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濃密な時間が流れた、ドラマ『Destiny』最終回

第9話で最終回を迎えたドラマ『Destiny』。でも決して尻切れトンボという感じではなく、すべての謎に決着がつけられた納得の展開で、その世界観を十二分に堪能させてもらいました。

12年前の≪大学時代の友人・カオリの死≫と、20年前の≪父・英介の死≫に隠された真実が明らかになってからの「野木邸放火事件」。放火事件現場から逃げる祐希を見かけた真樹が祐希をかばって逮捕され、「もう会わない」と決めたのに検事と被疑者として対峙することになってしまった奏と真樹。第二章のスタートはヒリヒリする感じでした。

第7話では、奏が病院から抜け出した真樹と一緒に逃避行する道を選んだのかと一瞬ヒヤッとしました。でも奏には真樹が放火犯ではない確信があったと思われ、最初から二人の想い出の場所・長野で一緒に時間を過ごして横浜に連れ戻そうとしていたようでそれはホッとしました。

ただこれがきっかけで、奏の一番辛い時期を支えてくれた婚約者・貴志とあっけなく別れることになってしまったのはなんとも歯がゆく残念でした。奏の言葉で貴志をどれだけ大切に想っているかは伝わったと思うんですが、真樹の存在が奏の中で再び大きくなっていくのが分かってしまったんでしょうね。

安藤くん(安藤政信)はどのドラマでもハッピーエンドではない役どころが続いているので、次こそ幸せになって欲しいと思ってしまいます(個人的見解ですみません…。)

すべての謎を解決するため、一つひとつ粘り強く証拠を見つけていこうとする検事・奏の行動力には胸を打たれたし、それはまさに自分の仕事を「正義を貫くこと」と言い遺して志半ばで自ら命を絶った父・英介への”弔い合戦”でした。

完璧にクリーンな政治家なんて日本に存在するのかどうか疑問ですが、自分の保身のために汚い手を使うのだけはやめて欲しいと切に願います。

『環境エネルギー汚職事件』すべての黒幕は元総理・東忠男。

突如証拠としてあがってきた議員秘書が官僚に補助金交付の便宜を図るように指示したメール。これこそが東によって”ねつ造”された証拠であり、このメールによって検察は強引に息子・正太郎を起訴に持ち込んだ、これは”えん罪”だと野木をたきつけたわけです。弁護士として独立したばかりの野木もまた、東によってまんまと騙されたわけですね。

東の息子・正太郎の無罪、すなわち自らの正義を勝ち取ったと信じていた野木は、東の「もくろみ通りの、それ以上の働きをしてくれた…今後ともよろしくね」という言葉で、すべて東が仕組んだことだと理解します。伊武雅刀のニヤリとしたあの憎たらしい表情は、東にピッタリでした。

その人柄も仕事ぶりもよく知っていた野木は、奏の父・英介のことを尊敬すべき先輩だったと…。英介の自殺を知って後悔しなかったと言えば嘘になるだろうと言いました。

かおりが『環境エネルギー汚職事件』の件で野木に接触し、真樹もまたあの事件に首を突っ込んできた…。

その頃、東の秘書・秋葉が野木に接触してきて、あの事件の口封じにかかっていると感じていた矢先に起きた放火事件。東は本気で野木を抹殺しようとしたわけです。

なんとか生き延びた野木は「君は青い。青くて真っ直ぐだ。だが、それを武器に君が闘うというなら、僕はすべてをかけて協力する」と、弁護士人生を捨てる覚悟ですべてを話し、奏に力を貸してくれると言いました。

秋葉の先には、あの男がいる…元総理・東忠男。

奏の上司役「横浜地方検察庁」中央支部の支部長を演じた高畑淳子の存在感も、後半になるにつれどんどん大きくなっていきましたね。やっぱり高畑さん、あなたはすごい俳優です!

いよいよ放火事件について検事として秋葉と対峙する奏。それはイコール『環境エネルギー汚職事件』の真相も明らかになるということ…。

事務官の加地が秋葉とつながっていたという衝撃もありながら、その加地が使わされていたガラケー。本体のデータが消去されていたものの、秋葉は20年間ずっと料金を払い続けていた…ここに深い深い意味がありました。「データ保存サービス」つまり、携帯会社のサーバーでデータを安全に保管できるサービス。それが目的でした。

そこに例のねつ造メールの証拠が残っていました。秋葉は何かの時に東を脅す武器になるかと、殺されないようにと大事に持っていたお守り(ねつ造メール)が自分の首をしめることになるなんて…と、自嘲気味に笑いました。この秋葉の演技もお見事でした。

秋葉はもちろん、元総理・東忠男も″教唆″の罪で逮捕。『環境エネルギー汚職事件』での父・英介の疑いも晴れてめでたし、めでたし。最終回、野木の告白から秋葉との対峙まで濃密な時間が流れました。

野木と真樹親子の関係性についても、奏のお陰で少し変化が生まれる予感。

「野木先生ね、言ってた。『真樹はとんでもないバカだ。だが、アイツの生き方がうらやましいと思う時もある。アイツを死なせたくない。生きていてほしい。どれだけアイツに憎まれても、真樹は僕の大切な息子だ』私は野木先生を信じる。私も同じ気持ちだから。真樹に生きることをあきらめて欲しくない」

ドラマ『Destiny』最終回より

貴志が執刀した真樹の手術も無事に済み、四人でかおりのお墓参りへ。大学生の頃の懐かしい思い出話に花が咲き、久しぶりに平穏な時間を過ごしました。

ラスト…奏と真樹のこれからを匂わせて終わりましたが、個人的にはこの二人はここでお別れの方が自然だったかな…と思います。貴志を不幸にしてまで結ばれて欲しくはないというか。

でも出逢ってしまったのが二人の「運命(Destiny)」だとするならば、それを背負いながら二人生きていくのもアリなのかもしれません。

今クールの中では、ドラマ『Destiny』はかなりハマった方でした。石原さとみ、この路線いいと感じました。シナリオ本、買ってしまいそうです(笑)。

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