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小澤メモ|NOSTALGIBLUE|思い出は青色くくり。

26 パリ、ピガール。

モンマルトルからピガールへ。
パリのピガールといえば、昔から夜の歓楽街(風俗業)として知られている。すぐ近くの18区には、由緒あるキャバレーのムーラン・ルージュがある。ニコール・キッドマン主演の映画『ムーラン・ルージュ』もあったなあ。見たけれど、ピンとこなかった。その『ムーラン・ルージュ』を絶賛してたヤツがいたなあ。良いをゴリ押されて、ちょっとイヤだった。結局、それからどんどん疎遠になっていった。久しぶりに連絡が来て、仕事してみたけど、やっぱりダメだった(どっちが悪いとかじゃなくて、合うか合わないかなだけ)。話が逸れた。モンマルトの丘から市街を一望したあと、のんびり降りてくると9区あたりのピガールに行き着く。歓楽街として知られるけれど、カフェや楽器屋さんなんかがたくさんあって、楽しく散策できる。

アメリとパリ、ジュテーム。
好きな映画『アメリ』の印象的なシーンを思い出しながら歩く。そして、この町の風情から、オムニバス映画『パリ、ジュテーム』で描かれていたピガールをイメージする。ある意味でトラディショナル?な風俗店を舞台にして、老齢のファニーとボブが繰り広げるドギツイ会話。小男でハゲ散らかしたオッサンのしゃがれた声が妙に艶っぽくて、シワを深く刻んだ気の強い女がまくし立てる言葉が輝いていて、なんか良いなーと思う話。その短編を何度も見て、本当のピガールに行ってみたいと思っていた。そ2011年の夏にパリに行ったとき、何度かピガール界隈を歩いた。歩いているだけで、嬉しかった。なんだか楽しかった。ピガールといえば、『パリ、ジュテーム』だった。それから、再びパリを訪れたのは8年後。2019年の夏だった。このときも、『パリ、ジュテーム』の記憶と残像を元にして20区をけっこうくまなく回ったのだけれども、ピガールは様変わりしていた。といっても、東京みたいにバンバン壊してバンバン建ててって感じとは違うので、街並みは古いままなんだけれども。

2019年、ピガール。
目を引いたのは、ピガール・デュプレというバスケットのプレイグランド。気鋭のブランド、その名もピガールのデザイナーのステファンが生粋のボーラーで、自身が育ち愛してやまないピガール地区にプレイグランドをつくってしまった。そのコートの前には、ボーラー御用達のショップ、ピガールがあって、通りを隔てた近隣には、ブランドのヘッドショップがある。ピガールは、ナイキともカプセルコレクションを発表しているし、そのアイテムをアリーナ入りするレブロン・ジェームスが着用してたりする。もはや、ピガールといえば、『パリ、ジュテーム』のファニーとボブではなく、ステファンとそのブランド、ピガールの方が世界中に知られているのだろう。こちらも、バスケはスケートと同じく大好物だから、もちろんショップに寄らせてもらった。気のいいスタッフと、トーキョーのボーラーブランドのボーラホリックとコラボしたアイテムを見ながら話に花を咲かせた。トーキョーではボーラーホリックの連中とピックアップしたりしてると伝えた。映画で知ってるだけの町だったピガールが、いつのまにかぐっと近いイメージになっていた。26

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