見出し画像

【ZM/Q1-2021決算速報】クラウドでWeb会議サービスを提供する「Zoom Video Communications(ズーム)」、2021年第1四半期の結果は売上◎、EPS◎、ガイダンス◎。市場予想を上回り通期ガイダンスも引き上げ。決算の詳細チェックとCANSLIM定点観測。

このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。

(ZMの会社概要・歴史・ビジネスモデル考察は「【ZM/米国株銘柄分析】巣篭もり需要爆発で2020年に大相場をつけた進撃のハイパーグロース株「Zoom Video Communications(ズーム)」の概要, ビジネスモデル, 今後の株価見通し(将来性/成長性)を直近決算とオニール流CANSLIMの観点から考察。」を参照。)


Zoom Video Communications(ティッカーシンボル:ZM)」のQ1-2021の決算結果が出ました。


After Hourで株価は決算を受けて上昇中です。Q1実績、通期ガイダンス共にアナリスト予想を完全にクリアしてきました。

スクリーンショット 2021-06-02 6.27.56


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

※YoY = year over year(前年同期比)
※予想=アナリスト、市場予想

□ Zoom Video Communicationsの2021年1Q決算(FY22)

・売上:$956M/YoY+191.4%(予想$906.03M)→◎
・EPS:$1.32/YoY+560%(予想$0.99)→◎

2021年第2四半期(Q2-FY22)ガイダンス

売上:$985~990M(予想$932M)◎
EPS:$1.14~1.15(予想94¢)◎

2021年(FY22)通期ガイダンス

売上:$3.975B~$3.99B(予想$3.8B)◎
EPS:$4.56~4.61(予想$3.76)◎

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


ZMの2021年第1四半期の結果

「Zoom Video Communications」は、上記で見てきた通り、クラウドコンピューティングを使用したWeb会議サービスを提供する企業です。

法人、個人にWeb会議サービスシステムを導入し、そこから発生する「サブスクリプション収入」がZoomの主な収益源となります。


「サブスクリプション」とは、例えばアマゾンプライム、ネットフリックスなど月額で毎月顧客から支払いを受ける形態です。

収益形態から、非常に業績見通しがつきやすく、投資家からも未来が予測しやすくなるので好まれやすいです。


IDaaSのOKTAも同様の収益形態であり、Zoomと並びスーパー決算を出すハイパーグロース株ですよね。


サブスク企業の重要KPIはユーザー数、NRR(Net Revenue Retention (Rate)、既存顧客の売上増減)ですね。ZMの場合はNet Dollar Expansion Rate(NDR)と呼んでいます。

さて、企業決算分析をする上で、最優先で見なければならないのは、「実績(売上高・EPS・来期予想ガイダンス)」が決算前のアナリスト予想をしっかり上回っているかどうかです(ガイダンスを出さない企業もあるので注意)。


Zoomの2021年第1四半期決算の詳細な内容をここからはチェックしていきましょう。

(ZMの6月1日株価チャート)

スクリーンショット 2021-06-02 6.36.49


■ Revenue(売上高)

スクリーンショット 2021-06-02 7.13.54


Q1-2021:$956M/YoY+191.4%(アナリスト予想:$906.03M)。

市場予想を余裕で超えてきています。


売上の内訳は米州$636M、欧州$197M、Asia-Pacificが$124Mです。

欧州&Asia-PacificがYoY+287%(約4倍)と非常に伸びています。アメリカはYoY+159%約2.5倍。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

※YoY = year over year(前年同期比)

Q4-2018:$106M
Q1-2019:$122M(YoY+103%)
Q2-2019:$146M(YoY+96%)
Q3-2019:$167M(YoY+85%)
Q4-2019:$188M(YoY+78%)
Q1-2020:$328M(YoY+169%)
Q2-2020:$664M (YoY+355%)
Q3-2020:$777M(YoY+367%)
Q4-2020:$882M (YoY+369%)
Q1-2021:$956M (YoY+191.4%)←New!!

