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アメリカ独立の機運を高めた一通のパンフレット 『コモン・センス』

書店で、なぜか本書が平積みになっていた。「コモン・センス」も「トマス・ペイン」も見たり聞いたりしたことはあるけど、読んだことはない。ということで読んでみましたよ。

『コモン・センス』(トマス・ペイン)

ニュースやビジネスの情報などで、話題が途切れる事が無いアメリカという国。しばらく占領されていた事もあるし、占領の前後(太平洋戦争前後)で日本国内では文学から思想から、何から何まで分断されている事からも、相当に強い影響を受けている事は確か。なんだけど、普段の生活ではあまり強く意識したことはない。

思えば全然アメリカという国の事を知らないなと気がついたので、意識的に歴史や文化を紹介するような本を読んでいこうかなと考えていました。

まぁ、あとは、大好きなアメリカ人作家の文学作品の背景を理解する上でも、歴史の理解は大事かなと思ったわけです。

真面目か、と突っ込まれそうだけど、教養とかそういう堅苦しいことじゃないんです、良いコンテンツを全力で楽しみたいという欲張りです。

そこで何故ペインの『コモン・センス』を最初にもってきたのか、というツッコミはさておき。

本書は4部構成になっていて、

(1)「政府一般の起源と意図について、合わせてイギリス憲法について簡潔に意見を述べる」では、キリスト教的な視座に立った政府とは何か、どのような起源をもつのかを論じ、

(2)「王政および世襲制について」では、強烈な王政批判を繰り出し、

(3)「アメリカの現状を考える」ではアメリカが独立すべき理由を論じ、

(4)「アメリカの現在の力について、合わせて種々な意見を述べる」では、アメリカには十分にイギリスと戦う力があり、独立を勝ち取ったあとも独立独歩でやっていけることを説いている。

87ページと短い文章なのだけど、中身はとても情熱的だし、論は苛烈。

当時の植民地民のとしてのアメリカ市民が、どんな気持ちで独立戦争に向かっていったのかを知る資料として読むと、当時の空気感を少しでも感じることが出来るのかもしれない。

そして、そういった理解を深める事は、アメリカ独立戦争の理解はもちろん、独立から現代にいたるまでの歴史の理解、そして、現在のアメリカが抱える人権問題等の社会的課題を理解するためにも役立つのではないかな。




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