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ストレスと痛み

こんにちは!本日は、こちらの記事にお越しいただきありがとうございます。今回は、ストレスと痛みの関係について説明していきます。

こんな方にオススメ!
・ストレスを多く抱えている方
・慢性的な痛みがある方
・ストレスと痛みの関係を知りたい方

「身体の痛み 」と「心の痛み」

ストレスと痛み(特に慢性痛)。一見関係ないように見える言葉ですが、この二つは非常に密接な関係があります。つまり、「身体の痛み」と「心の痛み」は切っても切り離せないということです。

なぜ、この二つに関係があるかというと、ストレスと痛みの中枢回路が互いにオーバーラップ(一部重複)しているからなんです。
少し専門的な話になりますが、ヒトに痛み刺激を与えると、脳の前帯状回・島皮質・前頭前皮質などの活性化が見られます。これらの領域は、ストレスを受けた際の情動反応時にも活性化します。

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​これらの領域の活性化が生じると、中脳中心灰白質・吻側延髄腹内側部などの機能を妨げてしまいます。実は、中脳中心灰白質・吻側延髄腹内側部などは疼痛を抑制する働きをもった非常に重要な場所なんです。疼痛を抑制する脳の制御系を下行性疼痛抑制系といいます。

痛みの過程

最初に痛みを感じるのは、侵害受容性疼痛といい、何らかの侵害(ダメージ)を受けた際に発生します。これらの疼痛は、炎症の消失と共に修復機転が働き軽快に向かいます。しかし、炎症が遷延化すると、感覚神経が過敏になり、ちょっとの動作に伴う軽微なメカニカルストレスに反応するようになります。さらに、疼痛が持続すると、痛みの信号が脊髄の細胞へ過度に伝達されるようになります。そして、痛みに対する不安や恐怖といった不快な情動が加重されると、下行性疼制御系の破綻をきたすことに・・・。
一方で交感神経系も刺激され、血管が収縮すると、痛みを感じる領域の酸素欠乏をきたし、発痛物質が生成され、痛みが遷延化する悪循環となります。
身体の末梢の問題が、脊髄・脳といった中枢にまで影響を起こし痛みを長引かせてしまいます。

しかし、上述しているように本来であれば下行性疼痛抑制系という疼痛をコントロールしてくれる機能がヒトには備わっています。ですが、慢性的なストレスを受け続けた結果、その機能が正常に働かず、痛みをより助長することになってしまいます。また、側坐核という脳の神経構造があり、生きる意欲・自律神経系などの生命活動、思考・創造・学習・希望・期待・自己優越感の確立に関わっています。この重要な役割を果たす側坐核も過酷なストレスを受け続けると機能が低下し、生きる意欲の低下・睡眠・食欲・自律神経活動を障害してきます。

対処方法

ここからは、低下した脳の機能を回復させるために、有効とされている方法をいくつか紹介していきます。取り入れられるものがあれば、是非試してみてください。

●マインドフルネス・ストレス軽減法
心のエクササイズともいうべき治療法で、後悔・不安・恐れなど過剰な負情動を締め出し、健康な脳回路網に回復させる効果が近年認められています。マインドフルネスを高める技法として、座位で呼吸に注意を向ける静座瞑想、心身全体の調子を整えつつ心身の強さと柔軟性を高めるヨーガによる瞑想法などがあります。まずは、自分の呼吸に注意を向け、ゆっくりと深呼吸をすることから初めてみましょう。

●ウォーキングなどの有酸素運動
ウォーキング・水中運動・エルゴメーターなどの全身的かつ継続的な有酸素運動は、下行性疼痛抑制系の賦活させる効果が報告されています。有酸素運動ではセロトニンという、覚醒・気分・意欲と関連した脳内物質の活性化が期待できます。セロトニンが低下すると、抑うつ的になりやすいため、気分や意欲UPのために、ウォーキングなど少しでも動くことを取り入れていきたいですね。

●日記を書く
苦悩や不満・不平・怒りといった否定的な感情を吐き出す形で日記を記載します。否定的な感情を抱くような思考パターンや傾向(癖)と身体症状との関連に気づくことが出来るようになります。また、自分の感情を客観的に見ることが出来るようになり、感情の整理に役立ちます。


いくつか対処方法を紹介してきましたが、本当にキツイ時や苦しい時は、その環境から離れ、ゆっくりと休んでいいと思います。自分の身体や心を犠牲にしてまで、行う必要があるものなんてないと思ってます。一度身体や心が壊れてしまうと簡単には治りません。自分自身の健康を一番に考え、自分自身を大切にしてあげてください。
また、慢性痛などの痛みに悩んでいる方は痛みを専門に診ている、ペインクリニックなどの受診、心の痛みに悩んでいる方は心療内科などの受診も検討してみて下さい。専門家が多角的にサポートをしてくれますよ。

本日もお読みいただきありがとうございました。

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