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


売上高が$100Kを超える大口顧客数は1999社(YoY+160%)。従業員10名以上の(事業規模が大きい)顧客数は49.7万社(YoY+87%)。


スクリーンショット 2021-06-02 6.34.21


■ EPS(1株当たりの当期純利益)

スクリーンショット 2021-06-02 7.15.53

Q1-2021:EPS:$1.32/YoY+560%(アナリスト予想$0.99)

売上に続き、こちらも超余裕でクリアです。


EPS予想は「Yahoo Finance」で取れます。アナリストは保守的に予想を出すため、決算企業はこれを超えなければ市場から好感されません。

スクリーンショット 2021-06-02 6.44.07

(Zoom analysis YFinance)


Zoomの過去EPS(non-GAAP)とYoYの推移は以下の通りです。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

Q1-2019:$0.03(YoY +400%)
Q2-2019:$0.08(YoY +300%)
Q3-2019:$0.09(YoY +800%)
Q4-2019:$0.15(YoY +275%)
Q1-2020:$0.20(YoY +567%)
Q2-2020:$0.92(YoY +1,050%)
Q3-2020:$0.99(YoY +1,000%)
Q4-2020:$1.22(YoY +713%)
Q1-2021:$1.32(YoY +560%)←New!!

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


強すぎて鼻血が出そうです。YoY+560%とQ4-20に比べると鈍化しているように見えます。しかし、あれだけリモートワーク(WFH)銘柄は鈍化すると言われる中でこの数字(絶対値)を叩き出すのは少々異常事態です。Q1-2020の時期はもうCovid-19の凄まじい追い風が反映された数字が入っていますからね。

2020年のZoomの快進撃の様子は以下記事の「会社の歴史」項目でその凄さを改めて確認できると思います。


アフターで株価は+4%水準で上がっていますが、このまま強く出来高を伴って上昇していくかには注目ですね。


■ 営業CF/フリーキャッシュフロー

スクリーンショット 2021-06-02 6.47.37


Q1-2021:営業キャッシュフロー$533.3M(YoY+106%)、フリーキャッシュフロー$454.2M(YoY +80%)。


企業KPI

■ Net Dollar Expansion Rate(NDR、売上継続率)

スクリーンショット 2021-06-02 6.52.09


NDRは既存顧客の売上を前年比で維持できているかを計る指標です。

Zoomは12期連続で130%を上回っています。毎回言ってますが、本当に化け物ですね。


Zoomを導入した企業が解約どころかさらに課金(アップデートや他サービス追加)を続けているという、Zoom addicted状態です。薬漬けですね。ケミカルですよね。

Covid-19の追い風前から130%を上回っていますが、ワクチン普及後もトレンドが継続していくことが実証されつつあります。そもそも、ワクチン普及してもZoomは相当な顧客数を獲得し、ネットワーキングができています。

画像7

普通に考えれば、解約が相次ぐことはありませんよね。日本で働いている私ですら、Zoomは仕事で使ってますが解約予定が全くありません。社会的に「Work From home」は本格的に根付いてきているのではないでしょうか。

画像8


■ Revenue under Contract(RPO)

スクリーンショット 2021-06-02 6.57.04


RPOは受注残です。売上に計上される予定の契約になります。

Deferred Revenueは会計上まだ売上に計上していない分です。Unbilledはこれから納品する分です。契約は結んでいます。

Q1-2021:Unbilledは$979M(YoY+90%)、Deferred Revenueは$1,094M(YoY+98%)。


まだまだ堅調に伸ばしています。この時点で来期の決算も良い数字が出るとある程度把握できますね。


財務状況(資本配分/自社株買い/M&A)

■ 資本配分


Zoomは2021年1月(Q4-2020)に15億ドルの公募を実施しました。公募価格は$340。2021年6月1日現在は株価は$327。公募価格である$340を下回ってしまっています。


Zoom Announces Proposed Offering of Class A Common Stock

SAN JOSE, Calif., Jan. 12, 2021 (GLOBE NEWSWIRE) -- Zoom Video Communications, Inc. (NASDAQ: ZM), a leading provider of video-first unified communications, today announced that it has commenced an underwritten public offering of $1.5 billion of shares of its Class A common stock. In connection with the proposed offering, Zoom expects to grant the underwriter a 30-day option to purchase up to an additional $225 million of shares of its Class A common stock at the public offering price, less underwriting discounts and commissions. All of the shares in the proposed offering will be sold by Zoom. The proposed offering is subject to market and other conditions, and there can be no assurances as to whether or when the proposed offering may be completed, or as to the actual size or terms of the proposed offering.


