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毎日読書#271 『交渉力 結果が変わる伝え方・考え方』(橋下徹)

今日は、売れている本を読んでみたシリーズ。

自粛中で自宅にこもりきりで、書店にも飲み屋にも行けない。普段の読書も、このnoteでも、積読の解消を中心にやっていたのだけど、やっぱり新しい本が読みたい!

書店は楽しい。書店で平積みになっている本を眺めていると、世間の関心がどこにあるのか、どんな人が注目されていて、どんなビジネスが流行りそうで、どんな政治課題があって、最新の化学トピックは何か。そういったことがよく見える。

自宅に居るだけだと、どうしても目に入る情報が偏ってしまう。

ああ、書店に行きたい。しかし、無理だ。ちゃんと自粛したい。

かわりにアマゾンのランキングを覗いてみることにした。そして、ここから「売れている本」を何冊か選んでみて、しかも、自分では買わなそうな本を選んでみて、それをnoteに感想をかいてみようと思い立った。今日が第一弾。

本日読んだのは橋下徹による「交渉力」の指南書。

本人が幾度となく経験してきたタフな交渉をふりかえり、その極意を整理して紹介してくれている。

著者は「交渉」を「話をまとめる力」と定義する。

「話をまとめる」目的は「譲れない線を死守」する事で、そのためにはあらゆることを武器にして戦う事になる。譲歩すら武器だ。

書いてあることは正しいのだと思う。

おそらく、この通りにテクニックを磨けば、交渉事には強くなるし、利益の最大化にも貢献する。

しかし、それは「相手に殺されない」程度には良く思われない事を覚悟する必要がありそうだ。傍目には、なかなかしんどい人だ。

しかし、だからと言って全く役にたたないマッチョ本かというと、そうではない。

第二章の要望の整理のところはナルホドと思える内容だった。私たちのような、調和と協調をもって利益を最大化したい小市民にとっても重要なテクニックが紹介される。

それは、交渉にあたっての事前準備にある。まず自身の要望について全て洗い出し、整理し、リストアップをし、そのリストの全てに「正しい」優先順位をつけ、さらに「絶対に譲れない」最終防衛ポイントとなる重要な要望を決めておく。というものだ。

そして、実際の交渉では、様々なテクニックを(相手に殺されない程度に)ほどほどに駆使しながら、(決裂ラインでもある)重要な要望以外については、交渉のカードと割り切り、譲歩と妥協を繰り出しながら要求を通しつつ、利益の最大化をギリギリまで粘る。というものになる。

私も交渉事では事前準備と落としどころの整理は必ずやるのだけど、これをやる人は意外に少ない。これを整理しておくだけで、冷静になれるし、ミスも減る。

本書のさすがだなと思うところは、この整理を、相手の分もしておけという点だ。相手の要求を分解し整理し、譲れないラインのディテールを把握しておくことで、互いにメリットを得ようという考え方は、言われてみればそのとおりだ。良い取引とは、必ずそういった落としどころが見つかったうえで合意に進むケースが多い。

3章から5章は、橋本さんが実際に府知事、市長として政治を行ってきたときの話が中心となるのだが、ここは裏話的な話題も多く読み物として、なかなか面白い。

本書では何度もアメリカのトランプ大統領が登場する。きっと大好きなのだろう、幾度も登場しては、その手腕を褒めたたえており、第六章では、章を丸ごと使ってトランプ(と金正恩!)の交渉術を褒めたたえている。

この六章が最後の章なので、本書の締めがトランプ(と金正恩)だ。そんなところに、橋下徹の目指すところが見えてくる。

ランキング買い。意外に面白かった。


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