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訪問診療マッサージ集客の極意ー会話の展開を考える

会話の展開

 ケアマネジャーや相談員との会話やコミュニケーション方法に苦しんでいる営業担当者も非常に多いのではないかと思います。訪問活動における会話の展開について、私たちは、常に「訪問のきっかけ」を探さなければなりません。訪問活動というのは、一度や二度で終わるものではなく、私たちが訪問医療マッサージを継続する限り永遠に続くのです。ですから、毎月の訪問活動における会話のネタに困るのも当然といえば当然なのです。この会話のきっかけにおいて、ケアマネジャーや相談員とのコミュニケーションが取りやすいタイミングが三つありますのでご紹介いたします。


①担当者変更の初回訪問時

 初回訪問時というのは、お互い知らないということもあり、相手に興味・関心がなくても自己紹介をすることにより、急激に距離を縮めることができます。優秀な営業マンの条件の一つに、相手の雰囲気や空気を察知し会話のプランを組み立て、その会話のゴールまでの道筋を描けるかどうかがありますが、初回訪問(挨拶)というのは特に大切なものです。この初回の挨拶でどれだけ相手との距離を縮められるかは、営業担当者の実力の差が大きく出てしまいます。とはいっても、初回から仲よくすることができない! という人もいると思いますので、そんな人のために必勝アイテムをご紹介します。営業は8割が準備といいますが、その準備の内容は人それぞれなのです。

 私が皆さんにお勧めするのは「自己紹介カード」です。どの業界の営業マンにも、自己紹介カードは活用されています。しかし、他業界と訪問医療マッサージが異なる点は、医療保険という医療分野であり、かつ介護業界では介護保険サービスと並んでコモディディ化(一般化)しているということです。必ずといっていいほど、高齢者支援のための選択肢の一つとしてメニューに載るのです。したがって、訪問医療マッサージを利用してもらえるかどうかは、ひとえに営業担当者とケアマネジャーとの相性の問題ということになるため、自己紹介カードが力を発揮するのです。

 ケアマネジャーとの会話において重要なことは、相手との「共感」です。共感できる共通の話題が多ければ多いほど、親近感から信用に変わり、実際にサービスを利用してもらって満足いただければ信頼に変わるのです。
 相手との共通事項を探すためには、自己開示が一番手っ取り早く、自己紹介カードを用いることで、言葉で伝えるよりも、相手が興味・関心を抱いてくれやすくなるのです。そもそも、ケアマネジャーや相談員のところには、さまざまな営業担当者が毎日訪れるため営業マンを見る目が肥えているのです。初めて挨拶する場合でも、営業マンという存在への感想は「また来たよ」が本音だと思って間違いないのです。私たちは「また来たよ。また同じような話を聞かなくてはならないのか」という相手の想定を覆し、「あ、そういう話だったの? これまでの営業マンの話と違うな」と思わせることができれば、初回訪問は成功です。

 訪問活動においてケアマネジャーや相談員との会話というは、実は「営業」ではなく「学び」です。医療・介護・福祉業界は初めてという営業担当も多いはずで、訪問時に知ることのできた生(なま)の情報は、非常に得難いものです。営業という概念で会話を繰り広げるよりも、自分の学びのために教えを乞う姿勢や相手の困りごとを解決することに重きをおいた正直で、素直な姿勢は高い好感度に変わります。

 会話の展開方法や営業方法、その姿勢には、担当者の年齢に合った方法というものがあります。何も知らずにこの業界に入ったとしても、40代ともなると教えを乞う姿勢だけでは、反感を買うこともあります。相手の目に「わからない=怠惰」と映り、「少しくらい勉強してから来い」という話になるのです。20代であれば、「わからないこと=若さ」と映り、「仕方ないな」と丁寧に教えもらえることも多いものです。

 「会話」には上辺の話で完結するコミュニケーションと技術や現場感といった中身の話まで到達するコミュニケーションがあります。若ければ「知識や経験がない分、持ち前の明るさや元気といった武器で戦う」といったことができますが、年齢を重ねるとそうはいきません。年齢を重ねるほどに相手からの見た目や第一印象で知識や経験がある程度備わっていると誤解されている状態が勝手に出来上がってくるのです。

 これまで、さまざまな訪問医療マッサージ事業所をみてきましたが、例えば「3大認知症」を知らない営業担当者、福祉用具の会社に勤めていながらも「胃ろう」すら知らない営業担当者がいます。知識を積み重ねるのは大前提であり、知識があるからこそ深い話ができるのです。営業担当マンは、ただ自社のサービスや商品を提案するだけで終わってはいけません。そこには地域包括ケアシステムを意識した会話の展開や地域貢献活動になるような話を引き出し、相手を深い話に引き込む必要があるのです。どんなに訪問活動数を重ねようとも、上辺の話や自分の話しかできないようでは「営業の質」が低いままであり問い合わせが増えることはないでしょう。