■ M&A


公募増資で獲得したキャッシュで今後M&Aも視野に入っている可能性があります。現段階では特に実行していません。1億ドルのベンチャーキャピタルファンドは発表されました(これはニュースを随時追っていきたいと思います)。


FY-2021(2022年度)ガイダンス


前回決算から通期ガイダンス引き上げです。予想を上回り素晴らしいです。


■ Q2-2021:


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・売上:$985 - $990M(予想$932M)→◎
・Non-GAAP EPS:$1.14 - $1.15(予想94¢)→◎
・Non-GAAP Operating Income:$355 - $360M
・Non-GAAP Weighted Average Share Count:$311M

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


■ FY-2021(2022年度):


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・売上:$3,975 - $3,990M(予想$3,800M)→◎
・Non-GAAP EPS:$4.56 - $4.61(予想$3.76)→◎
・Non-GAAP Operating Income:$1,425 - $1,440M
・Non-GAAP Weighted Average Share Count:$311M

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


ZMのCANSLIM定点観測

「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。


オニール氏の理念は以下です。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。
・株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


CANSLIMとは以下の頭文字です。これら全てを満たすと「大化け株」となります。(満たしていなくても有望銘柄として売買はOK、投資家の技量が試される)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

C(=Current Quarterly Earnings=当四半期のEPSと売上)
A(=Annual Earnings Increase=年間EPSの増加、高いROE水準)
N(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)
S(=Supply and Demand=株式の需要と供給)
L(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)
I(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)
M(=Marker Direction=株式市場の方向)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


各項目の詳しい解説は以下の記事を参照。


また短期投資・中長期投資などと投資手法を分けず、「正しい銘柄を正しいタイミングで売買する」としています。

短期投資か長期投資かという選択はほぼないはずだ、ということです。


前回に引き続き、CANSLIMを通して、Zoomはオニールが定義する「大化け株」と言えるのかどうかを見ていきましょう。


筆者が行った判定結果は以下の通りでした。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□

C:◯
A:◯
N:X
S:△
L:X
I:◯
M:△

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


ここまで化け物決算を出し続けている会社は、「大化け株に間違いなしでしょ!」と思ってしまいますが、オニール流の銘柄選定法ではそうはいきませんでした。全てが◯の最高の企業を探さなければなりません。

ここまで厳しく銘柄を見るのは、米国株銘柄は6,000以上もあるのだから、最高の銘柄を探すべきである、ということですね。


ただし、大化け株ではなくともZoomは有望銘柄であるといえる会社だと思います。

値動きの趨勢が上を向き、正しいベースを作りブレイクアウトする瞬間を狙い澄まして、投資をしていっても良い銘柄として筆者は捉えています。


(ZMの6月1日株価チャート)

スクリーンショット 2021-06-02 6.36.49


■ C(=当四半期のEPSと売上) ◯


C(=Current Quarterly Earnings)を見ていきます。

ここでは以下の2つを判定します。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?
⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?

当四半期のEPSが前年同期比で大きな伸び率を示しているかどうかを見ます。最低目標は25〜30%です。より保守的に見るのであれば40〜500%です。


ZoomのQ1-21のEPSはYoY+560%でした。前回に引き続き、ぶっちぎりでクリアです。


⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?

次に売上の伸びを見ていきます。売上は25%以上伸びていますので、こちらも余裕でクリアですね。確認しなくてもわかります。

但し、Covid-19であまりにもQ2〜Q4-2020が跳ねすぎました。Q1-2021のYoY+291.4%はモンスター級ではありますが、伸びはまさかの鈍化。これをどう見るかです。

筆者の私見では、伸び率の絶対値に今回は着目して、直近3四半期で伸び率の加速も「◯」と考えたいところです。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

※YoY = year over year(前年同期比)

Q4-2018:$106M
Q1-2019:$122M(YoY+103%)
Q2-2019:$146M(YoY+96%)
Q3-2019:$167M(YoY+85%)
Q4-2019:$188M(YoY+78%)
Q1-2020:$328M(YoY+169%)
Q2-2020:$664M (YoY+355%)
Q3-2020:$777M(YoY+367%)
Q4-2020:$882M (YoY+369%)
Q1-2021:$956M (YoY+191.4%)←New!!

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴EPS、⑵売上双方クリアしているので、C(=Current Quarterly Earnings)は「◯」です。



■ A(=年間EPSの増加、高いROE水準) ◯


ここでは以下の2つを判定します。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?
⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?

年間EPSが過去3年連続で増加しているかどうか、増加率が25〜50%以上の銘柄かを見ていきます。


2年目のEPSが下がっている銘柄は除外されます。

Zoomの過去の年間EPSを見ていきます。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

Q1-2019:$0.03(YoY +400%)
Q2-2019:$0.08(YoY +300%)
Q3-2019:$0.09(YoY +800%)
Q4-2019:$0.15(YoY +275%)
Q1-2020:$0.20(YoY +567%)
Q2-2020:$0.92(YoY +1,050%)
Q3-2020:$0.99(YoY +1,000%)
Q4-2020:$1.22(YoY +713%)
Q1-2021:$1.32(YoY +560%)←New!!

