見出し画像

フラフープを回す(小説)

夏になって気温が上がっているのではない。僕の頭が熱くなっているのだ。そうでなければ説明が付かない。なんでこんなにくらくらなんだ?

 きっと頭の中の脳みそは溶けてきている。アスファルトに置かれた牛脂みたいに、嫌な感じだ。本当に嫌な事だと思う。そんなのが自分の頭の中に入っているなんて、信じられるか? 信じたくないけれど、でもそう考えるしかないのだ。僕は今、お昼の食事を取って、オフィスに帰ろうとしている。そして、頭の中に牛脂を抱えている。

 この後の仕事は何だったか。えっと。ああ、その前に作業書を書かなくてはならない。それは大変な仕事だ。やる気が全く出ない。本当に嫌だ。頼むから、やめてほしい。

 ああ頭がクラクラする。まるでフラフープを回している時のよう、懐かしいなあ。僕はあれは上手くできない。自分が回っているのか、フラフープが回っているのか。どっちなんだか、分からなくなってしまう。今もそんな感じ。自分がおかしいのか、周りがおかしいのか。暑さがおかしいのか。そう、きっと、暑さがおかしいのだ。何もかも暑さのせいだ。だから、アイス買っても、許されるよね?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?