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【SELFの本棚】#035 『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』 仲山進也著 講談社

(文:ふるかわりさ)

世の中のほぼ全ての悩みは人間関係に起因すると言っても過言ではないかもしれません。キラキラした会社や、チームワークの良い組織を見てうらやましいなと思うと同時に、「どうしてうちの会社にはもっといい上司がいないのだろうか」「うちの会社にもっと”意識の高い”社員がいれば、、、」なんて思ったことがある人も少なくないのではないでしょうか?

”今いるメンバーで”大金星を挙げる。 

著者の仲山進也氏は、インターネットショッピングモール楽天の出店者向けの講座「楽天大学」の学長(通称:がくちょ)であり、これまで数多くの企業やスポーツチームなどのチームビルディングを行なってきた人物です。

GIANT KILLINGというサッカー漫画をベースに、ただ人が集まった/集められた「グループ」が「チーム」へと成長する過程を丁寧に分析し、まとめたのがこの『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』。
(原作のGIANT KILLINGを知らなくても十分に面白く読めるよう構成されています)

仲山氏によると、チームが作られていくまでには以下の4つのステージがあります。

第1ステージ:フォーミング(同調期)
第2ステージ:ストーミング(混沌期)
第3ステージ:ノーミング (調和期)
第4ステージ:トランスフォーミング(変態期)

第1ステージは、メンバーが集まったばっかりでお互いに遠慮や不安、緊張のある時期。指示を待ち、言われた通りに行動し、変な人だと思われないように空気を読みながら様子見をしている期間で、一見すると、特段大きなトラブルもなく「いい感じに回っている」状態です。

ここを超えるために必要なのが「これ言っても大丈夫かな?」という、遠慮して言葉を飲み込むという壁を乗り越えて、コミュニケーション量を増やすこと。

それを乗り越えると次は第2ステージ「ストーミング」です。ストームとは嵐のこと。
コミュニケーションが増えたことによって、各メンバーから本音の意見が場に出はじめ、対立や衝突が起こり感情的にモヤッとすることが多くなるステージで、チームとしてコントロールしにくい状態に陥り、生産性が低下します。

ここを乗り越えなければ次のステージにいけないのですが、日本人の悪い癖で「まぁまぁまぁ、仲良くやりましょうよ」と元のフォーミング期に戻そうとする力が働いてしまうのが多くの組織でよくあること。第2ステージまでが「グループ」。第3ステージからが「チーム」です。

第1ステージに戻さずに、しっかりと次のノーミング期に移行するためには「コミュニケーションの質」の壁を乗り越える必要があります。
ここで大切なのが、良いチームが出来上がる過程では必ず「ストーミング」が起こるということをチーム全員が把握しておくこと。

コミュニケーションの質を上げるためには、私たちはこのチームで何を成そうとしているんだっけ、とか、何のためにこれをやろうとしているんだっけといった目的です。
ストーミング期でそれぞれが本音を出し合う過程で、各人のキャラクターが表出し、相互理解が進んでいるため、このステージにくるとそれぞれのメンバーの強みを活かした役割分担ができるようになり成果が出始めます。
よいチームの状態です。

そこからさらに「大金星」を挙げる「トランスフォーミング期」に移行するには「みんな、本当にそこまで目指す??」という納得感の壁を越える必要が出てきます。
そこを乗り越えるとチームがあたかも一つの生き物のように機能し、目覚ましい成果が生まれていくのだそう。

面白いのが、この4ステージの間でメンバーの誰かが抜けたり、新たなメンバーが加わったりした時点で再度第1ステージからのスタートになるという視点。

イラストや図解も多く読みやすいので、社員全員で読んでみるのをお勧めします。


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