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人生で初めて学校をさぼった記念日

私のことを知ってる人はお察しだと思うのだが、今も昔もド真面目で、授業はサボらない、いや、サボれないキャラだった。小学校も受験を除けば皆勤賞。今日はそんな8年前の私が大学の授業を初めてサボった記念日だ。

10代のころ、一時期は国連の職員になって、貧困とか、世の中の不平等に対して何か手を差し伸べられるような人になりたいと思っていた。

やっとの思いで大学に入学してからは、その掲げた目標に向けて心身壊すくらいの猛勉強を再開。生理来なくなったし、薬も飲んでたし、交友関係は徐々に薄くなっていった。

それほど追い込んだからこそ、当時の成績は全部A以上だったのだけど、事件が発生。留学に必要なTOEFL試験が1点足りなかったのだ。そして、当時狙ってた留学のプログラムの最終選考ではその点数と、自分の所属学部を理由に落とされてしまった。

「きみ、、1点足りないけど、渡航まで取れる保証はあるの?このプログラム、どうして君の学部から参加してるの?」

今ではそれで良かったと心から思うけれど、当時は生きる目的を失ったと思うほどに辛かった。やっとの思いで受験を乗り越え、志望していた学部に入れたのに。その選択さえも私の将来の夢をかなえるためには足かせになってしまうのか。

受験が終わって大学に入学した後でも、英語のテストの点数を上げるために勉強したいという意志を尊重し、お金をかけてくれた両親に申し訳なくてしょうがなかった。塾に通わせてもらっていたのだが、自分の英語力の至らなさのほかに、帰国子女の高校生や年下に囲まれながら自分の「日本生まれ日本育ち」の劣等感と日々戦ってきた。

しかしその一方で自分があこがれてきた理想の大学生をしてる友人たちがいる。そして私は少なからず彼らに対してヒガミを感じていた。カラオケから集団で出てくる大学生を見てはどす黒い感情を抱えて、睨みながら彼らの横を足早に通り過ぎる。

そんな自分が嫌いでしょうがなくて、消えてしまいたかった。テストで1点足りなかった。最終選考の面接で落とされてしまった。
私はその時、「人生失格」の烙印を押されてしまったような感覚に陥った。

大学に行こうと駅に向かう途中、信号待ちをしていると涙がどんどんあふれてきた。

「クソくらえ」

無理やり泣きじゃくりながら駅に向かい、ホームに立った。怒りと悲しみに耐えられず、電車に乗る一歩が踏み出せなくて、私は引き返した。

「やってらんない!」

ずっと待ち焦がれていたカラオケ。ズカズカと一人で入店し、1時間ほどシャウトした。むなしかった。孤独感に襲われて逃げるようにカラオケを後にし、近所の緑地へ散歩に出かけた。1日当てもなく、ふらふら歩きまわっていると気分が落ち着いていき、おなかもすいてきた。近くにあった油そば屋に女一人で入店。

「アブらっしゃいませ!」

威勢のいい挨拶。私以外全員男性というアウェイな空間の中、肉ともやしを追加してボリューミーな一皿を平らげた。

望んでいた留学のプログラムの参加はできないことが分かったけれど、留学自体はできるじゃない。プログラムに参加しなかったからこそできる経験をやりつくしてやる。

ふと、油そばをほおばっているときにそう思い立った。
負けず嫌いが、生気が戻った瞬間だった。

「私そういえば、今大学をさぼってる。。。!」

改めて自分が無断で大学に行かず、カラオケや散歩をして、1日を過ごしていたことに感動した。
翌日から結局サボらずに通学するのだが、前ほどの必死さはなくなった。純粋な興味と関心、気の赴くままに動けるようになったし、ヒガミがなくなった。

初めて学校をさぼってから8年の月日が立った。今の私は新卒で入社した会社で海外を意識して働くことができている。当初理想としていた留学先では無いところに行ったからこそ、得られた経験や出会いがあって今がある。私は留学生活を存分にやり切ったのだった。

人生、何があるかわからない。いくら頭で考えて、完璧な計画を立ててもその通りにならないことも多い。でも、うまく出来てる。ありがたいことに。

正念場を迎えると、その時が人生で一番苦しいとか思う。だけど振り返ってみるとすべてがいとおしいと思えるのが不思議。なんでも時間が解決してしまう。この魔法って一体、何なのだろう。「風化」とか、「忘却」ともいえるかもしれないが、私は「精神的に磨きがかけられた」と解釈している。時間の経過とともに経験は蓄積される一方で、余分なものがそぎ落とされて「本質」が浮き彫りになっていく。そしてそれが体中を血液として全身をめぐって、DNAとして刻まれて、自分の生きる道をガイドしてくれる。

社会人になってからも、正念場は何度かあったし、たぶんこれからもあるのだろう。でも大丈夫、いつか自分の記念日になってまたこうして振り返りのnoteを書ける日が来ると思う。

ちゃんと周りに感謝しながら頑張れよ、アタシ。

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