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


EPSは3年連続で増加しています。昨年Covid-19の強烈な追い風でYoYが鈍化しているように見えます。しかし「増加率が25〜50%以上の銘柄」が対象である点で、560%は有り得ない程の高水準です。OKです。


⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?

ROEが最低でも17%を超えているかどうかをチェックします。

ZoomのROEは最新の情報で28.64%です。こちらは前回判定時から更新されてませんので、更新され次第情報アップデートします(今回もEPSが上昇しており、大きく変わることはないと思います)。


スクリーンショット 2021-06-02 9.36.23

(Yahoo Finance Statistics)


⑴EPS成長、⑵ROE共にok。A(=Annual Earnings Increase)は「◯」ですね。


■ N(=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値) X

N(=New Products, New Management, New Highs)を見ていきます。

株価が驚くような上昇を見せるには何か新しいもの(収益増加率を加速的に伸ばす原動力)が必要です。

Zoomは目下「Zoom Phone」、そして「OnZoom」に取り組み中です。

詳しくは前回記事の「主要プロダクト(Meetings/Video Webinar/Rooms/Phone/OnZoom)」項目を参照してください。


ZoomのN(=New Products, New Management, New Highs)は当たり前のごとく「◯」にしたいです。しかし、Nを◯にするには、正しい株価ベースを抜けて新高値をつける必要があります。


(ZMの6月1日株価チャート)

スクリーンショット 2021-06-02 6.36.49


2020年10月を天井に、また2021年2月、3月のハイパーグロース株を中心とした大きな調整が被弾し、株価は低迷しています。今回の決算で活気を取り戻すのかどうかはしっかり確認したいです。


過去の高値の$588.84を超えるにはまだまだ長い道のりですね。Covid-19市場において先導株だったZoomも、今の市場では出遅れています。超長期でZoomの上昇を待てるのであれば、今のうちに仕込んでおけば良いと思います。オニール流では買いではありません。


今後、どれだけの資金が入ってくるかは注目です。

判定をまとめると、現状、ZoomのN(=New Products, New Management, New Highs)は「×」です。


■ S(=株式の需要と供給) △


S(=Supply and Demand)を見ていきます。


Sは以下の複数項目があります。一つずつチェックしていきます。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)


例えば、発行済株式数が5,000万株ほどの比較的供給量の少ない銘柄ならある程度の買いが入ります(その分リスクも隣り合わせです)。

Zoomの総発行株式は236.28百万株です。

(2021年6月1日時点)

スクリーンショット 2021-06-02 9.47.24


Zoomの浮動株比率は88.3%です。(前回判定時から更新されていないので随時更新します)

大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましいです。企業として株価上昇に対する努力への期待度を示します。


Zoomの時価総額は2021年6月1日時点で965億ドル(約9.7兆円)なので「大企業」です。

同社の浮動株比率は88.3%(つまり残りは11.7%)。経営陣が保有している株式比率が1-3%を大きく上回っています。会社として、株式を持って本気で経営をしていることを示します。「◯」です。


⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。


上記「財務状況」の項目でも触れましたが、オニール流の「自社株買いをしている企業が望ましい」という点については、 Zoomは満たしていません。アップルペイパルのように積極的な自社株買いを行う方針は出していません。

「×」です。


⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。


次に、総資本に対する負債比率の低い企業かどうかを見ていきます。

過去2-3年で負債比率が減少していれば、利息支払い費用が削減されEPS向上が見込まれます。

こちらは年間で見る指標なので、今回はパスします。前回は「◯」でした。


⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか) 


最後に、直近の出来高についてです。

こちらは本日が決算だったので、後ほど更新したいと思います。


好決算で株価が大きく上昇する(機関が買い向かう)ようであれば、強気スタンスならその時点で買いにいくのがセオリー通りの投資です。機関は1日で投資し終わりません。

安全に買うのであれば、上昇後に少し下落してベース(地固め)を終えてまた再度出来高を伴い上昇する際に投資をしても遅くはありません。


5月18日までの出来高の推移は前回記事を参照してください。



■ L(=主導銘柄か、停滞銘柄か) X


業界内で最高の業績を記録しているかどうかを測る「L(=Leader or Laggard)」を見ていきましょう。

ここでは業界内上位2-3銘柄に入っているかどうかを判断します。


これは、レラティブストレングス指数が80〜90代かどうかで判断をします。

レラティブストレングス指数とは、ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと過去五二週間にわたり比較するものです。 各銘柄に1~99の数値が割り当てられ、高ければ評価が良いと判断されます。


