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食事ではなく食品の話 『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』

今日も Prime Reading からです。これも書店で並んでいて一瞬気になったのだけど、いつのまにか書店で見かけなくなって忘れていた本。プライムありがたい。

  『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介)

医学研究で明らかになっている事をベースに、現時点で何を食べれば健康を維持することが出来るのか、逆に、何を食べないようにしたらよいのか? を紹介してくれるもの。

タイトルには「食事」とあるけど、中身は「食品」の話だった。

ポイントは、まずはエビデンスのレベル感を揃えて紹介していること。まず「ランダム化比較試験(RCT)」がおこなわれているものについては「強いエビデンス」として。つづいて「観察研究」がおこなわれているものについては「弱いエビデンス」として区別し、しっかり分けて紹介している。

ランダム化比較試験がいかに強力な説得力を持つかを知るには、サイモン・シンの『代替医療解剖』を読むと良いです。この本は、科学読物を読むときの土台作りにもなるので、絶対読んだ方がいいですよ。

もう一つのポイントは、栄養素ではなく、食品そのものにフォーカスをあてて紹介している点。というのも、たとえば人参などの野菜を多く取ると、がんに罹患する確率が下がるという話があるのだけど、それではと、栄養補助としてサプリ等で「ベータカロテン」を取ると、逆にがんのリスクを高めたり、死亡率があがる事がランダム化比較試験で証明されている。ベータカロテンびっくりだよ。

こんな調子でチョコレートはやっぱり身体に良い事や、精製された炭水化物は良くないこと、地中海食は科学的にも健康に良い事など、いろいろな所で見聞きしてきたような試してガッテン的な食品にまつわる話の集大成の様になっている。

ただ、エビデンスベースで紹介といっても、元になる研究には一切ふれておらず、結果のみを紹介しているのが不安なところ。都合の良い数字だけ抜いてきて、ことさら強調して見せている可能性もあるよな、なんて思いながら読んでいた。もっと紙面をガッツリ割いてもよいので、根拠となる研究の紹介もしっかりされていると良いのになと思う。


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