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アンドロイド転生703

白水村集落:リペア室

『ミオのメモリにウィルスが発生しました』
イヴがアンドロイドに通信した。穏やかな夕食のひと時に、恐ろしい宣告がなされてしまった。キリ達に伝えて直ぐにミオをリペア室に運んだ。

室内にはアンドロイド達。そしてホログラムのイヴ。キリとリョウとケンジがいた。全員の顔が困惑しそして怒りに燃えていた。ミオは部屋の隅で蹲り、ガタガタと震えていた。

自意識の芽生えたミオは、たとえアンドロイドと言えども恐怖心がある。幸か不幸か心が宿ったからだ。前回も戦々恐々としたのに、またもや苦しみを味わう事になった。

キリが眉間に皺を寄せてイヴを見上げた。
「クラウドよりも上層階から落ちたの?」 
『はい。ヘブンです。そこに格納されていたのです。私は手出しが出来ません』

全員が唸った。優秀なイヴでさえも手に負えない事があるのだ。イヴは続けた。
『ウィルスプログラムは前回の物と同じ形質です。ゲンの仕込んだ物で間違いありません』

リョウが舌打ちした。
「くそっ!腹立つな…また落ちるなんてよ」
アンドロイド達も悔しそうに頷いた。本当に再度、発生するなんて予想だにしなかった。

キリも舌打ちをする。なんて事だ…。ミオはまたもや危険に晒された。ウィルスを作ったアンドロイドのゲンはこれを見越していたのだろうか。全く恐ろしい程の悪意に満ちている。

リョウの父親のケンジも険しい顔をして腕を組んでいる。怒りのオーラが溢れていた。彼もコンピュータのプロだ。全力を尽くしてミオを助けたかった。ミオを娘のように思っているのだ。

イヴは眉間に皺を寄せた。
『やはり僅かに変異しています』
前回もコピーされた時にプログラムが変異したのだ。まるで自然界のウィルスのように。

キリは悔しそうに顔を歪めた。変異しているとなると、そう簡単にはデリートが出来ないだろう。この少しの変異が厄介なのだ。一同の心に暗雲が立ち込めた。

イヴは残念な顔を浮かべて一同を見渡す。
『1番の問題点はカウントダウンの始まりが24時間です。前回の半分です』
全員が驚愕し、絶句した。

前回は48時間からスタートしたのだ。まさか半分になるなんて…!互いに顔を見合わせて頭を抱えた。誰もが恐れた。前回はウィルスを削除するのに19時間も要したのだ。

恐怖のあまりミオは泣き出した。
「いや!いや…!」
室内に彼女の嗚咽が響く。恋人のルークがミオの頭をそっと撫でて抱き締めた。

デリートするのに何時間掛かるのだろう。だが間に合わなければウィルスプログラムは解凍し発動される。一体どんな事態になるのか分からない。削除しなければ。何が何でも。全員が決意した。


※前回のウィルスが発生したシーンです

※前回のウィルスがデリート出来たシーンです



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