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【書評】やっぱり誠実な人が上手くいく

0.初めに

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誠実な人と聞いて,どんな人を思い浮かべるでしょうか.

・浮気をしない人?
・正直な人?
・自分の否を認められる人?

これらはいずれも間違っていませんが,断片的な特徴でしかありません.ビジネス書を読むと多くの本に,「重要なのは誠実性である」といった言葉が書かれています.それでは一体,誠実性とは何なのでしょう?

誠実に生きるためにはどのような点に注意を払い,どういったことを心がければ良いのでしょうか?

本書では,以下の9つのポイントが挙げられています.

1.腰の低い人間になる
2.誰に対しても正直になる
3.約束を守る
4.目の前の人を大切にする
5.誠意のある対応で人に接する
6.誠意を持って仕事をする
7.アフターフォローの達人になる
8.他人に喜びを与える人になる
9.我欲を捨てる

本書では,この9つのポイントのノウハウを様々な事例を引き合いに出しながら,わかりやすく説いています.

「仕事運が悪い」
「願望が叶わない」
「人間関係が上手く行かない」

こういったことで悩まれている方への一読がおすすめされています.是非一度手にとって見てください.

なお本書の書評は3部に分けて執筆する予定です.

1.腰の低い人間になる

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本書の冒頭で,本田技研工業の創業者である本田宗一郎さんのエピソードが語られています.本田さんが融資先を決める際に,その一番の決め手は「人間性」だったそうです.

では人間性とは何でしょう?

本田さんは以下のように答えたそうです.

「いかに誠実で,謙虚であるかです」

本田さんは,融資先を決めるにあたり,ノウハウや技術力よりも,腰の低い人間であることが成功を収める確率が高いと考えていたことになります.

他にも石原裕次郎さんも腰の低い人間としてエピソードが語られていました.つまるところ,「成功をおさめ,人から敬われる人は,いつ,いかなる時も謙虚な姿勢でいる」ということだと思います.


それでは謙虚で腰の低い人間であるためには,まずは何をすべきなのでしょうか?

1つは,自慢話を慎むことであると述べられています.

実例として,Aさん,Bさん,Cさんの3人の講師を招いた海外移住に関する説明会について取り上げられています.

この説明会は好評で,第二回,第三回,,,,と継続したそうなのですが,途中からCさんだけが呼ばれなくなったそうです.

3人の講師にどんな違いがあったのでしょうか?

AさんとBさんは海外移住するためのポイントや注意点を自身の失敗談を交えて語ったそうです.

一方で,Cさんは
「私は現在,こんなに大きな家で暮らしています」
{毎日,こんなご馳走を食べています」

と言った風に,自慢話しかしていなかったそうです.

確かに高度な自慢話には最初は感動するものですよね.でも,自慢話ばかり聞かされ続けるとだんだん退屈するようになります.

そして個人的に最も重要であると感じるのは,聞かされた側が「劣等感を味わうことになる」という視点です.自分とは別格の話を聞かされたら,そう感じるのも当然ですね.

その点,腰の低い人間は自慢話を口にすることはありません.どんなに誇らしい業績があったとしても,むしろ失敗談などを交えながら相手を笑わせようと努めます.

一般的に人は,そういう所に誠実さを感じるものなのかもしれませんね.

2.誰に対しても正直になる

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誰に対しても正直になるためには,まず自分を大きく見せようとしないことが大切であると本書では述べられています.

わかりやすい例として,東南アジアに古くから伝わるという民話が紹介されています.

ある時,一匹のキツネが山道を通りかかったら,怪我をして倒れているトラに出会ったそうです.キツネがトラの頭を踏んだ瞬間,トラはそのまま息を引き取ってしまいました.

翌日,キツネは森の小動物達を集めて,

「自分はトラと決闘して勝った.私は強いのだ」

と大いに自慢したそうです.するとそれを聞いていたリスがこう言いました

「最近,私が暮らす森にトラが出没して困っている.早速,決闘してやっつけてはくれないか」

リスからこう言われたキツネはオドオドしっぱなしで,一向にトラと戦おうとはしなかったそうです.キツネが周囲からの信頼を失ったのは言うまでもありません.


翻って,私達人間はどうでしょうか.キツネのように,見栄を張って自分を大きく見せようとすることがあるのでは無いでしょうか.

一度大きく見せると大変です.その後もほころびが出ないように取り繕うことに腐心しなければなりません.もし,ほころびが出れば周囲から信用されなくなるでしょう.

無理に背伸びをして,自分を大きく見せる必要はないと本書では述べられています.そうすれば,誰に対しても無理なく接することができ,何よりも正直で誠実な人という印象を抱いて貰えることでしょう.

個人的に付け加えたいのは,「正常な範囲での背伸びは成長のために必要」であるという視点です.確かに無理をした背伸びは禁物ですが,多少の正常な範囲での背伸びは自分を成長させてくれると思います.

例えば見栄という観点でいえば,ちょっと良いものを持つ,ちょっといい所に住むなど,今の自分により少しグレードの高い状態に引き上げてくれるものがあると,それに見合う人間であろうと努力するのでは無いでしょうか.

