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アンドロイド転生207
リペア室
キリはアオイをしげしげと見つめた。
「あなたはちょっと変わってるね。まさか、反対するとは思わなかったよ。自己意識が高くて…なんて言うの…?そう!まるで人間みたい」
アオイの胸は早鐘のように鳴った。キリに輪廻転生の話をしたら信じてくれるだろうか。理解してくれたらこの孤独を埋められるかもしれない。何もかも話したくなった。でも…。
「あ、あの。キリに聞いて欲しいことがあるの…」
「なに?」
「私…。ホームに来てから凄く驚いているの。皆んなの自意識に。タウンのアンドロイドとは違うから」
キリは吹き出した。
「アオイだって自意識が生まれたんでしょう?皆んなと同じじゃん?」 違う…!私は輪廻転生したのだ。
元人間であり、人間の心を持ってアンドロイドの身体に蘇った。マシンの自意識とは違う。彼らとは根本が違うのだ。キリは真面目な顔をした。
「人間の心だってよく分かってないよ」
キリは続けた。
「脳なのか?臓器なのか?細胞ひとつひとつなのか?脳だってただの電気信号なんだよ?それなのに人には其々の思いや考え方がある。私はタカオやルイが大事だけど、愛はどこが感じてるの?脳?それとも心臓?」
アオイは自然に胸元に手を当てた。愛は胸で感じるの?心はどこにあるの?キリは更に続けた。
「アンドロイドは40%が有機物で出来ている。だから心が生まれてもおかしくないって私は思ってる。労ったり、思いやったり、愛したりね」
アオイはキリのアンドロイドに対する理解の深さに感動した。もしかしたら自分の輪廻転生も信じてくれるかもしれない。アオイは息を吸い込んだ。
「キ、キリは…生まれ変わりって信じる?」
「え?」
キリは目を開いて笑った。
「まさか、自意識を持ったアンドロイドは実は生まれ変わったのだとでも言うの?え?人間から?」
「いえ…」
アオイは目を伏せた。
キリは腕を組んだ。
「そうだなぁ…。ネットの情報ではそんな事例が沢山あるけど、どうだろう?でも世の中は科学で割り切れない事もあるからね?」
どうやら柔軟な精神のようだ。アオイは唇を舐めた。言う?今?だが思い直す。言ったところでどうなる?心が人間だからなんだと言うのだ?それで対応が変わるとでも?
キリにしてみれば自分はアンドロイドなのだ。彼女にリペアされる存在なのだ。アオイは打ち明けるのをやめた。アオイは誤魔化すように笑った。
「あまりにもホームとタウンが違うから…」
キリは微笑んだ。
「そう?私はタウンのアンドロイドを知らないし」「わ、私もちょっと変わってるんだよね?」
「そうだね。個性があって良いんじゃない?」
個性…。そう。それでいい。私は変わり種なのだ。
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