2021年6月1日時点のZMのRS Rateは15でした。(5月29日時点では29なので下落中、悪い傾向です)

オニール氏が銘柄検討を実施する際の、大前提となる「80」の数字を大きく下回っています。


ZMは残念ながら、引き続き「L」(=Leader or Laggard)は「×」です。


■ I(=機関投資家による保有) ◯


I(=Institutional Sponsorship)を見ていきます。

株価を押し上げるには大きな需要が必要です。投資信託、年金基金、ヘッジファンド、保険会社など。機関投資家に保有されている銘柄であるかどうかが非常に重要になります。


また、その機関投資家は高いリターンを出す優秀な組織体(ファンド)なのか?という点も大切です。

見極め方として、最近の四半期で保有する機関投資家の数が着実に増加しているか、株主数が著しく増加しているか。


また株主となった機関投資家は誰なのかまで詳しく調べます。

「優秀なファンドが大人買いしているか」を満たさなければならないのでかなり高度な判定です。

まずはOKTAの機関投資家保有株数の直近の動きです。2020年末までは機関保有数は増加傾向でしたが、1-3月に減少傾向にあります。


まずはZoomの機関投資家保有株数の直近の動きです。2021年3月末までの動きを見ていきたいところです。


スクリーンショット 2021-06-02 9.59.23

(引用:Fintel「Institutional Ownership and Shareholders」)


2021年に入っても機関投資家の保有は増加しています。あの株価の下落からはここまでの増加は想像がつきませんでした。非常に良い傾向です。


参考までですが、以下はMarketSmithで確認できる、ZMに投資をしている機関投資家(ファンド)の数です。一応、こちらは増加傾向にあることが確認できます。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

Jun-20:956
Sep-20:1,239
Dec-20:1,465
Mar-21:1,610

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


但し、ファンド数が増えても、優秀なファンドが買っていなければ、その銘柄は有望ではありません。

直近の株主は以下の通りです(Yahoo Finance:Holders)。名だたる投資ファンドが未だにZM株を保有し続けています。


Top Institutional Holders(機関投資家Zoom株保有上位)

画像17


Top Mutual Fund Holders(投資信託(ファンド)Zoom株保有上位)

画像18


ベンチマークを超えるリターンを超えることが使命とされるのがアクティブファンドです。

前回判定時点で以下超一流の4ファンドにZoomは投資をされていました。「Morgan Stanley Inst Fd Inc-Growth Port」は同じくハイパーグロース銘柄である「OKTA」にも投資をしています。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

□ ファンド名(保有数良順)・・・10year Performance(Before Tax)

・ARK ETF Tr-ARK Innovation ETF・・・46.27%(5 years)
・Morgan Stanley Inst Fd Inc-Growth Port・・・21.77%
・Vanguard U.S. Growth Fund・・・17.61%
・Morgan Stanley Insight Fund・・・22.88%

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


今回は、トップ10から「Morgan Stanley Insight Fund」が外れ、代わりに以下のファンドが上位に食い込んでいます。T.Rowe系列ですね。超優秀ファンドが名乗りを上げています。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

□ ファンド名(保有数良順)・・・10year Performance(Before Tax)

Price (T.Rowe) Global Technology Fund・・・22.34%
Price (T.Rowe) Blue Chip Growth Fund Inc.・・・17.07%
Price (T.Rowe) Growth Stock Fund Inc.・・・16.57%

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


直近四半期(1-3月)で機関投資家の保有数量が増加、現在の上位株主から、優秀なファンドにも購入されていることが確認できます。I(=Institutional Sponsorship)は「◯」という判定になりますかね。難しいところです。



■ M(=株式市場の方向) △


M=Marker DirectionはZoom株に関わらず全銘柄に関わることです。

「強気相場」であればハイパーグロース株を積極的に買っていっても良いとされています。2021年6月1日現在は「Uptrend Under Pressure(上昇相場頭打ち)」です。株式相場から資金が抜けています。


その根拠は週刊レポートで確認してください(毎週末に定期更新)。

米国株式市場:今週の合戦の振り返り!


2021年6月1日時点の株価チャート

スクリーンショット 2021-06-02 6.36.49


こちらは本日の決算を受けての値動きを確認した上で更新します。AHは上げていますが、どのくらい相場で上昇するのでしょうか。今回のZoomの決算を市場はどう捉えるかをしっかり見届けましょう。

ここから先は

0字

¥ 400

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?