そのような正常な範囲での背伸び自体は,むしろ良い影響を与えてくれるのではないかと私は考えています.


苦手なこともさらけ出すことの重要性についても述べられています.

私達には,得意なこともあれば苦手なこともあります.
「国語は得意だけど,数学は苦手」
「リーダーシップを取るのは得意だけど,人とコミュニケーションをとるのは苦手」

そういう時に,私達は苦手なことを隠してしまいがちです.しかし本書では,「苦手なことは苦手」と正直に言ったほうが良いと述べられています.その方が相手に誠実な印象を抱いてもらい,信頼が深まるようになるからだそうです.

実際に古代中国であった話が例に挙げられています.

詳細は割愛しますが,「苦手なことは苦手とはっきり言ってくれる人間の方が信頼できる.自分の不備な点をさらけ出す人間は,やるべきことは全力を出し切ってきちんとやろうとするからだ」ということでチャンスを与えられた料理人がいたそうです.

また,本書では苦手と同様に失敗も語れる人間になるといいとも述べられています.

人は知識や教養,実績をひけらかす人よりも,失敗を素直に認め,正直で語る人に興味,関心,共感を示し,好意を寄せるものである.

自分の苦手を明確に理解した上で,それを言語化して他人に伝える勇気を持ちたいものですね.

3.約束を守る

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ここまでに,腰の低い謙虚な人間になり,誰に対しても正直な人間になることの重要性について述べられていました.

そして,その他に重要なこととして,約束をきちんと守る人間である必要があると,本書は説いています.

約束をキチンと守ってこそ,本当に誠実な人として評価され,良好な人間関係が築けるようになるのです.

守るべき具体的な約束について,本書では「時間」「締め切り・納期」が挙げられています.

時間について,以下のようなエピソードが紹介されています.

幕末,江戸幕府が通商条約の批准書の交換のために,アメリカに使節団を派遣したことがあったそうです.そのアメリカ人が日本の使節団の武士を見て称賛したのが,時間を守る姿勢だったそうです.

その当時,アメリカ人は時間に比較的ルーズなところがあり,人との待ち合わせは10分~20分遅れることはザラだったようです.

ところが日本の武士たちは,打ち合わせや歓迎パーティーの際,約束の時間の10分前には会場に到着するように努めており,その誠実さに心を打たれたそうです.

ほかにも,成功を収めるような人の多くは時間を厳守しており,実際に政財界の要人が集まるパーティー,お祝い会などに遅れることがほとんどないそうです.

約束を守る人になる上で,時間を守ることは最も日常的な習慣として定着させたいですね.

締め切り・納期に関しても広義で見れば,時間を守るということに他ならないでしょう.その仕事が遅れたら迷惑がかかる人が居ると念頭において,是が非でも締め切りに間に合わせるという姿勢はどの時代や地域を生きる人にとっても重要な概念になると思いました.


約束を守る上で注意しなければいけないこととして,自分の発言を忘れないようにすることです.本書では,その予防策として自分の発言をメモする習慣をつけることをオススメしています.

例えば,商談があって担当者の人と好きな日本酒の話で仲良くなったとしましょう.その様な際に,忘れないうちに自分の発言や相手の発言をメモしておき,次回の商談の際に相手の好きな日本酒を差し入れる,といった具合ですね(最近は受け取れない企業も多いそうですが).

他にも恋人同士で相手が気になっているお店のデザートなどがあれば,なにかの機会に差し入れてあげれば喜んでくれるでしょう.

大切なのは,その日のうちに会話をメモしておくことですね.私個人は,毎日の日記に書き込むようにしています.


また,「必ず」「絶対に」という言葉は安易に使わない,と主張がなされていました.我々は日常生活の中で,以下のような言葉を使う,あるいは掛けられることがあります.

「夕方までに必ず書類を提出します」
「来週の日曜日には絶対遊びに行くね!」
「3ヶ月以内に必ずノルマを達成します」

幾つかの例外を除いて,世の中に絶対はありません.もしかしたら,書類を提出しようと思ってもネットワークがつながらなくなるかもしれませんし,データが急に消えるかも知れません.

18世紀のフランスの哲学者ジャン=ジャック・ルソーは以下のような言葉を残しているそうです.

気軽に約束しない人は,最も誠実に約束を守る

確かに守るべき約束が多ければ多いほど,守れない可能性も高くなりますね.

しかし,「絶対」や「必ず」という言葉は相手を安心させるとう意味ではプラスです.本書では,それらの代替手段として「できるだけ早く」「よほどのことがない限り」という言葉を使うことを提案しています.

しかし実際に,「できるだけはやく」と言われても安心できないのでは?と個人的には思います.一番ありがたいのは,「よほどのことがない限り」+「10日以内に」「2時間以内に」などの数字を含んだ提示の仕方が良いのではと感じました.

いずれにしろ,まずは出来ない約束をしない,出来そうでも絶対ではないことを申し添える,というのが大切かも知れませんね.

4.最後に

いかがでしたでしょうか?
今回は,植西聡氏の「やっぱり誠実な人が上手くいく」の書評を執筆しました.

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今日も最後まで読んでいただき,
ありがとうございました.

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