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【こばなし】山菜と放射能

先日、ポットラック(持ち寄り)で、お花見をした。正確にはもう桜は散ってしまっているので、すっかり葉桜になった木の下で。


ある人は畑で採れたほうれん草だったり、またある人は近所の農家のトマトだったり、またまたある人は地元のそばを使った稲荷そばを作ってきてくれたりと、豪華なランチを思う存分楽しんだ。

他にもタカキビという雑穀を使ったビーガンソーセージに手作り塩麹を和えたカブ、玄米おにぎりにじゃがいもと野菜の炒め物。デザートは全て手作りで、柏餅にかぼちゃプリン、ゆべしにババロア。そしてなんと言っても春の山菜の「コゴミ」を使った胡麻和え(写真右)。これがわたしが一番おいしいと思ったものだった。

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たくさん食べた後は、みんなで畑や林の中を散策。コゴミ、ヨモギ、ミツバ、コシアブラ、ゼンマイ、シオデなど、さまざまな春の山菜を見つけながら、散策を楽しんだ。一緒に行ったメンバーは山菜の知識が豊富で勉強になることばかり。少しばかりヨモギを収穫したので、スワッグにして乾燥させたあとに、お茶かお風呂に入れよう、とワクワクウキウキ。
「山の中は美味しい食べ物がいっぱいあるし、十分豊かに生きていけるじゃん!」なんて思った。

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しかし、私が住んでいるところは福島第一原発から約100km。原発事故から10年経った今でも、その年に初めて収穫する初物(野菜や穀物)は全て放射線量を測定する。最近は食品からはあまり高い数値は検出されないが、タケノコやキノコ、野草は未だに数値が高く、コミュニティとして食べてはいけないものとして定められている。

原発事故による放射能汚染が、環境や人の健康、人間関係、経済のみならず、「春の山菜をとり、食べて、季節を感じる」という日本の文化まで奪ってしまったことに、寂しさを感じずにはいられない。

この土地で安心して、山菜取りが楽しめるのはいつになるのだろうか。




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