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網羅性を追わず「選択と集中」で勝つ。限られたリソースでコスパの良いSEOをしよう

SEOの施策に関しては、GoogleからSEOスターターガイドが出ていたり、色々な企業がSEO完全ガイド的な記事を出していたりします。

網羅的に書くと、やることが膨大に見えますし、実際、全てを完璧に実装しようとするのは本当に大変です。
UXがSEO担当者の守備範囲に含まれることもありますので、考えることが多くなります。

無料で見られる情報が増えたのは良いことだと思いますし、学びやすい状況になったのは素晴らしいことだと思います。
ただ、完璧にやろうとすると膨大な作業量が必要になるので、SEOって難しそうだな、と敬遠されたりする原因になる、とも感じています。

SEOってむずかしそう
SEOって大変な割にリターンが少ないから敬遠してる

みたいな意見も耳にしますしね。
SEOを生業にしているものとしては、この状況はあまり良いとは思っていません。
過去のSEOのイメージが残っていて、価値が上手く伝わっていないとも思っています。

今回は、それらの膨大なSEOに関する施策の中で取捨選択し優先順位を付けること、について解説します。
リソースには限りがあります。
膨大な選択肢の中から何を選ぶか?が事業の成否を分けます。

全てを完璧にやるのではなく、あくまでも事業にとって必要な要素に絞った方が成果を最大化しやすいです。

中小企業こそ、やる事は徹底的に絞ろう

どんな企業にもリソースに限りはあります。
また、ある会社にとって簡単なことでも、別の会社にとってはとてつもなくハードルが高い、といった事はあります。
このあたりを考慮して施策を絞りましょう。

行う施策は絞った方が良いです。
選択と集中をすることは、事業を行う上で非常に大切な考え方です。

新しいサイトを作る、もしくはリニューアルする場合、カテゴライズ・ページごとのテーマ設計

新しいサイトを作る場合は情報構造の設計をしっかり行うようにしましょう。
これらは後から変更が難しく、地味ではありますが更新や情報管理が容易になります。

以前の記事でも書いた通り、解析や広告を運用する場合にもプラスに働きます。

情報構造は「URLの構造」と「内部リンク」

URLは例えば
nanntoka.com/directory/page/
のような構造です。

/で区切られているかと思いますが、それがディレクトリ構造だと思っていただければOKです。
ディレクトリやページにつける文字列は管理しやすく、かつ、URLを見ただけで何のページであるか分かるものになっているのが理想的です。

内部リンクとはサイト内のページへのリンクの出し方

「SEOについてのサイト」を例にします。
「検索エンジンの仕組み」カテゴリ
クローラー解説ページ
インデックス解説ページ

みたいな構成になっているとします。

検索エンジンの仕組みカテゴリ → クローラー解説ページ
検索エンジンの仕組みカテゴリ → インデックス解説ページ

のようにリンクを出すことを内部リンクと言います。
カテゴリからカテゴリ内のページにリンクをする、みたいなイメージです。

クローラー解説ページ → インデックス解説ページ
というリンクの出し方をすることもあり、この辺りはページ内の情報によっても変わります。

どこのページのどの部分からリンクを出すか?を考慮し、ページ同士をリンクでつなげてページの情報補足できます。
何のページであるか?をリンクの評価を通じてGoogleに伝える効果おあります。

アンカーテキストという、リンクする際に設定するテキストの情報も重要で工夫の余地が多いのも特徴です。
このトピックの大見出しの中で自分のnoteに対して「以前の記事」というアンカーテキストを設定しました。
これは良くない例です。
リンク先に訪れるまで何の記事か分かりません。

冒頭の「SEOスターターガイド」をアンカーテキストにしているのは良い例です。
アクセスしなくてもSEOスターターガイドのページへリンクしているのが伝わります。
Googleには「SEO」「スターターガイド」の2つの要素を含むページである、という評価も伝わります。
スターターガイドは外部サイトのページですが、それをサイトの中で行うのが内部リンクです。

内部リンクにはクリエイティブな要素が入れやすく、上手に設計できれば評価を高めつつUXに大きく貢献することもできます。
サイト回遊率を高めることで、サービスや事業のことを知ってもらいやすくできます。

titleタグも入れられたらなお良い

あと1点だけ追加するならtitleタグ他のページと重複しないものが設定できればOKです。
余裕があれば、そのページに設定したいキーワードも入れておきましょう。

<title>○○株式会社</title>
というtitleよりも
<title>札幌でSEOなら○○株式会社</title>
の方が良いです。

札幌 SEOで上位表示できると、売上に貢献する可能性は大きくなります。
このtitleタグはGoogle広告で一部参照されたりするものがあるので、一応キーワードだけは決めておいた方が良いです。