②問い合わせのタイミング

 ケアマネジャーや相談員から患者さんのことで問い合わせがあった場合、これまでの営業という観点そのものが変わってきます。これまでは相手の状況にかかわらず、とにかく自分たちのタイミングで飛び込み訪問の営業活動を行っていましたが、そうすると相手にしてみれば、呼んでもないのに勝手に来たということなので、基本的に話を聞いてもらえる体制ではありません。それどころか早く終わらせようとする場合も多いので、コミュニケーションの観点でいうならば非常にハードルが高い状態なのです。しかし日ごろの営業活動が功を奏し、新規問い合わせやリピートがあったタイミングというのは、コミュニケーションを深める最大のチャンスです。

 ここでの一番よくない悪手は、対応の可否やお試しの提案を電話だけで済ましてしまうというものです。最悪なことに多くの事業所というのは、こういう対応をしがちなのです。せっかくできた相手との細く短い「つながりの糸」を電話のみで断ち切ってしまい、延ばそうとする努力も、太くしようとする努力も一切しないのです。この小さなチャンスをチャンスと捉えられるかどうかに、営業としての力の差が出てくるのです。

 このチャンスを広げるためには、小さなかけらを集める作業や大きく成長させる地道な努力が必要になります。ここに営業担当者を専属として配置する必要があるのです。ただ訪問すればいいのであれば、別に正社員ではなくアルバイトでも変わらないのです。試行錯誤や考えのない営業活動は、ただの時間と費用を無駄にしているだけです。これまで努力してきた営業活動のすべて時間・費用・思考の結果が「一件の問い合わせ」なのです。たかが一件、されど一件です。
 営業活動を実施する担当者は、このたった一件の問い合わせの重みを受け止めなければなりません。営業担当者に電話をかけるという行動は、ケアマネジャーや地域包括支援センターの相談員からすれば、非常に勇気が必要です。相手からすれば、無理やり売られるのではないか、しつこくされるのではないかとの不安が頭をよぎるからです。相手からの問い合わせというのは、そもそも警戒心が緩んでいる状況であり、話を聞いてみようという姿勢であることから、コミュニケーションが図りやすいのです。電話に出る人が事務職、営業職、所長職にかかわらず、まずは電話をもらったことに対する感謝を伝え、そこからじっくりとヒアリングしてください。せっかくできた細く短いつながりを活かすも殺すもあなた次第なのです。


③偶然の出会い

 これは偶然にもどこかでケアマネジャーや相談員と出会ったときです。偶然というタイミングには大きな力があり、運命を感じてしまうこともあると思います。決められた地域の中で営業活動をしていると、私たちは偶然にもケアマネジャーや相談員と出くわすことがあるのです。

 例えば、ケアマネジャーが自転車で利用者宅へ向かっているとき、地域包括支援センターへ訪問中、偶然にも居宅のケアマネジャーが支援計画書や実績を届けに来たときなど、高確率でこのような「偶然」があります。偶然というのは相手も予知していないために一時的に頭が混乱状態に陥りますので、いつもと違って営業への嫌悪感から拒否するという準備ができていないのです。混乱状態のときこそ、よい印象を与えることに注力しましょう。皆さんは営業活動をせず、何気ない会話をすることを心がけてください。偶然の出会いは、次の営業活動時の会話のネタになります。

 また私が入居相談員だったころは、地域のコミュニティーによく参加をしていました。例えば地域包括支援センターで開かれる住民向けの雑談コミュニティーや認知症カフェなどには、地域のおじいさん、おばあさんがたくさん来られます。また、時々ですが病院の医療ソーシャルワーカーや居宅介護支援事業所のケアマネジャーなど営業活動時にしか会わない人との出会いがあります。偶然にしかも雑談できる場に居合わせることで訪問活動時とまったく異なった空気感で和気あいあいとしたコミュニケーションが図れます。

 私は通常の営業活動時に、訪問しながら地域のコミュニティーに参加することを前提として情報収集を行い、できる限り日程調整をしていました。当初、そんなコミュニティーばかりに参加しているものですから、会社からは何勝手なことをしているんだと叱られ、上司からも嫌われていました。しかし、どんな業種であろうとその地域で活動をするならば、地域密着を外すことができないのです。横のつながりをしっかりと増やすことが、その地域で信用され頼られる存在となるのです。偶然の出会いを活かすのも良し、偶然の機会を自ら創り出すことも良し、それこそ偶然を装うことも良しです。とにかくチャンスを掴み損ねないように、しっかりとアンテナを張っていきましょう。


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