<戦時下の一品> 皇軍慰問用絵はがき「銃後のスター」
今回は「皇軍慰問用絵はがき 銃後のスター 新進映画女優A」を紹介させていただきますーといっても、実は中の人はまるでこうした方面に疎いので、どれが誰やら分かりません(´;ω;`)…。自宅を埋める山のような資料も、映画関連は戦後のキネマ旬報などが少しあるぐらいで…まことに申し訳ございません!
おまけに、絵はがきにも女優の名前が入っておらず、これはまるで人気投票にでも役立てたのかと勘繰るような感じでして。もし、分かる方がおられましたら、コメント欄やXのリプにでもぶらさげてください。随時、追加したいと思いますーと書いたところ、Xから「フクヰ@No comingout」@k680515さま、「再生うぐまち」@Re_ugumaticさま、「きじとら」@amagaerunoutaさまから情報をいただき、すべて判明しました!
戦時下に俳優として売り出していくには、軍隊に迎合するお仕事は最も大切な仕事の一つだったでしょう。全8枚のこの絵はがきのセットの女優さん、大半は「大日本国防婦人会」のたすきと割烹着の姿。このことから考えられるのは、企画は陸軍、発行時期は日中戦争初期、というところ。そして、表にはちゃんと「軍事郵便」の印刷があり、慰問用としての体裁をきちんと整えています。こうした絵はがきが死線にいる兵士の緊張をほぐしたのでしょうか。二度とこうしたものの登場を許すような事態を回避していきたいものです。
では、女優さんたちの絵はがきを順次、ご覧ください。こちら、花柳小菊さん、日活多摩川所属です。
こちら、川崎弘子さん。松竹大船所属です。
唯一の海軍向けは、高野由美さん。新興キネマ東京撮影所所属。
下写真、美鳩まりさん。同じく新興キネマ東京撮影所所属です。
この下写真は、高杉早苗さん、松竹大船所属で、香川照之さんの祖母になられる方だそうです。
こちら、田中絹代さん。同じく松竹大船所属です。
しかし、さすがに地味な服装ばかりでは受けないと思ったのかどうかは分かりませんが、2枚だけ、普通に和服の俳優さんの絵はがきがありました。下写真は原節子さん。日活多摩川から東宝に移籍されたそうです。
最後に、和服女性はもう一度、田中絹代さんということです。
以上、8枚でセットでした。「A」とあるので、ほかにもいろんなパターンがあったと思えますが、モノクロ、国防婦人会推しというあたり、物資不足下に陸軍に取り入ってなんとか仕事にしたのかとか想像してしまいます。何しろ映画業界はフィルムの割り当てが非常に厳しくなり、製作本数が激減、当然俳優の仕事も減るという状態でしたから。やはり、戦争はないのが一番です。それでこそ女優も輝くというものでしょう。