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【千田琢哉の頭脳】Vol.0505(2010年6月23日発行のブログより)

3代目経営者です。祖父の代からの老舗で地域ではそれなりに名前を知られています。ところが老舗は老舗でいいのですが、単に保守的で進化のない古びた組織になりつつあると大きな危機感を持っています。それは現会長の父親の代から感じてはいました。当時私は専務として時間を持て余していましたが、いずれ自分が社長になったら組織を成長させるのはおろか、存続させる自信もないな、と不安でした。放っておくと縮小していくのは必至ですが、組織のリーダーとして絶対に気づいておかなければならない役割を何か置き忘れているような気がしています。

(三重県・会社経営・Tさん・男性・50歳)

組織のリーダーの仕事は組織で一番仕事ができることではありません。

社長より知力も体力も溢れている社員がたくさんいる会社なんて
いくらでもあります。

有能な部下の能力を見逃さないことがリーダーの仕事です。

その業界のパラダイムシフトを起こしていくような
イノベーター(変革者)はベテランの中からはめったに生まれません。

たいていは若手社員であったり、偏屈で癖のある社員だったりするのです。

伸びない会社というのはそういったダイヤモンドの原石を寄ってたかって
排除します。

その結果、優等生的な凡人のみが残ってしまい、
成長することはありません。

成長というのは、居心地が悪いことに挑戦することです。

多少の苦痛も伴います。

魚類から両生類が生まれたときに、
いったい何匹の魚の雄たちが死んだことでしょう。

きっと地球上すべてが海だった時代から、
陸が生まれ始めたときには、「異端児」の雄たちがえら呼吸を止めて、
雌の前でどれだけ陸上で息を止めていられるのか
しのぎを削っていたはずです。

やせがまんして長い間えら呼吸を止めていた雄だけが
唯一、子孫を残せたのです。

やせがまんした数え切れない「バカな」雄たちがいたおかげで、
肺呼吸ができるようになり、生物は進化したという仮説が私は大好きです。

次の時代を創っていくのは、
若手であり、異端児で邪魔者扱いされている人たちだとすれば、
リーダーはその人たちを他と一緒に排除してはいけません。

大手メーカーには優等生がたくさんいます。

でも異端児は排除されますから、ノーベル賞級の発明が生まれるのは
みんな零細企業や中小企業、せいぜい中堅企業ばかりです。

人・モノ・お金・情報・設備において
圧倒的に恵まれているはずの大手企業からは
現在の延長線上の商品は生み出されますが、
イノベーションは生まれません。

学生時代にオール5を取ったことが唯一の自慢の人は要注意です。

なぜなら、檻(おり)の中で大人しくできた動物園の動物だという
証に過ぎないからです。

人の中から次のイノベーターが生まれます。

知識は凡人でも身につけることができますが、
智恵は落ちこぼれた経験がなければ絶対に身につかないのです。

特に歴史ある保守的な老舗においては、
リーダーは異端児こそ大切に見守らなければなりません。

...千田琢哉(2010年6月23日発行の次代創造館ブログより)

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