リニューアル時はURL変更にも注意

リニューアルの場合は上記にプラスして、URL構造を可能な限り変えない、というのを意識してください。
URLは変更しないほうが、今までの検索順位を落とすような状況になりにくいです。
リスク回避のためにも可能な限り現状のURLは維持しましょう。
もし変更が発生する場合は、
旧ページ → 新ページ へ301リダイレクト
を行いましょう。
旧ページへアクセスしたユーザーに、ステータスコード404のページを見せないようにしてください。

ドメイン変更も可能であれば行わず、サブディレクトリで運用していたページがサブドメインでの運用にならないように注意してください。

どうしても発生する場合は旧ページ → 新ページ へ1対1で301リダイレクトを忘れないようにしてください。

商品が多いECサイトの場合、詳細なカテゴライズ、商品ページのURL設計、最低1点の商品画像の設定

ECサイトの場合、最も検索エンジンからのアクセスが増えるのはカテゴリページ、商品ページになることが多いです。

この2点の設計が大切です。
その中でもカテゴライズにはセンスが出ます。
カテゴリを詳細に設計できると、カテゴリページが活躍してくれるので集客に大きく寄与します。

カテゴリ設計は詳細に、かつ複数への所属も気にせず設計

「プロテインなどトレーニー向けの栄養補助食品などを扱うサイト」の場合を例とします。
プロテイン
BCAA
クレアチン
HMB
グルタミン

などがカテゴリ分けとして想定されます。
これらに属する商品が多数販売されています。

カテゴリ設計としては、上記だけでもOKです。
より検索からの流入が欲しい場合は、ひと工夫して細かいカテゴリ設計をするのがオススメです。

プロテインであれば「プロテイン」の下に細かいカテゴリを更に作ります。
大カテゴリ
「プロテイン」

中カテゴリ
ホエイプロテイン
ソイプロテイン
ビーガンプロテイン
カゼインプロテイン

のような感じです。

更に小カテゴリを設定して
容量
価格
フレーバー

などで分けてもOKです。

ニッチなカテゴリは検索数は少ないですが、売れやすいキーワードであることが多いので上位表示すると販売に繋がります。

その他の切り口として
減量用プロテイン
増量用プロテイン

といったカテゴリーを作ることもできます。
利用シーン毎に切り分けたカテゴリも売れやすいキーワードからの流入に繋がりやすいです。

その他、タイミング別
リカバリー向け
などなど色々とカテゴライズは可能です。

1つの商品が複数のカテゴリに表示されるのは問題ありません。
1つの商品が複数カテゴリに表示されるのは普通のことです。

先の例で言えば
ホエイプロテイン商品であれば、ホエイプロテインカテゴリに入りますし、それ以外に「減量用プロテイン」もしくは「増量用プロテイン」に入る可能性もあります。

複数カテゴリに表示する商品の場合、複数のカテゴリからの動線ができます。
その場合、パンくずリンクがきになるかな、と思います。
その場合、代表的なカテゴリを1つ設定すればOKです。

商品ページのURLは「商品リスト広告(PLA)」でも便利になるように

商品ページについては、URLの付け方も気にしてください。
まず、日本語URLのようなものは使わない方が良いです。
商品名をURLにするのも良いのですが、商品IDのようなものが決まっている場合は、商品IDを商品URLに含めた方が良いです。

商品ページのURLは「商品リスト広告(PLA)」でも使います。
商品リスト広告は以下のような表示がされるものです。

「プロテイン」の商品リスト広告

商品点数によってはスプレッドシートにフォーマットにそってまとめて管理することになります。
商品IDは必ず使うので、商品IDがURLに含まれていると管理が楽になります。

もう1点、商品画像を最低1点表示するようにした方が良いです。
こちらも商品リスト広告(PLA)で利用します。
商品の画像ですが、メインの画像については「送料無料」といったテキストは含めず、商品の全体がうつっている写真を使うようにしてください。
商品IDが付与された画像ファイル名にすると同じく管理が楽になります。

大きさは250×250ピクセル以上にしておくと安心です。

商品説明のテキストは5,000文字以内にしておくと、同じく商品リスト広告(PLA)で流用できます。
注意点としては、「送料無料」のような宣伝文を入れたり絵文字を使ったりしない、といった点があります。
セールの情報やURLも含めないようにした方が良いです。

あと個人的な感覚にもなりますが、商品ページは文字が膨大になると逆に売れにくくなります。
マニアックさも武器になりますが、商品販売には色々なチャネルでの露出が非常に重要である、と割り切れた方が結果的に集客も上手くいきます。
マニアックさは別のどこかで出しましょう。

