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ブックレビュー#1 母性 湊かなえ 著

ショッキングなことに
ブックレビューの#リングを揃えていたら#1が思いっきり削除されておりました。僭越ながら再投稿します。9/12に掲載した分です。
♡も4つもらってたのに。。。ごめんなさい!!!

たとえ親子でも、わかりえない時はある…
子供を持つ母親なら、
至極当たり前にあるとされる母性…

それが時として、自分自身
目を背けたくなるほど
自分を冷たく突き放すことがある。

人間は、間違えなく誰かの『子』
ではあるが、必ずしも『親』に
なりきれる訳ではない。

ときに自分を偽り
エゴが見え隠れする時は
子供にその本性を隠す。
 
子供は天国から母親を選んで
降りてくるというが
選ばれたことが幸いする人と
そうでない人がいそうだ。

私semo自身は
「夢は『お母さんになること』」
という一風変わった子供だったので
27歳で母となった時には
その人生をTVに例えるとするなら
母になる前は白黒TV
母になってからはカラーTVという位
出産は、感性に色と奥行きが生まれた
素晴らしい出来事だった。

子供が褒められる事があれば
自分のことよりも嬉しく
子供が傷付くことがあれば
自分の事よりも辛い。

けれど、私を育てた母は
そんなふうに私を思っては
育ててなかったと思う。

『時代』だと言ってしまえば
それまでながら、母の母
つまり私の祖母が非常に
献身的で愛情深い人だったせいか
愛があることが自然で
わざとらしく子供を愛する人
ではなかった。

むしろ常に父にとっての良き妻を目指し
70を超えた今も現役の良き妻である。

私は幼少期から
そうした良き妻である母を
少し残念な女性に思って
距離を置いてきた部分もある。

私は母とは違う人生を歩もうと
漠然と考えて来た気もするし
現にそうなっている。

でも、その事は決して
私達親子が不仲な訳でもないし
母は離婚をした私を支えてくれ
友達と飲みに行く私に代わって
子供達を見ててくれたりする
器の持ち主だ。

きっと女はこうあるべきだ
などというステレオタイプに
がんじがらめなタイプではなく
素で献身的な良き妻タイプで
そこに無理はないようだ。

そして私も、男性と肩を並べて
働く事には文句はなく
自分の足で、さほどしっかりとは
言わないまでも、何となく
立てていはける「自立自走女」である。

ストーリーに話を戻すと
親子、母性で辛いのは
一番理解してもらいたい親子同士が
相手の性格やメンタルを理解できず
守り合うべき家族なのに
団結ができない状況が
長い時間継続し、歴史になり
事件になってしまうということだろうか。

ボタンの掛け違いはどの家庭にも
あり得ること。
また女性の中に眠る同性ゆえの
嫉妬や遠慮、そして家庭内の
男達の不甲斐なさを余すところなく
表現された湊かなえワールドは
非常に深く、また暗かったが、
ネタバレを恐れず言うと
最後は救われた気がする。

秋には映画化され
永野芽郁、戸田恵梨香の
『ハコヅメ』ペアが
映像上、どんな親子関係を
演じるのかも興味深いところ。
この秋の公開が楽しみだ。
(ちなみに映画の撮影は
『ハコヅメ』より前だったらしい。)

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