芋がらの煮たのが好きだ。

芋がらご存じない?

里芋の一種八つ頭という、剥くにも一苦労な里芋の茎を乾燥させたもので

それを砂糖と醤油とみりんという安定の調味料で煮る

すると真っ黒の煮物が出来上がる。

味はご存知の味だし

食感はクネクネしてるし、柔らかくかみごたえなんぞはない

芋の茎なのでそんなに栄養があるかは分からないが

芋がらの話をすると年配の人は常に戦時下の何もなかった時の話しになるので

そんなに高級なものでもないんだろう。

そんな芋がらが私は小さい頃ちょっと好きだった。

おばあちゃんがおじいちゃんがいた頃八つ頭からつくって干して乾燥させた物を

母がもらって煮てくれた煮物が好きだった。

ただなんか田舎くさくて好きと言った事はなかった。

小学生半ばになるとおばあちゃんは芋がらを作らなくなった。

芋がらがなくてもおかずは有る世の中だし

結構大変だし

娘たちは田舎っぽくて誰も好きとは言わないし

で辞めたのだろう。

『私、芋がら好きなんだよね』

ふと、口に出せたのは20代前半

芋がらが作られなくなってから10年間以上たっていた。

『そうなの?じゃあ作ろうかね、』

あの時のおばあちゃんと母のなんとなく嬉しそうな顔が今でも残っている

そして、自分に子供が出来て、子供が自分の好みを主張する様になって

私もその嬉しさが少しわかってきたような気がしている

さあ、今年も芋ガラを仕込む季節だ。

指先がアクで黒くなるんだよ。



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