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ゾクゾクする骨太なヒューマン・サスペンスが幕開けした、ドラマ『笑うマトリョーシカ』

冒頭、かなりショッキングなシーンから幕を開けたドラマ『笑うマトリョーシカ』。

登場人物たちそれぞれの黒い思惑が不気味にうごめいていて、今後の展開が楽しみで次回に期待感を抱かせる上々の滑り出しだったと思います。

主演の新聞記者・道上香苗役の水川あさみは、一本芯の通った正義感の強い雰囲気がぴったりでした。

訳あって社会部から文芸部に異動させられた道上。若き政治家・桜井翔演じる清家一郎の自叙伝の取材で訪れた彼の母校で、今の清家のイメージとはかけ離れた姿を知ることになります。

高校時代から清家を支え、政治家になった今も政務秘書官として清家のブレーンであり続ける玉山鉄二演じる鈴木俊哉。

何か気になると、自分が納得するまで調べずにはいられない…そんな道上が疑問を持ったのは、清家の自叙伝に鈴木の名前が一切出ていないこと。

実は渡辺いっけい演じる香苗の父・道上兼高が、28年前に不動産の利権絡みで起きた贈収賄事件、通称「BG株事件」をスクープしました。その事件は政治家の関与が疑われたけれど、事件の真相は結局闇の中に葬られてしまい…。

事件の主犯として逮捕され、一人罪を背負ってその後自殺した大手不動産会社ビッグガリバー社長・宇野耕介。父は再び「BG株事件」を追いかけていて、その過程で清家の政務秘書官・鈴木が宇野耕介の息子であることを突き止めていました。

そして父は鈴木に取材をする約束をしたその日その場所で、突然の事故によって亡くなります。「実はな、今調べてることがあって…」という最期の言葉を遺して。

父の事故は鈴木が仕組んだのではないかと考えた道上は、清家に取材をするという名目で、鈴木に切り込んでいきました。

なぜ父を知らないと嘘をついたのか?
なぜあの日あの場所で父と会う約束をしていたのか?
お父さんのことで政治家を恨んでいてもおかしくないはずなのに、わざわざ秘書に転身したのはなぜか?

のらりくらりと道上の鋭い質問を交わし、犯罪者の息子であることがバレたらあることないことマスコミに騒ぎ立てられ、先生(清家)に迷惑がかかるから自叙伝から名前を消させたという鈴木。

なぜそこまでして清家を総理にしようと目論んでいるのか?

道上にとっては、まるでAIのように主体性の感じられない中身が空っぽのような清家。それに対して裏で清家を操っていると思われる策士の鈴木。

清家に呼び出された道上は食事をしながら身の上話や、これまでの仕事の話などします。その帰り際、清家に「道上さん、これからも僕を見ていてくださいね」と唐突に言われた道上。

このセリフの意味は!?

その後清家の密着取材を特別に許された道上の元に、匿名で清家の大学時代の論文が送られてきます。タイトルは「ナチズムにおける権力の二重構造について エリック・ヤン・ハヌッセンに関する考察」。

ヒトラーを称賛しているその論文。ヒトラーのブレーンだったハヌッセンを肯定しているのが一番の問題だという道上。

清家が書いた論文だとすれば、自分にとってのハヌッセンは鈴木。ヒトラーの危険思想を持っているのは、鈴木の方?

大学時代の鈴木がこの論文を清家に書かせた?
自分の思うがままに清家をコントロールしようとしている?

いろんな疑問が渦巻く中、清家の定例会見を観た道上は戸惑います。清家の提言の内容は、先日清家と食事をした際に道上が語った内容そのもの。「親族里親制度の周知を徹底したい」「社会的養護を本当に必要としている人に必要な情報がしっかりと届き、利用者に有益な選択肢が増える環境をまずは整えたい。手厚いケアを受けられるよう、必要な予算をしっかりと確保するために最大限の努力をしていく所存」

この会見を観た後の道上のナレーションが、清家一郎という人間の底知れぬ不気味さを醸し出していました。

もしも清家一郎という人間が、強い意思を持たない代わりに他人の意見を真綿のように吸収して、理想の人物を完璧に演じきる特別な才能を持っていたとしたら…。その才能に気づいた者は裏で彼を思いのままに操り、自分の野望を叶えようとするかもしれない。

鈴木俊哉の野望って?
もしこのまま清家一郎が強大な権力を手にしたら…。

もしかしてSOSってこと?だとするとこれを送ってきたのは清家一郎本人?私に助けを求めてる?

ドラマ『笑うマトリョーシカ』第1話より

清家一郎があの張りついた笑顔の裏で何を考えているのかが、非常に気になります。ドラマのタイトル『笑うマトリョーシカ』。入れ子になっているマトリョーシカのように、これから清家がいくつの顔を少しずつ見せていくのか…また一週間待ち遠しいドラマが始まりました!!

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