オウンドメディアの場合、タイトルと見出し、コンテンツへの投資に特化する

オウンドメディアを構築する場合、深くSEOのテクニックを追い求めないようにしましょう。
主役はあくまでもコンテンツです。

タイトルにキーワードを含める
見出しに結論を書いて流し読みに対応する

くらいが考慮できていればOKです。
とにかく、やるべき事を絞りましょう。

それ以外の時間とお金はコンテンツ品質に全投資するくらい振り切った方が良いです。

コンテンツ品質が優れていなければ、他の全ての施策は何の意味もありません。
優秀なライターや編集プロダクションと提携する。
コンテンツのテーマを設計する。
取材に力を入れる。

などなど、投資できそうな箇所はテーマによって変わりますが、可能な限りコンテンツ品質が良くなるものに投資すべきです。

僕が関わっているオウンドメディアでも
テーマや読者の設計
取材のアテンド
読みやすさの調整
読者ニーズのズレの修正

などにのみコミットして対応しています。
やるべき施策を絞って集中したことで運営歴が伸びるほど流入数が増えています。
所属している市場の検索の伸びよりも大きく成長曲線を描けています。

2年ほど安定して運用できるようになったら、キーワードのデータを見たり、カテゴリの設計を見直したりします。
ただ、それらはあくまでもコンテンツをより活かす演出です。

記事コンテンツのメンテナンスと信頼性を担保。マルチユースにも活用する。

古くなることで正しさが担保できないコンテンツも出てくるので、古いコンテンツのメンテナンスも行います。

流入が増える、という事は低品質なコンテンツによって信頼性を毀損する可能性が増えることでもあります。
コストをかけて悪評を広げることにならないように注意が必要です。
情報の品質を担保できる範囲以上に手を広げないことも大切です。

記事コンテンツはオウンドメディア以外にもSNS、広告にも流用が可能です。
せっかく作ったのであれば、マルチユースも意識した方が費用対効果は良くなります

3パターンのサイトに必要なSEO要素を2~3個だけ選んだ

ざっくりと3パターンのサイトに対して最低限行った方が良いことをまとめました。

新規サイトの場合は
URL構造
内部リンク

リニューアルの場合は
URL構造を変えない
URLが変わる場合は301リダイレクト

ECサイトの場合は
詳細なカテゴライズ
商品ページのURLの付け方
メイン画像の設定と5000文字以内の商品説明

オウンドメディアの場合は
コンテンツへ可能な限り投資
タイトル
流し読み対策で見出し

URL構造は解析時に役立ちます。
内部リンクはサイトの評価を支えつつUXにも貢献します。

カテゴライズは流入キーワード増加への寄与、動的検索広告にも役立ちます。
商品ページや画像はPLAでも役立ちます。

コンテンツへの投資は、SNSや広報などにも活用可能でマルチユースができます。
全てSEOのためだけでなく一石二鳥から三鳥くらいになって施策としての費用対効果が高く、他の施策へ良い影響を与えられます。

SEOは集客への直接的な効果もありますが、他の施策にバフ(補助)をかけるような効果も出せます。

内部リンク、カテゴライズ、コンテンツに関しては、クリエイティブな要素があるので、工夫次第で他のサイトより高い評価へ繋げることも可能です。
差別化が可能な要素に投資することで、より大きな評価が得られます。

細かいことを言うと色々とやった方が良いことはある

クローラビリティ、ページ表示速度、構造化マークアップ、画像のマークアップ関連などなど。。
他にも色々とSEOでやった方が良いことはたくさんあります。

「中小企業のサイト」としたので除外しましたが、クローラビリティやインデックス関連のコントロールが必要になる場合もあります。

今回はあえて、サイトテーマごとに2・3項目に絞りました。
やろうと思えば膨大な施策を片っ端から行えます。
でも、それが必ずしも事業へ貢献するか、は分かりません。

「やらないよりやった方が良いから」くらいの理由で、リターンが見込めない可能性が高いのにリソースを使って実装している可能性もあります。

そういった状況にならないように、施策を絞って、やらない部分を決めるのです。
その方が、やるべき施策にはリソースを集中して投入できます。
成果の出るラインを超えられるあk農政も高くなります。

今回、取り上げた施策は、他の施策にも良い影響が出て、品質を追求することで加点が大きくなる要素です。
あとから変更しにくい要素についても入れておきました。

中小企業こそ施策は絞って集中投資しよう

SEOで完璧を目指す必要は全くありません。
SEOが100点であるかどうか、と事業の売上は必ずしも比例せず、コストが大きくなることで利益を圧迫する可能性も出てきてしまいます。

SEOを頑張って色々と丁寧に実装したのに成果が出なかった、という状況は非常に勿体ないです。
大企業や特殊なサイトの状況を真似するのではなく、自分のサイトに必要な要素にのみ絞ることを意識してみてください。

限られたリソースは分散させず集中して運営しましょう。
1つの施策で複数の効果が見込めるもの、クリエイティブで差がつけられるものにこそ投資する価値はあります。

今回のnoteでSEOにコスパの良さを感じていただけたら嬉しく思います!



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