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東レエンジニアリング、NEC開発のPLMソフトウェア「Obbligato」と生成AIを活用し、製造DXに向けた実証開始

発表日:2024年6月13日

概要

東レエンジニアリング株式会社とNEC株式会社は、設計業務の効率化と技術伝承の促進を目指し、NECのPLMソフトウェア「Obbligato」と生成AIを用いた実証を2024年8月より開始します。

東レエンジニアリングロゴ(HPより引用)

背景と課題

製造業では人手不足や熟練技術者の高齢化が進み、技術伝承が大きな課題となっています。設計の上流工程においては、過去の製品開発におけるアイデアや設計文書などの情報を検索・活用するプロセス、すり合わせによる価値創出など、経験豊富な技術者のノウハウが不可欠です。この課題を解決するため、両社は生成AIを活用した実証を行うことにしました。

実証の内容

実証では、NECのPLMソフトウェア「Obbligato」と大規模言語モデル(LLM)を連携させます。具体的には以下の2点を実施します。

  1. ドキュメントの要約
    Obbligatoで管理しているドキュメントに登録された複数のファイルの内容を、LLMを用いて要約し表示します。ファイルを開かずに概要を確認できます。

  2. 技術情報の問い合わせ
    Obbligatoで管理している技術情報に関して質問すると、LLMが過去の製品開発で蓄積された情報をもとにチャット形式で回答します。元情報の参照・確認も可能です。

東レエンジニアリングは、プラントエンジニアリングから半導体製造・検査装置に至る幅広い事業を展開しており、多様な設計業務を抱えています。この実証を通じて、各分野における設計業務の更なる効率化と精度・速度の向上について有効性を検証していきます。

「技術情報の問い合わせ」の画面イメージ

PLMソフトウェア「Obbligato」

NECが開発した製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアです。主な機能は以下の通りです。

製品データ管理(PDM)
製品に関連するすべてのデータを一元管理し、追跡が可能
・設計データ、図面、仕様書、製造工程情報などの多種多様な情報を統合管理
・データの改訂やリリースに関するメモの追加が可能

変更管理
製品の設計やプロセスへの変更要求、計画、実装、評価を行うための体系的なプロセスを提供

要求仕様管理
組み込みソフトウェアの開発プロセスを要求仕様、ユニット設計、統合・検証の各段階に分類して管理

部品表(BOM)管理
部品や材料の品目、数量などの情報を効率的に管理
・データの可視化と共有が容易

レポートと分析
プラットフォーム内の製品情報を活用した各種レポートを提供

Obbligatoは、製品開発のライフサイクル全般に渡る多様な情報を一元的に管理することで、設計業務の効率化と製品品質の向上を実現するPLMソフトウェアです。NECはObbligatoのクラウドサービス提供や、導入を容易にするテンプレートの提供など、ユーザビリティの向上にも注力しています。

Obbligateのサービス概要(NECのHPより引用)

両社の取り組みと目標

東レエンジニアリングは、今回の実証を通してObbligatoとLLMの連携機能の向上に貢献するとともに、技術の維持と高度化を推進し、社会課題解決につながるプラントや装置の開発・展開を強化していきます。

一方、NECは価値提供モデル「BluStellar」のもと、最先端テクノロジーによりビジネスモデルを変革し、社会課題とお客様の経営課題の解決を目指します。

ObbligatoのLLM活用における実証を拡大し、LLM活用機能を搭載したObbligatoの新バージョンを2025年春に提供開始する予定です。

両社は共創活動を推進し、Obbligatoや製品開発プロセスへの生成AI活用により、設計の高度化と製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を目指していきます。

このように、東レエンジニアリングとNECは生成AIの活用を通じて、設計業務の効率化と技術伝承の促進を図り、製造業の課題解決と競争力強化に取り組んでいます。


参考文献

https://jpn.nec.com/obbligato/index.html


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