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小澤メモ|NOSTALGIBLUE|思い出は青色くくり。

16 梅雨の晴れ間の夏至。

スケートボーディング・デー。
1年で、日本の昼間がもっとも長くなる日、夏至。今年は6月21日の日曜日だったようだ。その日は世界中のスケーターがプッシュするスケートボーディング・デーでもあった。まったくの偶然だけれど、今思うと、夏至でスケートボーディング・デーというタイミングで、スケート撮影をしていた。前日の昼から撮影に夢中になっていたら、長い陽も落ちて夕方になり、気づけば夜も駆け抜けて朝になっていた。24時間が25時間くらいあるような感覚だった。真夏の暑さや青空のピークには、撮影スタッフたちのやる気が大爆発するにちがいないと思えるほど、濃縮パワーが漲っていた。この日を境にして、2020年も少しずつ、そして加速して、日照時間が短くなっていくなんて、信じられない気分だ。

シューティング・デー
都内をスポットシークしながらぐるぐると回り撮影をする。キックアウトされるのは当然。真夏のような暑さも当然。それでも、梅雨真っ只中なのに完璧に晴れているだけで、最高だった。写真の撮れ高も上々だった。とてつもなく疲れてはいたけれど、とくにスケーターとフォトグラファーは疲労困憊だったと思うけど、それのさらに上をいく満足感ややりきった感があった。これは、スタジオ撮影などでは味わえないものだ。そこで、ちゃんと撮れる保証がない、撮影。だけど、必ず使える写真をその日のうちに残さないといけない、撮影。天気や状況。スケートのトリックをしっかりとメイクするという技術とメンタルの部分。時には運も味方につけて、なんとか1枚を残す。それを延々と日長1日繰り返すのは、本当に骨が折れる。そして、実際に骨を折ってしまうスケーターだっている(おかげさまで自分の撮影ではそういったことはないけれど)。

サニー・デー
ということで、梅雨の晴れ間の夏至、スケートボーディング・デーを境に、2020年の日照時間が短くなっていく。そして、その日から立て続けに、あるものに見られていたなということに気づく。それは、東京スカイツリーだ。東京アラートが解除されてからの数日間、マスクや消毒のケアをしながらも、それまでストップしていた撮影を再開した。その撮影スポットや撮影人物が、これまた偶然なのだけれど、すべて東京スカイツリーが見下ろしているところだった。こちらが見上げれば、必ず東京スカイツリーが立っていた。どちらかというと、東京タワーのノスタルジアでいて艶やかな感じが好きだった(とくに特別ライティングしていないノーマルに光る夜の東京タワー)。だからか、東京スカイツリーをこれほどまでマジマジと見て、感じたことがなかった。梅雨だというのに、ありがたいことに撮影するときは常に晴れていた。そして、その青空を縦に割る東京スカイツリーを常に見上げていた。良い写真たちが撮れたというのもあって、自分の中の東京スカイツリーへの興味とか好感度とか印象度がかなり増したのだった。それが数年後に書くコラムの、2020年の梅雨の思い出になるんだろうな。16
(写真は梅雨の晴れ間の夏至、東京スカイツリー/2020年)

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