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#1 海溝とエビ~生命の起源~

グラスに入れた焼酎を炭酸水で割り、レモンを絞る。今日のお供はレモンサワー。最後に残る芋の味わいがたまらない。

いよいよ、「海の探検」の1日目だ。

コース詳細の説明のあと、メイントピックに入っていく。

「EXPLORE THE CAYMAN TROUGH」

(ケイマントラフへの探検)

テーマの空気感を決して壊さない言葉選びに、愛すら感じる。

「ケイマン」諸島って聞いたことあるな。どこだっけ、と考えても思い当たらない。あたたかな平和なビーチが頭の中に広がるだけである。

一方「トラフ」については、物騒だが南海トラフ地震という語をよくきくせいか、耳なじみがいい。僕は、遠くの南の島の海底の話に違いないと決めつけ、サワーをぐいっと喉を湿らす。

「ケイマントラフ」とは、カリブ海底に位置する海溝。海溝は二つのプレートが引っ張り合うように移動することで生じる谷のことで、ケイマントラフは東西に引っ張られてできている世界で最も深い海溝の一つらしい。さらにこの海溝には二つの熱水噴出孔(hydrothermal vent fields)、いわば深海の間欠泉があるらしい。

この発見が2009年というから驚きだ。世界一の深さであるから、見つかるまでに時間を要したのも納得できる。

ちなみに、熱水噴出孔はBeebe(ビービ/ビーブ)とVon Damm(読み方不明)という名前が付けられており、それぞれ海抜約5000mと約2000mにある。添付の動画を見ると、深海間欠泉に大量のエビが群がっている様子がわかる。ぬくもりが心地好いのだろうか。

光って見える部分があるが、それ以外はよく見るエビと違いがなく愛らしい。深海といえばグロテスクな見た目の生き物と思いがちだが、必ずしもそうではないらしい。

このエビに関しては見かけ上大きな違いを感じないが、生息地の特殊性から他の環境では生きられない種が約7割もいる。そして、これらは熱水固有種と呼ばれている。

熱水噴出孔は地球上の生命が最初に誕生した場所とも考えられており、生命の起源を探るのに重要な拠点なのだ。

そういえば、深海好きの知り合いが、沼津の深海水族館が面白いと話していたのを思い出した。このエビも見れたりするのだろうか。

謎多き海への憧憬と自粛明けのプランに妄想が膨らんできたところで、次のテーマは明日に持ち越すことにする。

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