82で、8月13日から18日まで、6日間です。ぜひお越しください!

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