LifeWear magazine 解読 06
はいはーいはい、みなさん、お元気ですか!
やってまいりました!LifeWear magazine 解読 第6回でございます。
今回は『Recycling Journey』です。
それじゃ早速いきましょう!
■パート1 ダウン・リサイクリング
そう言えばわたし、ダウンってなんなのか、知りませんでした。
調べてみますと、
ダウンとは水鳥の胸の部分に生えている羽のことで、芯がなく、やわらかい質感で空気を多く含む特性があります。一方フェザーはそれ以外の部位を占める羽で、芯があり、弾力性があり型崩れしにくい特性があります。
https://blog.gxomens.com/history-of-down-jacket/
とのこと。さらに
空気を多く含むダウンが多いと保温性が高くなりますが、必要量を集めるには費用がかかります。また型崩れしやすいというマイナス面があります。そこでダウンとフェザーを混合して欠点を補う方法が主流になっています。
多いのはダウン70~90%、フェザー10~30%という混合比ですが、デザイや価格等を見合わせながら快適なものを見つけてください。
(同上)
だそうです。なるほど。
で、このダウンで作ったジャケット(上着)がダウン・ジャケットなわけですね。
わがユニクロは(なにが『わが』なのだ)、2009年に「ウルトラライトダウン」を発売し、大いに売れたようです。
しかししかし、
原料としての羽毛の枯渇を心配する声があります。
飼育日数の短い安価な食用水鳥が増産されるようになり、高級食用とされる昔ながらの水鳥の数が減っています。羽毛はその副産物なので、良質なダウンが供給されないという傾向にあります。需給と供給のアンバランス解消することが求められているのです。
また生きたまま羽根をむしられて殺傷される水鳥の様子がニュースになると動物愛護という観点からも警鐘が鳴らされています。
そこで注目されているのがリサイクルダウンという考えかたです。一定期間使用したダウンは、洗濯などによりバージンダウンと比べ初期の不純物がすでに取り除かれた状態になっています。そのため再び選別をすればより良質なダウンとして再利用することが出来るのです。ダウンの寿命は使いかた次第で人間の平均寿命よりも長いのだそうです。
(同上)
という事情もあり、わがユニクロは(だから、なにが『わが』なんだっつうの)
「ユニクロ(UNIQLO)」は全商品をリサイクル、リユースする取り組みRE.UNIQLO(リ・ユニクロ)を始動。回収衣料を難民支援や代替燃料に活用してきたが、新たに“服から服へ”生まれ変わらせることを実現。
https://www.wwdjapan.com/articles/1142447
さらに
その第1弾となる「ユニクロU」のウルトラライトダウンが(2020年)11月2日に発売される。
(同上)
という運びになったんです。
さらにそうした動きの背景には、EUで本格化しようとしている「サーキュラー・エコノミー(Circular Economy:CE)」という経済モデルがあるようです。
CEについて興味のある方は各自調べていただくこととして、ともかくわがユニクロは(もういい!)、まずはダウンからリサイクルを開始したわけです。
昨年(2019年)9月〜今年(2020年)2月末までの半年間で、日本全国から、なんと62万着のダウンを回収できたということです。
2006年からユニクロと戦略的パートナーシップ契約を結んでいる東レは、これまでにも、ヒートテック、エアリズム、ドライEX、ウルトラライトダウンなどの大ヒット商品を開発していますが、今回のリサイクル・ダウンもユニクロと東レさんがユニットを組んだのです。
回収したダウンから効率よくダウンだけを回収するオートメーション機の設計を2018年から始め、今年ようやく完成し、この11月からリサイクルしたダウンを発売できるようになったんですね。
開発にまつわる詳しくは、例えばこちらなどを参考にしてください。
https://www.fashionsnap.com/article/fujiwarashiori-uniqlo-recycledown-trip-part1/
CEという思想・運動をすぐさま取り入れて、これからはサステナブルだ!と方向を決めていく柳井社長は、見ているだけできもちいいです。(だから、見てないでしょ)
またダウンの回収も引き続き行うそうで、
ダウンの商品回収活動を今秋からグローバルに拡大します。国内では、ユニクロのダウン商品を店頭にお持ちいただいたお客様には、感謝の気持ちを込めて国内のユニクロ全店舗/オンラインストアにてご利用いただける500円分のデジタルクーポンを発行します。5,000円(税抜き)以上ご購入で1会計あたり1枚お使いいただけます。
https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/corp/press-release/2020/09/recycledown_20091716.html
とのことです。
■パート2 ペットボトルを服に
実は上記リサイクル・ダウンの発売よりも早く、2020年の春夏シーズンから発売されているのが、回収ペットボトルを原料とした高機能速乾ウェア「ドライEX」という商品。
回収ペットボトルから作られるリサイクル繊維は、これまで特殊な断面を持つ繊維や極細繊維の生産は困難だったほか、ペットボトルの劣化などによる黄ばみの問題が課題となっていたが、リサイクル原料中の異物を除去するフィルタリング技術でバージン原料同様に多様な繊維の製造が実現。
https://highsnobiety.jp/p/uniqlo-toray/
ということだが、雑誌記事中にもあるように、
品質が変わらない再生ポリエステル。それを作ることこそが、ヒートテックやエアリズムなど、これまで画期的な機能素材を開発してきた東レとユニクロが、サステナブルな商品開発をスタートした2018年5月に掲げた目標だった。
生地の質が劣れば結果的に売れ残り、環境負荷低減に貢献どころかマイナスにしかならない。だから、消費者が純粋に欲しいと思う服を作らなければ意味がないと両社で幾度も話し合いを重ねて約2年。ようやく商品化に辿り着いた。
LifeWea magazine P.29、またhttps://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/lifewear-magazine/recycling-journey/より
というあたりの考え方が真っすぐで、ほんとにきもちがいい。
日本のペットボトルだけを使うことを決め(日本のものは異物が少ないそう)、調達先にこだわって純度の高い原料を確保することができた。
そこから先、その原料を糸にするプロセスは協栄産業とタッグを組まれたという。もちろんそこには東レさんもいて、3社協働体制で「ドライEX」として商品化した。
さらにこの項では「SDGs」(「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」)というもうひとつのサステナブルな思想・運動を例に挙げてくるあたりが、ただの服屋さんじゃないところ。
もし作り手が妥協すれば、衣類に姿を変えたペットボトルが地球に滞留してしまうだけで、何の解決にもならない。長く着たいと思ってもらう価値を加え、信頼できる高品質を循環させる。それこそが、未来に求められるサステナブルのかたちである。
LifeWea magazine P.29、またhttps://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/lifewear-magazine/recycling-journey/より
何度聞いてもきもちがいい。
以上、今回も素晴らしい記事でした。
■次回予告
次回はいよいよ「Kenzo Tange and Harvard University」を解読していきたいと思います。これまた長くなりそうだー!
ほんじゃ、またね〜
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