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毎日読書#247 『醤油・味噌・酢はすごい - 三大発酵調味料と日本人』(小泉武夫)

例の騒ぎで小学校が休校となり、私はほぼ在宅で仕事をこなす事になった。結果、家で、家族全員が一緒に食事をする機会が増えた。これはこれで楽しいので大歓迎なのだけど、これまで給食や外食ですませていた食事を、すべて自宅で賄うようになったので、家の食材が凄い勢いで減っていくことになった。特に米、ほぼ毎食食べるから、ものすごい勢いで消費されていく。

それ自体は想定の範囲内というか、最初からそうなるのだろうとは思っていたので別に良いのだけど、それよりもなによりも驚いたのは、醤油と味噌の減っていくスピードが凄いこと。もう、どんどん減っていく。ほかの調味料なんて目じゃない勢いで減っていく。ああ、醤油と味噌って、日本人の食事の基本なのだなと改めて思い知る位に減っていく。

日常的な食料品の買い物については、われらが心のスーパーマーケットである「オオゼキ」が最高の仕事をしてくれているので問題ないのだけど、調味料が想定よりも早いペースで無くなっていくので、予想しないタイミングで在庫切れを起こしてしまう。午前中に買い物をすませたのに、昼食を作っていたら味噌を切らせてしまい、また午後に買い物に出る、なんてこともあった。

身近に手前味噌を作る方々が沢山いるのだけど、家族が多いと、ちまちま買う位なら自宅でドーンと作ってしまえ、なんて気になるのがよくわかった。なにせ、スーパーで売られている500グラムのパック、あれがアッという間に減っていく。

我が家では5人目の家族ともいえるホットクックで豚汁を作る事が多いのだけど、これで味噌をモリっと使う。料理の味にコクを加えたいときに隠し味的に使うし、チーズトーストを焼く前に薄ーく塗ったりする。生野菜には直接付けるし。

醤油もあっという間に減ってしまう。

私は魚が大好きなので、しょっちゅう食べているのだけど、どんな食べ方をしようが、味付けには、まず醤油が使われるので、醤油がどんどん減っていく。パスタ等の洋食メニューでも使ってしまうので、本当にすぐに無くなってしまう。

毎日、醤油と味噌を使わない日は無い。下手したら毎食使っている。こんなにも密接に日本人の食事と結びついていたのかと驚く。和食ってのは、すなわち醤油と味噌をいかに使いこなすか、という世界なのかもしれない、なんて考えてしまう。

本書では、そんな醤油、味噌、そして酢、これら発酵調味料がいかに「すごい」のかを紹介している。いやね、改めて説明してもらわなくても、凄い事なんて重々承知だよ、という感じだとは思うのだけど、その成り立ちの歴史や製造の方法について、どのような種類があって、どのように使われているのかについて、意外に知らないのではないかしら。

醤油、味噌、酢について、それぞれ章をもうけているのだけど、各章は、まず「歴史」から始まり、その後製造方法の詳しい説明にうつる。日本の料理に欠かせない調味料の歴史と、時間をかけて洗練が進んだ製造方法は、日本の料理の歴史を知る事になる。そして、ああ「すごい」なぁと感心する。

発酵調味料の歴史を知ることで、今の日本の豊かな食文化は、これら発酵調味料があったからこそ生まれたものなのだろうな、と感じる事になる。

特に魚料理。私たち日本人は、世界一魚介類を食べるそうだけど、地理的な条件はあったにせよ、やはり、醤油や味噌などの発酵調味料があったからこその発展ではなかったのかなと感じる。

ところどころ、著者の主観やエビデンスの示されない主張なども挟まれるが、わかりやすく、丁寧にまとめられている。とても面白いし、勉強になるのでおススメです。

酢はね、我が家では減らないんですよ。なぜならまだ子ども達が苦手だから。7歳4歳にとってはただの刺激物。良かれと思って酢飯を作ると、鼻をつまんで逃げてしまう。早く、酢のすばらしさに気が付いてほしいな。

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