レトロゲームとうなぎ

 ゲームが好きな人のSNSのプロフィール文に「レトロコンシューマー◯✗会 会員No.nです。」みたいな文言があって、これはほぼ間違いなく”レトロコンシューマービデオゲーム(古い家庭用ゲーム)”をホニャララする会のことであり、最初は、

(そういうのを軽いお遊びでやっとんのかな…?)

と思っていたが、なにかの拍子で”大元締めがいる組織である”という事を知って驚いたことがある。大元締めのよくわからんオッチャンから会員番号を賜って誇らしげに掲げている事についてどうこう言うつもりはないが、迂闊に少しでも興味を持ってしまった不覚というのを感じてしまった。

 そこで疑問であるが、Consumer(家庭用)という縛りを入れているのは何故なんだろうか。
”大元締めのオッチャン”を見つけたんだから、訊けばいいんじゃね?”というご意見ご感想も至極真っ当かもしれないが、『一寸でも関わりたくねぇなぁ』という心情も理解して欲しいのであり、共感を多少なりとも得られたらこれ幸いであります。

 家庭用じゃないゲームは、業務用。アーケード。つまりはゲームセンターとか商業施設とかで1ゲーム遊ぶのにコインを入れたりして遊ぶゲームである。これがビデオゲーム文化の波及において最も重要な役割を果たした。飲み屋やら店先においてあってその場のノリでちょいと遊んでみようじゃないか、という感じで始まったのが一般的なビデオゲームの大きな一歩であり、それは半世紀以上前のアメリカで行われた。
 …急に堅っ苦しい説明になってしまったが、知らない人にはそういうところから言わないといかんかな、という自分なりの良心であり、「知ってらぁ!」という人は斜めに読み流していただきたい。

 日本での業務用ゲームの大ブームというのは、かの”スペースインベーダー”であり、1978年から79年にかけて起きた社会現象だ。街にはインベーダーハウスなるものが出来てそれがのちのゲームセンターになったという。そして、それは海を渡り、ビデオゲーム全体に影響を与え、そこから進化したゲームというのは未だに作られている。らしい。誰かが何かに書いてた。
…私は1977年生まれなのでほぼ物心を付いてない時期であり、ブームはさっぱり知らない。田舎の小地方都市であったのでその残像的なものも殆ど見かけてない。だから、ここは後付けで得たウンチクは抑えて無責任を通す。そんな昔の事知らねぇよ。大体、文章が既に長い。へこたれそうだ。

 余計な親切心で迂闊に打ってしまったもう心が折れそうなほどの長い長い前置きだったが、

『ゲーセンのゲームなくしてその後の家庭用のゲームなし。』

 要するに、そういう事だ。ビデオゲームというのは映像作品の真似事にプレイヤーが介入できる事のが”特別な遊び”であり、それは業務用から始まって、それをさらにさらになんとか”個人に買ってもらえる程度の額の低性能なマイコン(トイ・パソコン)やゲーム専用機(当時の感覚で言えば安っぽい玩具である)”に落とし込んだのが家庭用ヴィデオゲームの始まり始まりという事になる。
 だから、業務用をすっ飛ばして家庭用を愛でましょうというのは、非常にネジクレている。”レトロ(懐古)”と標榜するなら尚更なのだ。『さあ!皆さんで懐古趣味のビデオゲームを好きな集団になりましょうネ!』というのに一番の肝となる業務用をぶっ飛ばすというのは、例えば、うな丼を食いに行って”うなだれご飯”だけ食って大満足して帰るのと一緒だ。
鰻を食わないでどうする??

…というわけで、一人でずっと抱えていた違和感で一本書いてみた。
それだけで書いてみた。吐き出してみた。


 ちなみに、モノのついでに書いておく。
 よく間違われるのだが、僕は『レトロゲーム好き』ではない。古いゲームはよく買う方なのだが、レトロ趣味、つまり、懐古趣味ではない。
『新しかろうが古かろうが楽しいゲーム』を探している。
もしくは『ゲームの歴史の知識として必要と感じて蒐集』している。遊んでみないとわからないモノが多いのがクラシックなゲームの厄介さだ。
 貴方の頭のデッドスペースに記憶していただけたらこれ幸い。


 そして、この記事にオチはないのです。悪しからず。

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