見出し画像

鉛筆への偏愛っぷりが素敵 『考える鉛筆』(小日向京)

ほぼ毎日読書をし、ほぼ毎日「読書ログ」を書いています。442冊目。

最近、鉛筆関係の本を手に入る範囲で購入し読んでいます。

これまで読んできた本は鉛筆の歴史や文化を中心に紹介したものが多かったのだけど、本書は鉛筆という道具への愛を吐き出した本でした。

どんな本なのか? これはもう、目次を見て頂くのが早い。(Amazonから転載)

序章 鉛筆のすすめ
第1章 鉛筆カスタマイズの愉しみ
 1、削る愉しみ
 2、香る愉しみ、愛でる愉しみ
 3、ナイフで削る
 4、刻印文字を入れる
 5、いろいろな握り方をする
 6、消しゴムの話
第2章 鉛筆の持ち運び
 1、キャップ各種
 2、日本手拭いで鉛筆入れ
 3、パーフェクトペンシル
 4、手帳やノートに挟む
 5、出張先で鉛筆を使う利点
第3章 そもそも、鉛筆って何?
 1、芯
 2、軸
 3、尻軸まわり
第4章 どこにでも書いてみよう
 1、紙
 2、敷き台
最終章 思考の流れを邪魔しない鉛筆

帯には

何一つ役に立たない、すばらしき鉛筆大全

というコピーが、美しい鉛筆の削りかすの作り方のイラストと一緒に書かれていた。

本を読む際、いつも目次を凝視するようにしっかり全部読むようにしているのだけど、本書の目次は、最初のほうから「香る愉しみ、愛でる愉しみ」とか出てくるので(良い意味で)心配していたのだけど、その心配は見事的中で、削りかすへの言及などは、もはやフェティシズムの域へ行ってしまっていて読んでいて楽しい。

削りかすが好きすぎて、うっかり「かす美」と名付けている。どうかしちゃってるけど愛は伝わってくる。

著者は、削りかすから、いや「かす美」から立ち上る芳香を楽しむよう読む人に迫ってくる。

アロマテラピーの一種といってもいいほど(P18)

とまでいいきり。削りかすの形状で香りも変わるからということで、削り器にも強いこだわりをみせ、代表的な削り機の紹介が始まるのだけど、結果として著者の愛用品が、私も愛する「エンゼル5」に行き着いていることに少し困惑をする。

エンゼル5は言わずとしれたカール事務機器の名品中の名品なのだけど、このエンゼル5の削りかす、いや「かす美」は削りかすの形状が「愛らしく」て、木軸と芯の香りが独立した状態で香るので素晴らしいそうだ。

試しに私もエンゼル5の「かす美」を嗅いでみましたが、うちの「かす美」からはクミンのような香りがしました。これ、鉛筆によっても香りが変わるのかな。ちょっと楽しい。

あ、しまった。わたしはそっちの人じゃないので。

装丁がかわいい、サイズもコンパクト。良い紙が使われていて書き込みのしやすさも抜群。鉛筆が好きな方や、新しい世界を覗き込みたい方へ。

この記事が参加している募集

#推薦図書

42,541件

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。