見出し画像

【家の在り方を考える】#03健康と住宅

(文:川畠 康文/SELF 理事)

すみません。3回目にして早くも連載が滞ってしましました(汗)
【家の在り方を考える】の第3回は健康と住宅の関係性について書きたいと思います。↓第1回目と第2回目はこちら。

前回の省エネ住宅にも大きく関わることですが、私は個人的に「省エネ住宅を手に入れる理由」として、『健康的に心地よく暮らす』ということが一番腑に落ちるのではないかと最近考えています。家族の命や健康より大事なものはないですよね。

国ならびに日本サステナブル建築協会では、省エネ住宅が住まい手の健康づくりにつながる5大要素として
①ヒートショックの防止
②高血圧症の防止
③循環器疾患の予防
④熱中症の予防
⑤身体活動の活性化

を挙げております。

日本サステナブル建築協会より転載

前回の記事において、日本の住宅の省エネレベルが先進国のなかでダントツに低いということと、その中でも鹿児島のような温暖地における省エネ住宅の普及率は低いということ、そしてヒートショックの死亡増加率において温暖なはずの鹿児島はワースト6位であることをご紹介しました。
WHO(世界保健機関)は、健康の観点から浴室やトイレを含め、「冬の住宅の最低室内温度」を18度以上にすることを強く勧告しています。この18度を下回るような性能の住宅においては、暖かい室内から脱衣室やお風呂、トイレなどに移動した際に、急激な温度変化:ヒートショックによる死亡事故の確率が格段に高くなるそうです。しかしながら、一番ヒートショックの被害を受けやすい高齢者が住む住宅の9割に近い住宅が18度に達していない!という調査結果もあります。交通事故の約4倍もの人がヒートショックで亡くなっているという原因はこの家の寒さにあると言って間違いないですよね。
しかも、ヒートショックによる事故の一番恐ろしいところは、倒れて一命を取りとめたとしても重い後遺症が残ってしまうケースも多く、それらの事故を含めた件数については把握しきれていないそうです。特に高齢者住宅への断熱改修急がないと、医療費はどんどん加速的に増加していくと思います。

ところで、断熱性能の低い住宅を断熱改修したり、省エネ住宅へ移り住んだ時によく言われる感想の例ですが

「血圧が下がった」
「総コレステロール値、LDLコレステロール値が下がった」
「夜間頻尿が少なくなった」
「お風呂に入ることが嫌じゃなくなった」
「朝起きれるようになった」
「朝ごはんを皆で揃って食べるようになった」
「夏バテしにくくなった」
「子どもが宿題するようになった」
「痩せた」

凄くないですか?別に誇張した例じゃないです。ただ、断熱性高めただけの効果ですよ。

これらは上記に上げた健康づくりにつながる5大要素の②高血圧症の防止、③循環器疾患の予防、④熱中症の予防、⑤身体活動の活性化が複合的に効いたものだと考えられます。
さらには「健康維持がもたらす間接的便益(NEB)を考慮した住宅断熱の投資評価」において、高断熱・高気密住宅がもたらす疾病予防便益は、中所得世帯で年間約27,000円/年・世帯になると発表しております。つまり35年の住まいと考えると100万円近い医療費削減になるという訳です。もはやメリットしかないですよね?早く断熱改修を国家プロジェクトとして本気で進めて欲しいと切に願っております。

さて、ここまでは住宅における健康と温熱環境の関係性について書きましたが、健康と住宅に関してはもうひとつ大事なことがあります。それは『湿度のコントロール』です。これができなければカビや腐朽菌を逆に招いてしまうことになります。そのためには、エアコン等の冷暖房設備と換気扇による空調計画がめちゃめちゃ大事です。特に今は電気代が高騰していますので、適切な換気空調計画により、快適性と省エネを両立させることが大事になってきます。省エネと空調計画をしっかりすればエアコン1台で全館空調というのも難しくないですよ(※新築の場合。断熱改修の場合の空調計画は難易度高め)。

もちろん、省エネ住宅はただ断熱材を入れれば良いというものではありません。「適切な断熱設計」「適切な換気空調計画」「適切な施工」が揃って初めて快適な省エネ住宅となります。この3つを説明するだけでも凄い量になるので省きますが、結局は信頼できる会社に頼むということが大切ですね。それぞれの地域で信頼できる会社が増えていくこと、品質の高い省エネ住宅が当たり前になっていくことを願いつつ、省エネ住宅の素晴らしさと必要性を今後も訴えていきたいと思います。

おかげさまで、最近私も省エネ住宅に引っ越して快適に毎日を過ごしております。どんなに寒い日の朝でも寒さをほとんど感じないので、家族全員が起きてすぐに活発に動くことが出来るのは本当に健康的だと感じています。

そして、今の課題はうちの母の住む実家!母の健康を守るために実家の断熱改修を急ぎます(汗)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

全国どこでも使える最新の断熱改修関連補助金のご紹介:

『こどもエコすまい支援事業』では、断熱改修を伴うリフォームにおいて通常30万円、最大60万円の補助が出ます。

『先進的窓リノベ事業』においては窓の改修を大幅に行う断熱改修の場合、最大200万円(補助率1/2)の補助が出ます。

『給湯省エネ事業』は高効率給湯器の導入費用に対し、機種により補助((a)家庭用燃料電池(エネファーム):15万円、(b)ヒートポンプ給湯機:5万円、(c)ハイブリッド給湯機:5万円)が出ます

なお、上記3つの補助金は併用可能となっており、『住宅省エネ2023キャンペーン』としてワンストップで窓口を用意するという今までの国の取り組みでは見られなかった新たな動きとなっております!!良い傾向!!
※まだ色々と準備中みたいですが・・・・


「あ、鹿児島っておもしろい」そう感じたら、ぜひサポートをお願いします^^ おもしろい鹿児島を、もっと面白くするための活動費として使わせていただきます。